2013/11/11 09:00 | by Konan | コメント(1)
Vol.218: black or white?
留学時代、大学食堂の喫茶室でコーヒーをサーブしてくれた、無愛想だがとても綺麗な女の子から、この質問をよく受けました。コーヒーにミルクを入れるかどうかという質問のことです。ちなみに、私はその彼女を笑わせたことがある数少ない人物として、周囲に評価されていました(笑)。
Gucci Postが扱う金融経済の世界では、この言葉は「黒田派か白川派か」を意味します。このコーナーで2回続けて日銀のレポートを紹介したついでに、今回は金融政策について簡単に触れようと思います。
黒田総裁が自らの政策を異次元緩和と呼んだことは、blackとwhiteは異なるとの自己認識を示したように思います。他方、白川総裁擁護派からは、「2つの政策にはそう違いはないし、白川総裁のままでも円相場や株価の状況に大きな違いはなかったはず」との声も聞かれます。違うのか同じなのか。
とてもずるい答え方はyes or noです。実際、この答え方が真実に近いようにも思います。よくこうした議論で「カンフル剤」「漢方薬」の喩が使われます。この2つは異なります。他方、症状を和らげるという「意図」は同じです。実態はこうした違いのようにも思います。
そのうえで、2点。第1に、いずれの政策も、日本経済をデフレから脱却させ、持続的な安定成長経路に乗せることを目的としています。そのため、白川総裁時代から既に思い切った非伝統的緩和政策がとられてきました。ただ、非伝統的な金融政策にはリスクが伴います。両極のリスクは、ひとつには国債の安易な引受けとのイメージを持たれる結果、国債の信認崩壊(=金利暴騰)につながるリスク。もうひとつは、株価あるいは地価に代表される資産価格市場が、金融政策により供給される大量のマネーに依存してしまい、ちょっとしたニュースで多額の資金が動き、暴騰・暴落を繰り返す極めて不安定な市場と化してしまうリスク、あるいはバブルが生じそして崩壊してしまうリスクです。
想像するに、黒田総裁の政策は、こうしたリスクをやむを得ないものと割り切ったうえで、デフレ脱却を最優先した政策、白川総裁の政策は、常にこうしたリスクにも配慮し、徐々にデフレ脱却を目指す政策とみることが出来るように思います。その意味では、カンフル剤と漢方薬の喩が、相応に当てはまるかもしれません。
もう1つ、物の言い方について。黒田総裁の会見の模様を読むと、結構はっきりと財政の信認維持の重要性を指摘し、消費税引上げについても賛成の発言が目立ちます。これは、上記のような政策が持ち得るリスクを意識したうえでの、カウンターバランスとしての発言とも思えます。他方、白川総裁の場合、例えば消費税についてそこまで明確に発言された記憶がありません(単にタイミングの問題だけかもしれませんが)。穿った見方をすれば、根っからの中央銀行員である白川総裁は、政府を完全には信用せず、自らの政策を慎重に進めることで、国債の信認崩壊のようなリスクに立ち向かおうとされていたのかもしれません。
いずれも想像の域を出ない与太話で、失礼しました。因みに、私は実際のコーヒーは常にwhiteですが、現在の政策がうまく行くことも同時に願っています。
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One comment on “Vol.218: black or white?”
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大恐慌時・・
ケインズ・・
委員会で・・英国中央銀行副総裁に・・政策公開・・鋭く迫った・・
副総裁・・(総裁・・ドロンした)
『我々は弁明しません・・
淑女が貞操を弁明しない・・と同じであります』
この古風な貞操観念・・未だに・・順守されている・・
もしくは・・遵守されていた・・
我が国の日銀総裁・・私生活・・とにもかくにも・・
公的生活では・・パンツを脱ぎ・・誇示する・・
名前の如く・・黒である・・
前任者・・明治生まれの如く・・貞操観念固く・・淑女の如く・・
名前の如く・・弁明せず・・白である・・
Cruさん・・
ブラックも好きだが・・ミルクにコーヒー少し入れる・・倹約家でもある・・
白黒つけがたい・・・(笑)