2013/09/16 09:00 | by Konan | コメント(1)
Vol.210: またまた三題話
簡単に、最近話題の3つの話しについて。
第1は東京オリンピックです。このコーナーでオリンピックについて2度取り上げたことがあり、「反対ではない」「新興国経済の状況をみると、先進国による大イベントのホストが不可避かもしれない」「ただ、東京一極集中加速につながる」などと書きました。この最後の点について、招致成功後の報道の中で何人かの方がコメントされていたので、私にも少しは先見の明があるのかなと、少しほっとしました(笑)。
ところで、招致決定後、私の周辺の人たちの中で「東京限定の地価バブルが起きるのでは」と話す人が増えてきました。以前、このコーナーで金融政策に関連して「日本でバブル再燃の心配は不要」と書いたことがあり、私自身は今でもその感覚に変化はありませんが、バブルは気持ちの問題なので、「起きるかもしれない」という心境の変化が少しずつでも広がると、自己実現的にバブルが生じてしまう可能性も否定できません。アベノミクス、異次元緩和、第4の矢と重なり、経済の先行きに対する国民の感性が変化していく兆しかもしれません。
第2に、オリンピック招致と関連して大問題となりつつある汚染水コントロールについて。コントロールされているかどうか正確な情報は分かりませんが、実際にコントロールされていること、あるいはされることを切に望みます。具体的な数字を用いた明瞭なプレゼンテーションは、国際的な場におけるコミュニケーションのお手本とも言えるかもしれません。
そのうえで、仮に総理のプレゼンテーションの内容が正しいとしても、気になったのは「国民への説明前にIOCで説明するのか」という段取り論です。国民を軽視している、あるいは、総理と異なる発言を封じようとしている、などの受け止め方をされても仕方ない危うさがあるように思いました。幸運続きの安倍総理ですが、さすがに臨時国会は荒れる展開になるかもしれません。
最後はシリア。プーチン大統領の底力を実感したというのが第一印象です。北方領土問題の交渉も、やはり一筋縄ではいかないのでしょう。
そのうえで、米国についてオバマの敗北との受け止め方も多いようですが、オバマ大統領は今回の合意を受け、ほっとしているように思います。資源国のイラクと異なり、シリアの戦略的重要性は相対的に低い位置付けと思います。また、大量破壊兵器が実際にはみつからなかった中でのイラク攻撃の反省や厭戦気分が国民に根強くあったことも、否定できないと思います。シリアの反政府勢力の方がアルカイダや原理主義に近いこともあり、反体制派への肩入れも躊躇されたと思います。ただ1点、化学兵器を抑え込むことは、今後のテロ対策やイラン、北朝鮮政策において極めて重要な点で、そのことに限っては、引くに引けない状況にあったと思います。短絡的には武力攻撃ですが、取り敢えず査察のような手段で化学兵器を抑え込むことができるとすれば、米国にとって好都合とも言えます。ただ、査察がうまく機能するかどうか不確実性が残ることも確かで、問題の先送りに過ぎないのかもしれませんが。
以上、またまたの三題話しでした。
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One comment on “Vol.210: またまた三題話”
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なぜ化学兵器が使用されたのか、その動機と目的が、私にはまったくわかりません。 アメリカを引っ張り出したかったのか、政府軍の統率の乱れによるものか、それとも他の理由があるのか。。。?
アメリカは、数年前から内向きの兆候が表れていたように感じますが、今回のことで、それがあらためて鮮明になったように思いました。 オバマ大統領は、もともと実務家の印象の強い大統領ですが、同時に、相当にタフな人であるように感じます。
黒人初の大統領に選出されるまでの道程にも、伺い知れない様々なことがあったと思いますし、今回の一連の出来事を見ても、これまでの大統領たちとかなり違うアプローチを取っているような気がしています。