2020/08/17 06:30 | by Konan | コメント(1)
Vol.67: 景気拡張期間最長ならず
超暑い日が続きますね。今日はとても短く、かつ少し前(7月30日公表)の話しを紹介します。
この日、第19回景気動向指数研究会が開催され、2012年11月を谷とした今回の景気循環の山が2018年10月だったことが暫定的ながら合意されました。もし山が2019年1月以降になれば、小泉内閣時代の通称「いざなみ景気」(73カ月)を超え最長の景気拡張期間となりましたが、その目前でとん挫した格好です。安倍総理のレガシー作りがここでも失敗しました。
景気の山谷は事後的に慎重に検討されます。このため、かなり間抜けなタイミングとなりました。また、詳細は省きますが、説明内容を見ると結構な悩みが垣間見えます。景気動向指数一致指数に輸出数量指数を加えたヒストリカルDIでみると、2018年10月が山のように見えます。しかし、実質GDP、日銀短観・非製造業の業況判断、雇用・所得関連指標、設備投資をみると、その後も景気は踏み止まっていたように見えます。無論、消費税率引き上げ(2019年10月)や今般の新型コロナウイルス感染症の影響を受けた後の景気失速は明らかですが、2018年11月から2019年9月の間はとても微妙との言い振りです。そして、この悩み自体は正当と思います。
結論として「ここはヒストリカルDIに基づこう」との判断となりました。マスコミやエコノミストの間では、この判断自体を支持しつつも「もっと早いタイミングで政府は景気後退を認めるべきだった」との論調が多いように思います。この気持ちも分かります。ただ、今回は専門家たちが安倍総理を「忖度」しなかっただけでも良かったと思います。穿った見方をすれば、安倍総理の影響力が「忖度不要」レベルに落ちてきたのでしょうか。
景気に関しては、本日4~6月期のGDP速報が公表される予定で、大幅なマイナスが見込まれます。そのことは当然で、むしろ7~9月期にどの程度リバウンドできるか、感染症の動向も含め早くも注目です。
安倍内閣について、各種世論調査で不支持の増加が顕著になってきました。そうした中で、中途半端な形での立憲民主党と国民民主党の合流が進みつつあります。この点、「烏合」「力不足」の批判は既に起きていますが、他方で、我が儘で世間知らずの玉木党首を排除出来て良かったとの見方もあります。一時あった秋の解散説が最近聞こえなくなり、新野党の実力が問われる機会は少し先かもしれません。多くの国民は、安倍総理の「悪夢のような」という表現の是非はさて置き、民主党政権に失望しました。ただ、新型コロナウイルス感染症対策の議論を見ると、野党に分があると思うことも増えてきました。森友や桜などスキャンダル批判に止まらない力を見せることができるか、まさに正念場ですね。
今日はここで失礼します。
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One comment on “Vol.67: 景気拡張期間最長ならず”
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いつもながらの卓見と着眼点、大変参考になりますが、一点だけ違和感が。
> ただ、新型コロナウイルス感染症対策の議論を見ると、野党に分があると思うことも増えてきました。
流石にそれは無いです。特に旧民主党系の野党は、死者と経済損失の受容可能な最低ラインの組合せを示すと言う発想がないので、何を言っても国民の為にならない発言しかできません。全面勝利以外の勝敗ラインが無い戦争をしようと言う様なもので、戦前の軍部と全く同じです。その状態で個別に良さそうな事を言っても、零戦が良いか戦艦大和が良いかのレベルの議論に過ぎません。
逆に全面勝利以外の勝敗ラインと言う発想を受け入れて、自ら示すか、与党に問いただす事が出来るだけで、自民党を超える事ができるのですが。