2020/11/23 06:30 | by Konan | コメント(0)
Vol.81: GDPとコロナのこと
今回は16日に公表された7~9月期GDPと、最近新規感染者が急増している新型コロナウイルス感染症について書こうと思います。
まずはGDP。報道されたように、7~9月期のGDPは急回復しましたが力強さに欠けました。主な内容は以下の通りです。
・季節調整済前期比は+5.0%、年率換算で+21.4%となりました。しかし、4~6月期に-8.2%も落ち込んだ後なので、その落ち込みを取り戻すには力不足でした。
・寄与度で見ると、国内需要+2.1%、純輸出+2.9%とそれぞれ相応に伸びました。しかし、その内訳をみると、国内需要の中で個人消費は前期比+4.7%(寄与度+2.6%)とそれなりに頑張りましたが、設備投資ー3.4%(寄与度-0.6%)、住宅投資ー7.9%(寄与度-0.3%)など他の民間需要は不冴えでした。公的需要は+1.9%(寄与度+0.5%)でした。
・また、純輸出(外需)では、輸出は+7.0%(寄与度+1.1%)と相応に伸びましたが、むしろ輸入が減ったこと(-9.8%、寄与度+1.8%)が伸びを支えました。輸入はGDPから控除されるマイナス項目なので、少ないほどGDPが増える構図です。
以上に尽きますが、日本経済と他国経済の違いは、消費税率引上げの反動から、昨年10~12月期に既にマイナス成長に陥っていた点です。今年1~3月期も新型コロナの影響が出始めた結果マイナス成長、4~6月期は緊急事態宣言を受け大きなマイナス成長でした。この点は、前年比、あるいは前年のGDP水準と今年の水準を比較すると如実です。
・7~9月期GDP前年比(実質原系列)-5.8%
・今年7~9月期実質GDP(季節調整済)507.6兆円、昨年同期539.4兆円
です。この507兆円を遡ると、2014年7~9月期に相当します。このことが全てを物語っている気がします。
さてコロナ。このコーナーでも何度も取り上げました。今では多くの人が「医療体制が持つか否か」が分水嶺と考えるようになったと感じます。医療体制が崩壊するか否かは、医療体制の頑健性や効率性と、新規感染者の数や内容(高齢者が多いかなど)に左右されます。そして、新規感染者数は人々の行動に影響を受けます。半年前はロックダウンするか否か二択の議論でしたが、ロックダウンや緊急事態宣言が無い中でも人々の行動が結構変化することが分かってきました。
ぐっちーや私の高校同級生である土谷隆教授のホームページには、関連記事が多数掲載されています。彼の予測は直近の(近い過去の)行動様式が今後も続くとどうなるかを表しており、行動様式が変われば当然予測は外れていきます。彼の分析によると、緊急事態宣言前の人々の活動を100とすると、それが緊急事態宣言に伴い大きく抑制されました。緊急事態宣言解除に伴い一旦宣言前の7割の水準(70)に戻り、これが第2波を引き起こします。このため行動が引き締まり、活動度が35程度に落ちます。感染の落ち着き傾向を受け、活動が45そして60に復した中で、現在の第3波が起きた格好です。彼はこの60が続けば「都内の新規感染者は月末に650人、12月中旬に1000人を超える」と予測します。
私に分からないのは、例えば650人になったら東京都の医療体制が崩壊するか否かです。新規感染者が増えるほど崩壊の可能性が増すことは定性的には自明ですが、感染者の内容や、第1・2波の経験を受けた都の医療体制の現状を評価する能力はありません。ただ、恐らく政府が緊急事態宣言等を発動しなくても、活動度が60から低下していくように思います。
このことは不可避です。そして飲食店等が再び苦境に陥ることを避けることも容易ではありません。個人的に感じるのは、1組4名以下でお店に行っても、何組も入り店が満席に近いと怖いということです。これを回避するには、一度の客数を例えばキャパの半数に抑えるしかありません。しかしそれでは売上が半減します。単価を倍に上げる、二回転させるなどで売上は復元しますが、実現のイメージが湧きません。この話題、Saltさんのメルマガで良く取り上げられますが、何とか切り抜けていくことが出来ないでしょうか…
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