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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2013/11/25 09:00  | by Konan |  コメント(2)

Vol.220: Gucci the 1st vs Public servant Konan


来月、映画「ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE」(Lupin the 3rd vs Detective Conan)が公開されますが、今回は盟友ぐっちーとの対決編です。

お互いの就職後、2人は正反対の道を歩みました。私生活もそうですが、仕事でも民と公に分かれ、その道が交わることはありません。それでも、ぐっちーの考えの多くに共感します。3年間ともに過ごした高校生活により、価値観が強く共有されているようにも思います。

他方、いくつかのテーマでぐっちーと考えを異にします。そうしたテーマを紹介し、なぜ考え方が異なるか、整理してみたいと思いました。Vol.225での引退を控え、そろそろ身辺(心辺?)整理を始める心境になってきたこともあります。

テーマは、欧州、米国、オリンピックです。

欧州危機への考え方は、ぐっちーと私の間の最大の相違点だったように思います。ぐっちーは「地球最期の日」とまで書きましたが、私は一貫して「冴えないが崩壊しない」との論陣でした。他方、米国の債務上限問題について、ぐっちーは一貫して冷めた見方でした。私は、このコーナーで取り上げたことはありませんでしたが、この問題を深刻にとらえていました。

この2つの問題に対する考え方の違いは、民と公の違いの象徴例と思います。ぐっちーの見方は徹底して民です。欧州について言えば、欧州各国政府によるギリシア問題解決努力を信頼せず、必ずや市場の懲罰を受けるとの見方だったと思います。米国について言えば、所詮政治家に市場を壊す勇気はない、政治家は市場の軍門に下る、従って心配する必要はない、との考え方と理解します。

正反対の私は、次のように考えました。欧州については、欧州統合は2度の世界大戦を経たうえでの欧州政治家の悲願であり、決して流れが逆転することはない、そのアンカーがある以上、議論がもたつくことはあっても、市場崩壊には至らないと考えました。米国については、政治や官は時折市場を無視し、あるいは市場をコントロールできると過信することがある、その「官優位」の考え方が悲惨な結果を招く恐れを無視しない方が良いと考えました。別の言い方をすると、市場関係者の中にも官を偉いと思う人達が存在するので、そうした人中心に、市場が官の動きに過敏に反応してしまう恐れがあると思いました。

フェアに言えば、欧州は私の勝ち、米国はぐっちーの勝ち、というのが現時点の評価と思いますが、勝ち負けというより、民と公の感性の違いが出た事例と思いました。Gucci Postに限らず、世間では様々なテーマに様々な論調が出てきますが、必ずその裏に事情、背景があることの好事例とも言えます。補足すると、ぐっちーは「12月にもTaperingが始まるかもしれない」と最近論調を変えましたが、私は(このコーナーで書いたことはありませんが)今でもTaperingは精々来春頃と思っています。ぐっちーの分析自体は正当ですが、中央銀行と言えども生身の人間の世界なので、イエレン議長就任を来年2月初に控え、バーナンキ議長は最後っ屁のようなアクションを取りにくいのでは、と思うからです。どちらが勝つでしょうか?

東京オリンピックについて、ぐっちーは常に批判的です。震災復興への影響に加え、7年を過ぎ、過大な投資が無駄になりその負担に苦しむ姿を心配しているように思います。私は何度か「東京オリンピックに反対ではない」と書きました。

この点の勝ち負けを現時点で決することは、難しいようにも思います。ただ、下記の理由で長期的にはぐっちーの勝ちかもしれません。

私の見方は、「唯一東京なら、このプロジェクトを支え切れる」とのものです。日本の他のどの都市にもできないが、東京開催なら何とかぐっちーが指摘する過大投資負担の問題を回避できるとの考え方です。オリンピックを機に、一段と東京への一極集中が進みます。民間資金は素より、東京都の財政基盤も潤います。この官民の負担能力を以ってすれば問題を切り抜けることが可能、との期待と言い換えることもできます。

ただ、更に考えてみると、それに伴い東京以外の地盤沈下が加速されるとすれば、そうした地域における既存の投資の回収すら一段と難しくなります。そこまで考えると、日本全体にオリンピックを支える力はないというぐっちーの見方にも頷ける点があります。

以上です。1勝1敗1分け、ただ1分けは長期戦に持ちこまれるとぐっちーの勝ち、といったところでしょうか。

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2 comments on “Vol.220: Gucci the 1st vs Public servant Konan
  1. 夏の空 より
    う~む…

    前回のタイトルが穏やかでないなぁと思ってたら、とうとう「Vol.225での引退を控え…」ですか。。。今年の晦日までということですね。。。

    ぐっちーさんや前橋さんと違う視点での整理・論考、対象自体も異なっていたりと、非常に勉強になっています。残念です。。。

  2. ペルドン より
    G VS P

    面白く・・
    読ませる・・

    コラムには・・
    必須では・?

    その点・・
    今回は・・パスしたのでは・・・?(笑)

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