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2020/02/17 06:30  | by Konan |  コメント(3)

Vol.43: 銀行の手数料 眼から鱗の日銀レポート

今回は普段と趣を変え、10日に日銀が公表した「銀行の決済サービスの課金体系に関する考察」というレポートを紹介します。題名が難しく読む気が起きないところが日銀らしいですが(笑)、私は眼から鱗の面白さを感じました。

銀行の手数料と聞くと「高過ぎる」「引上げは怪しからん」「その前に給料を下げろ」と拒否反応を示す方が少なくないと思います。今回の日銀ペーパーは値上げを支持・主張している訳ではありません。そうではなく、今の送金手数料の仕組みがおかしいのではないかと主張しています。

銀行送金は1件送るごとに手数料がかかります。しかし、とくに毎月の固定料金を払っている訳ではありません。これを当たり前のことと感じています。

しかし、世の中の料金の仕組みは必ずしもそうではありません。例えば電気、ガス、水道料金を考えてみると、基本料金と使用量に応じた変動部分の二階建てです。携帯会社では、一定の料金を払うと後は使い放題のパケット料金が一般的になっています。ディズニーランドのパスポートも似た発想です。銀行も同じように考える方が、もしかしたら合理的かもしれないというのがペーパーの主張です。銀行にとって合理的なだけでなく、利用者にも合理的かもしれないというwin-winの可能性も示されます。銀行用語に即して言えば、口座維持手数料と振込手数料を上手く組み合わせる方向性が示唆されています。

ペーパーはミクロ経済学の教科書に似た書き方で、経済学に馴染みのない人にはとっつき難い内容です。そのうえで、主な内容を引用すると以下の通りです。

・銀行の決済サービスは、多くの経済主体の活動に必要不可欠な社会インフラとしての側面を持つ。このため、決済サービスの課金体系を考察する際には、銀行にとっての採算性という視点だけではなく、社会全体の経済厚生にどのような影響が及ぶかという視点をあわせもつことが重要である。

・わが国では、顧客が決済サービスの利用の都度、手数料を課す個別課金制を採用する銀行が多い。個別課金制は、口座維持手数料が無いため、多くの人が預金口座を持ちやすく、送金可能先の拡大に伴い顧客の便益が増すという、ネットワーク効果が働きやすい。

・しかし、個別課金制における決済サービスの手数料は、サービスの提供にかかる限界費用を上回るため、顧客による決済サービスの利用が十分拡がらず、社会全体として十分な便益を享受できていない可能性がある。さらに、個別課金制のもとでは、口座維持手数料という基本料金を顧客から徴収しないため、決済サービスの提供に必要な固定費が増加すると、銀行の決済ビジネスの採算が大きく悪化する可能性がある。

・欧米では、顧客が口座維持手数料を月々支払えば、あとは振込手数料を払わずに何度でも送金できる定額課金制や、口座維持手数料と振込の都度払い手数料を組み合わせた二部料金制を採用する銀行が多い。

・課金方式を選択する際には、様々な要素を考慮する必要があるが、経済学の知見や海外の事例は参考になると思われる。

難解な部分もありますが、要は今の送金手数料一本足打法は、送金を本来あるべき姿より少なく押さえ込み顧客にとり良くないだけでなく、固定収入が入らない銀行にも良くないので、あり方を考え直す方が良いとの主張です。

冒頭書いたように銀行は嫌われ者なので、何かを変えようとしても大きな抵抗を受ける可能性が大きいと思います。また経済学の分析が現実に合わないことも少なくありません。

そのうえで、初心に戻って一から考えてみることの大切さを示してくれたペーパーと思い、今回紹介してみました。ただ、更に言えば、様々な決済サービス手段が広がる中、銀行は何をやっても所詮新たなサービス提供者には勝てないのかもしれませんね。

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3 comments on “Vol.43: 銀行の手数料 眼から鱗の日銀レポート
  1. 那須の山奥の兄ちゃん より:
    質問です

    現在の大蔵省の基本路線を考えていくと

    平成9年のような金融恐慌を起こさない
    という路線が本線のようにしか思えません。
    すべての発想がそこからスタートしているようにしか
    思えません。
    付け加えるとすれば当然の発想です。
    半沢うんちゃらのドラマが4月から続編というのも
    奇妙な一致ですね(笑)
    あのラブリンの検査官役は本物だよ、と思いたくなりますけど(笑)

    そのための日銀ETF買い、そして地銀の指導になると思います。
    ゆうちょの不正は論外ですが(笑)

    このような論旨で考えていくと
    背景にはバーゼルなんだろうね
    とは思います。

    こうやって考えていくと
    大蔵省の次にやることというのも
    だいたい見えてくるな、と思っています。

    ぐっちーさんは
    日銀のETFが大きすぎて
    ぶん投げることができなく
    トランプに社会主義と批判される
    と言っていましたが
    このETFの意味合い
    たくさんあると思いますが
    根本的に
    バーゼルだと思っています。

    そして
    仮想通貨が
    日本は先進国「だった」訳ですが、1990年代?
    銀行死守のために
    なんか
    おかしなことをやっているな
    というのが心象です
    要は徴税強化のため、というのが主目的のような気がします。

    バーゼルと日銀ETFが紐づくとすれば
    どのような事態になるのかが
    あまりよくわからない
    というのが疑問です

    意味不明ですいません(笑)
    自分でも言っていることがよくわからなっていますが
    要は
    バーゼルを中心に日本の金融行政は
    動いているのではないか?
    ということです。

  2. 筆者です より:
    質問ありがとうございます

    少し頭を整理して書いてみたいと思います。
    そのうえで、バーゼル規制が銀行に大きな影響を与えていることは間違いありません。また1980年代末のバーゼル規制合意は、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだった邦銀を懲らしめるための欧米の陰謀だったとの説には一理あると思います。
    ただ、もしあの時バーゼル規制が導入されず、もっと少ない自己資本の状態で1990年代後半の金融危機に突入していたとすれば、混乱はとても大きくなったと思います。
    しかし、もっと混乱が大きかったなら、不良債権処理や銀行改革が早く進み、経済ももう少し早く立ち直り、10年、20年失わず、今頃ETFを買う必要もなかったのかもしれませんね。

  3. 健太 より:
    手がない

     もう高利貸しが大きく貸し出した状態だと素人目には見える。
    だから先は決まっていると思う。支那朝鮮と同じで事実をいえない。
    大東亜戦争と同じだとみているが間違いか?
    本当に怖いが、彼らは恐怖心を持っているだろうか?
    当時の上層部と同じだと思う。ひどいものでしたよ、資料はそれを示している。

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