2020/02/25 06:30 | by Konan | コメント(3)
Vol.44: 火曜日ですが、いくつか
このコーナー、月曜日更新が常例ですが、今回は3連休明けの本日に。実は週末にかけ海外出張していました。ぐっちーやJDさんのように、海外からブログ・メルマガを更新する知力・技術力・気力が無く、帰国後慌てて書いています。恒例の内閣府月例経済報告(20日公表)のほか、2019年10~12月期GDP1次速報、G20財務大臣・中央銀行総裁会議を取り上げます。
いつもは月例経済報告の紹介から始めますが、今回は公表日順でGDP速報から。編集部さんたちのお勧めで59歳の手習いでTwitterを始め、17日の公表後に簡単なコメントを載せました。以下再掲します。
「GDP前期比ー1.6%、年率換算ー6.3%とかなり大きなマイナスでしたね。個人消費、住宅投資が消費税率引上げの反動で減っただけでなく、設備投資の落ち込みが響きました。公的需要と純輸出はプラスでした。新型コロナウイルスの影響が出る1月~3月が早くも注目です。」
コメントは上記に尽きますが、補足がいくつかあります。まず誰もが注目するのは消費税率引上げの影響です。17日当日の西村経済財政政策担当大臣の談話に以下の内容が含まれています。
「個人消費は、7-9月期に前期比プラス0.5%増加した後、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動減に加え、台風や暖冬の影響により、10-12月期には同マイナス2.9%の減少となった。」
「ただし、前回の消費税率引上げ前後の個人消費の前期比は、2014年1-3月期にプラス2.0%の後、4-6月期にマイナス4.8%であったことを踏まえると、今回の駆け込み需要と反動減は前回ほどではなかったと考えられる。」
「なお、10月以降の動きを月次でみると、総じてみれば、個人消費のマイナス幅は縮小傾向にあるとみられる。」
この談話自体間違いではありません。ただ、何だか五十歩百歩の比較をしている感じがしますね。
次に、今回は設備投資の減少の大きさが特徴です。前期比ー3.7%、年率ー14.1%、寄与度ー0.6%です。世界的な製造業の不調に加え、台風による部品供給の滞りが影響したと言われます。この減少が一時的なものにとどまるか否か、今後の大きなポイントとなります。
さて、1~3月期は新型コロナウイルスの影響が鍵となります。このコーナーで何度か書いたように、中国を始めとする海外からの観光客の日本における消費は、GDP統計上、個人消費ではなく輸出に計上されます。別な言い方をすると、1~3月期の個人消費だけを取れば、流石に昨年10~12月の大きな落ち込み後、自粛モードとは言え多少は戻す気がします。しかし、海外観光客の落ち込みや海外需要動向が反映される輸出がどこまで減少するか、上記の設備投資動向と合わせ今から楽しみ(?)です。
次に2月の月例経済報告。なお日銀の方は2月はお休みです。
(現状)
全体:輸出が弱含むなかで、製造業を中心に弱さが一段と増した状態が続いているものの、緩やかに回復している
個人消費:(消費税率引上げ後の動きをやや詳細に記述した後)総じてみれば、マイナス幅は縮小傾向にあり、実質総雇用者所得の緩やかな増加を背景に、持ち直している。ただし、消費者マインドは持ち直しの動きに足踏みがみられている
設備投資:緩やかな増加傾向にあるものの、一部に弱さがみられる
住宅建設(投資):弱含んでいる
公共投資:堅調に推移している
輸出:弱含んでいる
輸入:このところ弱含んでいる
(先行き)
全体:当面、弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されるが、新型コロナウイルス感染症が内外経済に与える影響に十分注意する必要がある。また、通商問題を巡る動向等の海外経済の動向や金融資本市場の変動の影響にも留意する必要がある
個人消費:持ち直しが続くことが期待されるが、新型コロナウイルス感染症の影響に十分注意する必要がある
設備投資:緩やかに増加していくことが期待されるが、新型コロナウイルス感染症の影響に十分注意する必要がある
住宅建設(投資):当面、弱含みで推移していくと見込まれる
公共投資:関連予算の執行により、堅調に推移していくことが見込まれる
輸出:当面は、海外経済の回復の鈍さから弱めの動きが見込まれるものの、その後は、海外経済の緩やかな回復等を背景に、再び持ち直していくことが期待されるが、新型コロナウイルス感染症によるインバウンドへの影響及び中国経済をはじめとする海外経済の下振れリスクに十分注意する必要がある
