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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2013/12/02 09:00  | by Konan |  コメント(2)

Vol.221: 政権交代を振り返る


大袈裟なタイトルをつけてしまいましたが、全くの与太話です。民主党政権誕生という大事件から4年を過ぎた今、民主党の信認は地に落ちたままです。第三極と言われた維新の会も失速し、みんなの党も内紛状態です。政権交代を経て残った姿は、特定秘密保護法をも通す自公の圧倒的な優位と、健全な野党としての共産党のミニ復活です。こうしたことを期待して、4年前、(自分を含め)国民は民主党に投票したのでしょうか?あるいは、もう一度自民への対抗勢力が台頭し、政権交代が起きる可能性はあるのでしょうか?

民主党政権の崩壊は、鳩山総理の在日米軍基地を巡る余りに非常識で不可解な動きに始まり、東日本大震災対応のまずさがそれを決定付けました。ただ、後者については、自公政権ならもっとマシな対応が出来たのか、判断は難しいところです(役人の立場からは、役人を信じないという民主党の姿勢が、対応のまずさに拍車をかけたとの思いはありましたが)。そう考えると、民主党政権が鳩山総理で始まったことが、全てを決したと思えます。

最近でも非常識な外交活動を繰り返す鳩山氏をみていると、この問題は、民主党か否かの問題ではなく、個人的な問題に過ぎない面があるのかもしれません。他方で、外交や防衛のような統治行為のまさに根幹に関し、政権の経験が無い人は判断を誤りやすいという、一般的な問題に置き換えることも出来るかもしれません。そしてこの点が、我が国における政権交代の難しさの鍵とも思います。

ある種のトートロジーですが、55年体制が50年以上続いたという過去を書き換えることが出来ません。基本的に、自民党以外の政党は、政権運営、中でも外交や防衛に携わる経験を持ちません。そうした状況で政権が交代し、未経験の人がこうした仕事を担うと、失敗する可能性が必然的に膨らみます。そして、そこでの失敗が政権への信認を失わせ、政権が自民党に回帰してしまい、また、非自民党政権が経験を十分積めないままに終わると、仮に次回政権を担ったとしても、また失敗してしまう可能性が大きく残ります。そう考えると、民主党への政権交代の失敗はある種の必然であり、また、再度の政権交代は最早ないという、とても冷たい結論になってきます。

小沢さんをはじめ、民主党には元自民党員も少なからずいたことを考えると、この議論が余りに単純化し過ぎた議論であることは否定しません。ただ、そのうえで、次に政権交代が起こる僅かな可能性を考えると、何らかの論点で自民党が二分され、分かれたそれぞれが他の政党と連携を図ったうえで、大きな2極の間で政権を争う構図しかないように思えてきます。

現在の自民にそうした兆候はありません。あえて言えば小泉元総理の脱原発発言ですが(この点は来週触れる予定です)、彼ですら自民を割ろうとしているようには見えません。事態が動くとすれば、アベノミクスが行き詰まり、経済政策面での不満が高まった時です。争点となり得るのは次の2点と思います。

1つは、経済政策のあり方。財政再建を優先しお年寄りの優遇や地方への投資にメスを入れる覚悟を持つ考え方と、そうではなく優しさを追求し続ける考え方の間には、大きな違いがあるはずです。TPPへの対応もひとつの事例かもしれません。多くの国では、経済政策に関するリベラル度合いで、2大政党の対立軸が生まれます。わが国でもそうした対立軸が生まれる可能性は皆無ではありません。

もう1つは、外交や憲法の考え方。かつては、自衛隊合憲・違憲問題が、自社の支持を分ける大きな論点でした。憲法9条改正派と、中国等との関係改善を優先する派の間にも、本来は溝があるように思います。

こうした動きが起きる可能性は、現時点ではゼロに近くみえます。ただ、最近は自公の間の溝も垣間見えるようになり、頭の体操としては、自民が親公明派と反公明派に分かれ、維新やみんなが反公明陣営に、社民や生活が親公明陣営につくことも、あり得なくないようにも思います。政治は生き物。実際、川崎市長選挙のように自公が敗れる選挙も出てきました。次の国政選挙を考えると、3年後の参議院選挙と同時に衆議院選挙が実施され、しかも、初めての憲法改正の国民投票と重なる可能性もないとは言えません。そして、3年のタイムスパンの中では、さすがにいろいろな波乱も起きてくるかもしれません。

与太話におつきあい頂き、申し訳ありませんでした。

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2 comments on “Vol.221: 政権交代を振り返る
  1. ペルドン より
    振り返れば・・

    帝王学・・

    民主党首相の面々・・
    学ばず・・
    飛び級・・首座・・

    戦国・乱世なら・・
    間違いなく・・国を滅ぼした・・
    平成だから・・
    白旗掲げ・・首座から・・滑降するだけで・・済んだ・・

    済んだが・・
    国民の鬱憤・・今だ・・収まらない・・

    党の莫大な遺産・軍資金・・
    これは鍵だが・・抱えた指導部・・鬱積に呼応し・・
    捲土重来出来る・・人物皆無・・

    野にある・・悪党・・野伏りも・・釣られるのを待つばかり・・

    壇ノ浦から・・平氏復活・・
    赤旗の世は・・続く・・
    にしても・・
    元襲来もある・・
    平氏人材不足も・・実は・・民主党に劣らない・・

    が・・
    老舗の看板がある・・
    帝王学・・嗅いだ・・強みがある・・
    それに・・大軍がある・・
    日本にも・・ルビコン河がある・・
    永田町にある・・細い川がある・・

    我らが何処に行くのか・・
    それは・・
    クオ・ヴァデス・ドミネ・・・(笑)

  2. 猿面間者 より
    鳩山氏の「非常識」な行動とは?

    猿面間者と申します。こちらには初めてコメントします。

    > 鳩山総理の在日米軍基地を巡る余りに非常識で不可解な動き

    > 最近でも非常識な外交活動を繰り返す鳩山氏

    鳩山氏のどの行動が、「非常識」だとkonanさんは判断なさったのでしょうか。
    私には良く分からないので、
    具体的に教えて頂けますでしょうか。

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