2013/12/30 09:00 | by Konan | コメント(3)
Vol.225: Fin
前回は、下記の5つのタイプのうち、タイプ3とタイプ5の相克について触れました(この相克の問題は、総理の靖国参拝で如実に顕れたようにも思います)。それでは、タイプ5とタイプ2や4の関係はどうなのか。因みに、タイプ1の方はとても羨ましく感じます。自分も、子供にはこのタイプになって欲しいとの思いを持たないでもありません。ただ、今回は「日本」にこだわり、他の4つのタイプに絞って進めたいと思います。
(タイプ1)「日本」など気にせず、ユニバーサルに生きる
(タイプ2)「日本」など気にせず、個人の幸せに生きる
(タイプ3)「日本」の古典的な価値観を強く意識する
(タイプ4)「日本」のソフトパワーを強く意識する
(タイプ5)「日本」の国力を強く意識する
ぐっちーがタイプ4かどうか、本人に確かめた訳ではありません。ただ、彼が書いたもは日本への愛情にあふれています。でも、それが日本という国家に向けられたものとは感じません。個々の日本人、あるいは日本企業が持つ、細やかさ、技術を大事にする心、長い視野などへの高い評価と受け止めます。言い換えると、日本の「文化」への愛情なのかもしれません。私もこの気持ちに共感します。そして、「どのように踏ん張ったとしても古典的な意味での日本の国力は人口減少に伴い長期的に衰退していく」と冷徹に考えるのであれば、今後の道はタイプ4しかないようにも思います。
そのうえで、自分が引き続きタイプ5であろうとする理由は以下の2つです。1つ目は、せこいですが切実な点として、日本が世界3位の経済大国であることが、国際交渉等の仕事のうえで、大きな利点を与えてくれることです。自虐的に言えば、この点にすがって何とか凌いでいるのが実情かもしれません。
2つ目は、職業柄、古典的な意味での国力(典型的には軍事力やGDPに象徴される経済力)を守る役目を負っていると思うこと。この点で、個々人が幸せでありさえすれば良いと考えるのが、タイプ2の立場です。個々人の幸福は人口の規模や国のGDPで決まるものではありません(日本とシンガポールを比較すれば明らかです)。日本の人口が減少し、今の2/3になったとしても、それが1人当たりGDPの低下を意味するとは限らず、まして個々人の幸福度は上昇することも十分考えられます。しかし、ここで心配なのは、既に日本が多くの借金を抱えてしまった前提で、その移行プロセスが円滑に進むかどうかという点です。今後、少ない若い世代が多くの年配の世代を支えるプロセスを通過せざるを得ず、その過程では、若い世代の負担感や不満の問題にとどまらず、国家の信用すら傷付く可能性も否定できません。国家の借金である国債について、このコーナーでも何度か書きましたが、ぐっちーも指摘するように、この問題は「信用」の問題に帰着します。しかし、「信用」ほど危く移ろい易いものはありません。これまで国債市場が安定を続けてきたことが、将来も安定が続くことの保証にはなりません。信用を支える努力が不可欠であり、そのためには、タイプ5に踏み止まって、日本の国力低下を極力マイルドなものにとどめようとすることが必要と考えます。225回の中で伝えたかったことを1文で書くとすれば、この点と思います。
最後にお礼を。
まず、この場を提供してくれたぐっちーにとても感謝しています。今年はヴァレンタインの日に会っただけでしたが、来年は紫波町に是非遊びに行きたいと思います。ぐっちーに会うと心配になるのは、彼が「生き急いでいる」と感じてしまう点です。投資銀行家として、Gucci Postの運営者や講演家・執筆者として、そして岩手県や紫波町の復興を支える人間として、彼は文字通り休む間もなく動いています。そして疲れています。もう53歳です。自分の体も大切にしてください。また、本コーナー執筆を技術面でサポートしてくれたスタッフの方にもお礼を申し上げます。
それから、ほぼ毎回コメントを頂いたパードゥンさんを始め、読者の方にも感謝します。225週間にわたりお付き合いを頂き、本当にありがとうございました。
それでは、皆様が素晴らしい2014年を迎えられることを祈りつつ。
そして、Gucci Postの益々の発展を合わせて祈念して。
Fin
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3 comments on “Vol.225: Fin”
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ご了承のうえ、ご利用ください。
科学測定・・
一万六千年前・・日本最古の土器・・
世界最古の文明と言われる・・シュメールより古い・・
驚嘆すべき・・技術あった・・
物造りに天賦の才ある・・民族なのでしょう・・
その末裔として・・
指導者は・・物議を醸す人物・・往々・・出るにしても・・
民族としては・・生き残っていけるのでは・?