輸入:持ち直していくことが期待されるが、新型コロナウイルス感染症による供給制約に十分注意する必要がある
今回の月例経済報告は、消費税率引上げの影響(それが大したものでないという安倍内閣の主張)を詳細に記述していること、先行きに関し新型コロナウイルス感染症の影響への心配を前面に出したことが特徴で、新CRUのひとり言連載開始後では、とても珍しい内容となっています。
最後にG20。報道によると、中国から財務大臣も中銀総裁も参加せず、駐サウジ大使が参加したとのことですが、声明をみると、「新型コロナウイルス(COVID-19)の最近の流行を含む、グローバルなリスク監視を強化する。我々はこれらのリスクに対処するための更なる行動をとる用意がある。」と、やはり新型コロナウイルス感染症の影響が最大の関心事だったようです。
中国経済に関しては、1~3月期に大きく落ち込み(2%程度の落ち込み=成長率が昨年までの+6%台から前期比年率+4%程度に低下との見方から、前期比マイナス成長に落ち込むとの見方まで幅はありますが、かなりの落ち込みは間違いないと思います)、その後リバウンドするとの見方が一応主流です。ただ、誰も新型コロナウイルス感染症の終息時期を予言できませんし、サプライチェーン混乱の影響や企業・個人のマインドへの影響がどの程度続くか、予言できません。
Saltさんが書かれているように、米国経済だけは引続き頑健と思います。米国経済の自立(自律)性の下、雇用環境の良好さが続いており、金融政策も下支えしているからです。ただ、日本を含むアジア経済にとり、厳しく先が見えない状況が暫く続くことは間違いないと思います。
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3 comments on “Vol.44: 火曜日ですが、いくつか”
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JDさんの記事とともにいつも大変楽しみに拝読させていただいております。以前から気になっていたのですが、カナリアの画像は危機を察知する炭鉱のカナリアに掛けているのでしょうか?
読んで頂きありがとうございます。
あの写真、実は家で飼っているセキセイインコなんです(恥)。ただ、カナリアと言った方が意味深な感じで良かったですね。
なぜ安倍政権は消費税を上げたのか?落ち込むことは分っているのに。
思考力を失ているのか?
知人が1000万1.2パーセントで借りるという。金が必要?
いや今度のウイルスで金が借りられるから、借りるという。
何を考えているのかわからない。今回のことでさらに貸し出しを増やしても、多分返すことはできない。経済が上向かない限り、返済はできない。
小中学校を休みにして、幼稚園保育園はしないという。矛盾している。
もうちゃらんぽらんで、対策がないということを示しているに過ぎない。
しかも全国一律という、多様性のある社会をといっていたことはどうなったの?
なぜこのような、ことをするのかわからない。戦争なら敵方に自分の姿を見せていることになるが、コロナにおける見えない敵はこれからどのような攻撃を我が国に仕掛けてくるか?
この混乱の最終的な勝者はアメリカとみている。中共はダメージ受ける。
国内で少しでも、あいつはダメだと思うとすぐに手を引く行動をする人が大半だが、なぜ国となると逆の行動をするのか?
中共には縁も義理もないにもかかわらず。
わが国の社会構造をかえる事件とみている。もちろん政治も。
三菱商事が在宅勤務にかえるというが、この機に別の働き方をさせるつもりでしょう。そのむかし<健太、転ぶときは上手に転ぶことだ>といった人がいたが、それかな。
日銀は報告をしてもそれでおしまいだが商社はちがう。この落差は大きいが何を根拠に日銀は自らの報告が信頼されると、自身は思っているのか?
これもわからない。
石油の先物価格が47ドルにまで落ちている、中共は全消費量の20パーセントを占めているとあったが、正しいのかもしれない。それなら中共の経済活動はさらに落ち込むことになる。それにつれて中共に依存する我が国の企業も同じとなる。今、じたばたしているでしょう。東レは韓国に工場を持ているが今どのように泣ているか?確か炭素繊維の工場だったと思う
スーパーへ行って食品を見たら、中国産が多かった、これはどうなるだろうか?
大正以降の我が国の歴史を見ると、すべては泥縄にすぎなかったと見ている。
今回のコロナはそれを如実に表しているなあと思う。
非正規の労働者が半数以上だから、企業の不振は即座に解雇となる。先には社会暴動の目が見えるのに。
これもわからない、政府は労働状態を把握しているのか。