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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2021/04/19 06:30  | by Konan |  コメント(3)

Vol.101: 再びコロナのこと


高校の同級生が亡くなりました。ご冥福をお祈りします。ぐっちーの死から1年半。友人・知人のコロナ関連死は2人目となります。約9,500人の死亡者数の中での2人が多いか少ないか分かりません。ただ、コロナが身近な問題であることを思い知りました。今回はこれまでこのコーナーでコロナに関し書いたことを繰り返します。それを以って同級生への供養に出来ればと思います。

よく言われるように、日本のコロナ感染者数や死者数は、台湾やニュージーランドのような優等生に及ばないまでも、世界的にみて抑制されています。しかし、皆が平穏に暮らしている訳ではありませんし、総理や知事に対する不満も溜まっています。その理由として以下の点が考えられます。

1.日本固有ではありませんが、コロナが問題となり始めてから1年以上経過し、我が儘でなく真にコロナ疲れしてきたこと。

2.これも日本固有ではありませんが、コロナの影響が一律でないこと。世界的に見ても、若者・女性・マイノリティ、非正規雇用者、対人対面サービス従事者に悪影響が集中しています。影響が不均衡な場合は、不公平感に起因する不満が高まる傾向があると思います。

3.日本以外の国・地域に当てはまる面もあるかもしれませんが、日本では菅総理の「自己責任・自助」発言への反発がみられます。元官僚の私が言うのも変ですが、逆説的には「官が助けてくれる」との期待感が国民の間に強かったように感じます。しかし、コロナ禍により日本システムの酷さが露呈しました。PCR等の検査の遅れ、ワクチン普及の遅れ、マイナンバー活用やコンタクト追跡アプリを巡る混乱など切りがありません。「裏切られた」感が強い気がします。

4.リーダーのメッセージ力の弱さ。安倍前総理の言葉が響かないと何度か書きました。菅総理の口下手さも、その印象が定着した感があります。中途半端に緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を発動しては解除することには、戦略性がそもそも感じられませんし、政府が何をどうしたいか伝わりません。

5.やや不幸だったのはオリンピック・パラリンピックと重なってしまったこと。開催しても延期・中止しても必ず不満が出ます。池江さんの奇跡の復活や松山さんのマスターズ優勝などを受け、徐々に「観客数を制限すれば開催許容」との意見が強まっている気がします。他方で、池江さんを非難する勘違いの声が一部で広がっているようです。結論がどう転んでも揉めます。

当初はPCR検査問題が争点になり、このコーナーで激論が戦わされたことがありました。今でも検査数の問題は解消されていませんが、現時点で皆が注目するのは病床数とワクチンの2点と思います。

病床数についてこれまで何回か書きました。素朴な疑問は「世界的に見て感染者数が少ないのに、なぜ病床が逼迫するか」との点でした。余り統計も調べずに日本の病床数や医師の数が少ないと思ったりもしました。何か月か前からこの点に焦点が当たり始め、総病床数や医師数が少ない訳ではないが、単独でコロナに対応できない中小病院が多く、大病院とのネットワークを確り構築(例えば軽症者や退院者のケアを中小病院で受け持ち、大病院は重症者に特化するなど)しない限り、コロナ対応能力が限られてしまうことが分かってきました。しかし、この点の改善に向けた具体的な動きは見られません。一見行政国家に見える日本でも現実には行政権限に限界があるとの側面と、責任問題になるのを恐れてリーダーが権限を行使しない側面が混在しているように思います。

ワクチンの自力開発が出来ないことについても様々書かれています。私には真相は分かりません。医薬品メーカーの経営体力や技術力の差もあるのでしょうが、何事にも慎重な日本では治験が難しく、開発競争に後れを取る面が大きいかもしれません。治療薬として一時期待されたアビガンの承認が日本では進まないとの話しも聞きます。

繰り返しになりますが、私には真相や解決策は分かりません。ただ、感染拡大に耐え得る医療体制を構築するかワクチンが普及しない限り、日本でコロナの問題が解決することはありません。医療体制整備の方が時間がかかるので、結局医療関係者や高齢者のワクチン接種が終わり、その他の人たちにワクチンが普及する今秋まで、同じことの繰り返しが続くのでしょう。

ただ、そのワクチンについても、中国製の効果が低い、ロシア製に粗悪品が混じる、アストラゼネカやJ&J製品で血栓が生じる、ファイザー製品も3回の接種が必要かもしれないなど、暗い話題が表面化しています。変異種への有効性も未知数です。他方、日本の製薬会社が新たな治療薬の開発を進展させているとのニュースもあります。人類の英知がワクチンや治療薬の開発・普及に結実することを祈るばかりです。