「生き急ぐ」
波に乗っている・・
とも言えますが・・当然・・肉体的にはハード・・
百キロ挙げたり・・マラソン・・
モツでしょう・・
アレキサンダー大王親衛隊には・・七十代も珍しくなかった・・
親衛隊並に・・
ぐっちーに・・頑張ってもらいましょう・・・(笑)
幅広い話題を、ていねいに、わかりやすく解説してくださり、本当にどうもありがとうございました。
『The Gucci Post』にコメントを寄せられる方々は、ご自分のスタイルを持っていらっしゃる方が多いので、コメントを拝読するのも楽しみのひとつです。 こちらに、ほぼ毎回コメントを寄せていらっしゃるぺルドンさんは、ぐっちーさんの記事にも毎回コメントを寄せられ、ぐっちーさんいわく「『The Gucci Post』の一部のような方」で、私もファンのひとりです。
日本を代表する世界的写真家のひとり、植田正治さんは、その前衛的な演出写真が「植田調(Ueda-cho)として知られていますが、それにならって、ぺルドンさん独特のスタイルを「ぺルドン調♪~」と毎回楽しませていただいています。
konanさんは、タイプを5つ上げられましたが、たぶん、私はそのどれにも入っていないような気がします。 あえて言葉にすれば、「日本人であることを大切にして、柔軟に生きる」でしょうか。
私たちの銀河系には、星が1000億以上あるそうですが、宇宙には同じような銀河系が、現在わかっているだけで1000億以上あるとのこと。 となると、1000億×1000億。。。 これぞまさに、天文学的数字。。。(笑) 人間は本当に小さい存在だな~と思いますが、同時に、かけがえのない存在であるとも感じます。
人生の時間には限りがあり、一瞬先に何が起こるかわかりません。 なるべく後悔を少なくするにはどうすればいいのかな。。。と考えると、やはり、スティーブ・ジョブズの言葉 が深く響きます。
「何より大事なのは、自分の心と直感に従う勇気を持つことです。 あなた方の心や直感は、自分が本当は何をしたいのかもう知っているはず。 ほかのことは二の次で構わないのです」(スタンフォード大学の卒業生へのスピーチで)
それとやはり、幸福の価値をどこに置くかが大切であるように感じます。 ネルソン・マンデラさんは、ご自分の幸せが何であるか、よくお分かりだったんだと思います。
あらためて、長い間のコラム執筆、本当にどうもありがとうございました。 konanさんのご多幸とご健康を心よりお祈り申し上げます。
ドイツの存在感からもわかるように、3位にこだわる必要はありません。
世界7位あたりに目標基準をとると、1から5でバランスよく運営ができるのではありませんか?
だいたいGDPで国を評価なんて、よく考えればインチキですよ。 議論しなくても本当はおわかりでしょうけど(笑) 日本がどうしてあれだけアメリカと戦えたのですか? 当時の日本なんて今から考えたらどうしようもなGDPレベルですよ。 ヴェトナムなんて、アメリカに勝ってしまったんですから、なんとしたことか。 良く考えてみましょう。
引退されるには、まだ、お早い(笑) またの復帰を期待しています