2015/07/28 00:00 | ロシア | コメント(1)
米国・ロシアとイラン・ウクライナ
■ ウクライナ:親露派東部2州に大きな自治権…憲法改正案(7月16日付毎日新聞記事)
ウクライナ議会が親ロシア派の東部2州(ドニエツク、ルガンツク)の自治権を拡大するための憲法改正案の審議を開始するとのこと。日本語の報道がこれ以外見当たらなかったのですが、それなりにインパクトのあったニュースです。
憲法改正自体は、ミンスク合意に則った措置なので新しい話ではないのですが、注目すべきはイラン核合意の成立直後というタイミングとヌーランド国務次官補がウクライナを訪問し、憲法改正案の審議についてウクライナ議員に働きかけを行ったという点です。イラン最終合意については、ロシアが非常に建設的な役割を果たしたということで、オバマ大統領がプーチン大統領に対して感謝する旨の発言をしています。
ウクライナは手詰まりの状況が続いていますが、いまや米ロ両国とも、できるだけ状況の安定化を図りたいという点では利害が一致しています。そうはいっても、お互い原理原則もあって関係改善が図れない状況にあった中、今回のイラン核協議における米ロの協力。これが米国の方針転換のきっかけになるのかもしれません。
ヌーランドがウクライナまでわざわざ出向いて、ウクライナ国内で議論のある憲法改正についてプレッシャーをかけたのも、事態の収束をはかりたい米国の意思を強い形で示したものといえるでしょう。このHPでは、何度となく米ロの関係改善の動きが進んでいることを示すシグナルがあると指摘してきましたが、今回のイランとウクライナをめぐる動きを見ても、あらためてその可能性が高いことが見てとれます。
ちなみに、イランの最終合意がロシアに与える影響については、複雑です。一般的には、イランの経済制裁が解除されることで、イランの原油輸出が始まりますから、油価がさらに下がることが予想され、これはロシアの経済にとっては打撃となります(ただ、ロシアの生産コストはものすごく低いので、どこまで深刻なものといえるかは議論があります)。
一方で、ロシアとイランとの間にはもともと強い経済的つながりがあったところ、制裁解除によってさらなるビジネスの発展が予想されます。具体的には、ロシアお得意の原子炉輸出の仮契約がすでに締結されており、また地対空ミサイル「S-300」の輸出も検討されています。イランビジネスに対するロシアの経済界の期待は並々ならぬものがあります。
そういうわけで、ここは現時点ではなかなかクリアーな判断がしにくいところです。もう少し様子を見てからまた取り上げたいと思います。
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One comment on “米国・ロシアとイラン・ウクライナ”
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>>もう少し様子を見てからまた・・
それだと・・
皆に見えてしまうのでは・?
四か国グラマー美人のヒップライン・・
見えるか・・見えない・・状態で・・憶測せねば・・
千里眼で・・
視なければ・・・(笑