最後にワクチンパスポートについて。JDさんのメルマガで、米国でも共和党中心に反対が根強いことが紹介されていました。吉村知事が「ワクチンを接種したことで有利になることは許されても、しないことで不利に扱われることは許されない」と発言する報道を見たこともあります。

例えば、飲食は夜8時までが原則だが、ワクチン接種者は10時までOKという仕組みは「差別」なのか?これを差別と捉えると、すなわちワクチンパスポートを発行しないことにすると、ワクチン接種率がかなり高まり集団免疫と言える状況になるまで、様々な制限を緩和することが出来ません。ただ、一旦緩和されると、非接種者も接種者も同様に恩恵を被ります。

このやり方は公平と言えなくもありませんが、却って接種の遅れを生む恐れもあります。非接種者がフリーライドする(接種を受けないままメリットが及ぶのを待つ)ことが可能となるからです。

私はパスポート賛成派ですが、この是非や、是の場合の制度設計や実装の仕組み作りはとても興味あるところです。

今回はこの辺で。

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3 comments on “Vol.101: 再びコロナのこと
  1. ださださ より:
    研究力

    大学関係者なのでわかっていましたが、
    この20年の基礎研究力が低下は、さまざまなことに
    ダメージを与えるでしょうね。

    今後40年は、海外の基礎研究力を下地にした開発物品を
    買わされることになると思います。

    日本は、過去の蓄積の債権運用と、特殊部品開発能力で食べていくことに
    なるのかな。(主体的にマーケットをつくるのは、難しそう)

    mRNAワクチンは、今後、他の病気(特に癌治療)に応用が効きそうで、
    日本の出遅れは、どうしようもないかもしれません。

    PS
    昨年のオリンピック1年延期を決断した、安倍首相のコメント
    『安倍首相は「日本の技術力は落ちていない。ワクチンができる。大丈夫です」と応じた』
    は、誰か周りの人が安倍首相に正しい情報をいれておけよと思いました。
    https://www.asahi.com/and_M/20200612/12876822/ から引用

  2. KB より:
    気づき

    医学的、科学的な知見も見解も持ち合わせていませんが、「池江選手への批判」については本当に心が痛みます。ここまで日本人はさもしいのか?と、重い心の病にかかってしまったような苦しさを覚えます。

    Konanさんが論じられているように、「コロナ」とひとくくりにせず、行政のイニシアチブ・医学的見地・社会的あるいは国民感情、と議論を線引きしながら丁寧に扱っていかないと取り返しのつかないことになりそうです。

    失った方々の命だけでなく、日本人の心も無くすことだけはしたくないですね。せめて、コロナをきっかけに、社会的・医療的・政治的…などの観点で脆弱な部分について理解を深め、コロナを克服した暁には、コロナ前より強い社会になっておくことが私達の責務かもしれません。

    Konanさんのご友人のご冥福をお祈りするとともに、改めて気づきを得た記事でした。

  3. 健太 より:
    ウイルス

     個人的には事態は「ただ事ではないとみている。コロナはあらゆるものを本物と偽物に分ける。原発事故も同じだった。今調べると福島55は確かにあの状態で、戦われた、それには敬意を表するし、貶める意図はないが、やはりと思う。インフルエンザワクチンについての世俗の話を聞くと、打つとかかるという人がおり、うたないという。インフルエンザワクチン接種の効果については調べたものがあるだろうか?
     mRNAタイプは変異していくから、作っても作っても新しいワクチンが必要になるのではないか?
     そのうえ変異していくと感染力は強くなるが毒性は弱くなるとその昔読んだことがある。今回はいかがだろうか?
     素人ととして不思議に思うのは春からさらにはやりだしていることで、これはインフルエンザとはことなる、同じころなタイプのウイルスなのに。
     日本人の我慢は長くて2年だから、その後は政府の対策を無視して国民は動く。また動かないと生きていけない。がその気力も今はない気がする。

     日本人の多くは環境にもたれかかって生きている人が極めて多いから、システムとして医療を構成することは基本的にできない。もしそうならとっくの昔に医療制度の変更,初診に最低30万円を見せることができない人は病院は診ないような制度になったはずだとみている。
     これからさらにコロナは本物と偽物を振り分けていくとみている。
    池江里佳子女史の話は知らないが、彼女をどのように振り分けるか?
    コロナの結果としてのオリンピック中止は。
     コロナはかかる人はかかって、亡くなる人はなくなって、それに耐性ができた人が残るのがその最終形態だと思っている。知人にどうやってもインフルエンザにかからない人いるから。
     先は甘くはない。
     

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