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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2013/11/04 09:00  | by Konan |  コメント(2)

Vol.217: 展望レポート


今回は、このコーナー恒例かつ最後となる日銀展望レポートの紹介です。このレポートは、日銀が先行きの経済・物価の見通しを明らかにし、金融政策の基本方針を説明する、日銀の最も重要なレポートで、最新号が先月末に公表されました(黒田体制下での2度目の公表です)。

まずは数字から。

実質経済成長率について見通しは、今年度+2.7%、2014年度+1.5%、2015年度+1.5%となっています。注目の消費者物価については、消費税引き上げの影響を除くと、今年度+0.7%。、2014年度+1.3%、2015年度+1.9%の見通しです。

レポートを引用すると、下記の通りです。

「2013年度下期については、海外経済が持ち直しに向かう中で、これまでの為替相場の動きもラグを伴いつつ下支えとなり、輸出や鉱工業生産は緩やかながらも増加していくと見込まれる。そうしたもとで、企業収益の改善に伴い設備投資は持ち直しがより明確となるとともに、個人消費も雇用・所得環境の改善に支えられて底堅く推移するとみられる。加えて、個人消費や住宅投資では消費税率引き上げ前の駆け込み需要が発生するため、2013年度下期の成長率はかなり高めになると予想される。」

「2014年度の成長率については、上期を中心に駆け込み需要の反動が出ることから、前年度に比べればかなり鈍化するとみられる。ただし、海外経済の持ち直しが明確となる中で輸出が伸びを高めるほか、金融緩和や各種企業減税の効果などから設備投資もしっかりとした増加を続けるため、潜在成長率を上回る成長は維持されると考えられる。」

「2015年度についても、2回目の消費税率引き上げによる振れは予想されるが、生産・所得・支出の好循環は維持され、潜在成長率を超える成長が続くと見込まれる。」

「消費者物価の前年比(消費税率引き上げの直接的な影響を除くベース)の先行きを展望すると、マクロ的な需給バランスの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを反映して上昇傾向をたどり、見通し期間の後半にかけて、「物価安定の目標」である2%程度に達する可能性が高いとみている。」

一言で言えば、経済成長率については、消費税引き上げ前の駆け込みと引き上げ後の反動減はあるが、持続的成長路線に復しつつある形に、物価については、2%という日銀の目標が2015年度にほぼ達成される形に、それぞれ予想されている訳です。

次に、そうした見通しが外れる可能性(リスク)が当然あります。そうしたリスクについて、「リスクは上下にバランスしている」と評価しています。要は、景気や物価が日銀見通し以上に上昇する可能性と、見通しに達しない可能性は、ほぼ同等と考えている訳です。

次に、そうしたリスクの要因として、以下のような点を指摘しています。

(1)海外経済の動向に関する不確実性:米国、欧州、中国、それ以外の新興国・資源国について、不確実性を指摘しています。米国については上振れ・下振れ双方の可能性を、その他の地域についてはどちらかと言えば下振れの可能性を意識している印象です。

(2)家計の雇用・所得動向:今回の景気回復は、過去の輸出主導の回復と異なり、個人消費や公共投資のような国内需要主導の回復です。このため、雇用・所得環境が更に改善し、消費を支える前向きの循環が続くかどうかが重要な分岐点となります。この点については、「賃金が上昇していくかどうか注視している」とだけ指摘されています。

(3)消費税引き上げの影響:「税率引き上げは家計の可処分所得にマイナスの影響を及ぼす」と明記した後、政府の経済対策の効果、消費税引き上げはサプライズではないこと、財政や社会保障制度に関する将来不安を減殺する効果もあることを理由に、「マイナスの影響をある程度減殺する力も働く」とします。

(4)企業や家計の中長期的な成長期待:所謂第3の矢がうまく行くかどうか、あるいは東京オリンピック効果などにより、上下双方向に変化する可能性があるとします。

(5)財政の中長期的な持続可能性:財政の信認の変化により、上振れ・下振れ双方の可能性があるとします。

物価についても上下双方のリスク要因が指摘されていますが、専門的過ぎる感もあり、理解できた自信も無いので、紹介は省略します。

以上です。会見において、黒田総裁は異次元緩和政策が効果を挙げていることに対する自信を覗かせます。他方、ぐっちーに代表されるように、悪い物価上昇の悪影響が賃金引き上げのプラス面を上回るため、日本経済は良くならないとの見方もあります。消費税引き上げ分も含めた物価上昇率は来年度3%を超えることが確実です(日銀自身も、来年度+3.3%と予想します)。しかし、3%を超える賃上げが来年の春闘で実現するとは思えません。このため、来年度は間違いなく何がしかの景気減速が起きます。それを補えるような将来の成長期待(企業からみれば、収益見通しに自信を深め、再来年度も賃上げを行う気持ちを持てるかどうか、家計から見ればそうした持続的賃金上昇を期待できるかどうか)が生み出されるかどうか。結局、議論は金融政策論にとどまらず、「第3の矢」がテイクオフするか否かに帰着していくように思います。

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2 comments on “Vol.217: 展望レポート
  1. ペルドン より
    リスクは上下にバランスしている

    上下に・・
    「ある」・・
    ではなく・・「バランス」・!

    シーソー・・
    作成した方々・・子供の頃・・遊んだ・・思い出・・強いか・・
    この言葉・・使うと・・
    基軸・・
    必要・・
    基軸が・・上下にバランスしては・・
    言葉のバランス・・日銀・・花占い・・・(笑)

  2. パードゥン より
    人口減少の効果はどこに書いてあるのですか?

    買うものなくて、食べる事くらいしか消費するものなさそうですが、来年分の食いだめは苦しいし、怪しげな高級ホテルの高いレストランへ行く人は減りそうだし、そもそも、安いマックへいく基礎的な人数さえも減りそうですが。

    いくらお国の命令でも、もう食べ放題もあきましたよ(笑)

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