2018/11/23 05:00 | 欧州 | コメント(5)
BREXIT協定の行方
■ 英EU、離脱合意草案で合意 強硬派は反発(11月13日付ロイター)
■ 英閣議、EU離脱協定案を承認 議会可決は不透明(11月14日付ロイター)
■ EU、25日に臨時首脳会議 英離脱協定承認へ(11月15日付ロイター)
■ 英EU離脱担当相ら辞任、協定案承認に抗議 与党でメイ降ろしの動き(11月15日付ロイター)
■ 英首相、議会が合意案不支持なら「EU離脱しない選択肢ある」と発言(11月15日付AFP)
■ メイ英首相、党首交代の動きけん制 「ブレグジット遅れるだけ」(11月19日付ロイター)
■ ジブラルタル、英EU離脱の新たな課題に スペイン首相「修正なければ協定反対」(11月21日付AFP)
英国とEUが交渉官レベルでBREXIT協定案の暫定合意に至り、メイ政権は閣議で承認を得ることに成功しました。
英国のメイ首相とEUのバルニエ首席交渉官は、合意に向けて決定的に前進したと成果を強調。トゥスク欧州理事会議長は、11月25日にEU臨時首脳会議を開催し、BREXIT協定と英国とEUの将来関係に関する政治宣言を承認すると表明しました。
合意は絶望的・・といわれた状況が急変したように見えます。しかし、予想されたとおり、早速に各所で不穏な動きが出てきました。
英国政府内では、閣議で承認したといっても全員の了解はとれず、直後にラーブEU離脱担当相はじめ4人の閣僚が辞任する事態になりました。
保守党内では、離脱強硬派グループ「ERG」のトップのジェイコブ・リース=モグ議員が党首の不信任投票を求める動きに出ました。不信任投票の手続きは保守党議員48人の要求があれば開始します。
不信任投票を要求する書簡を受け取り、手続を開始する権限をもつのは保守党内の組織である「1922委員会」トップのグラハム・ブレイディ議員。48人の要求が集まったかと思われたのですが、ブレイディはこれを否定。しかしこれから必要数に達する可能性も否定できず、予断を許さない状況が続きます。
一方、EU加盟国からも協定案に対する反発が出ており、スペインは英領ジブラルタルへの適用を除外するよう主張。またフランスをはじめとする多数の国々が、英国海域での自由な漁業(漁業は離脱協定の適用外)とビジネスの「公平な競争条件(level playing field)」が保証されることを英国に遵守させるためのメカニズムが必要と主張。
ただでさえ複雑な状況がさらにややこしくなり、EU側でも11月25日に協定案を承認できるのか怪しい雲行きになっています。
協定案の内容ですが、585ページにわたる膨大な文書で、しかも関係者を納得させるために複雑な妥協をいくつも織り込んでいるために、非常に分かりにくいです。メルマガでは私なりに整理したポイントをお伝えします。
仮にEU首脳会議で承認が得られたとしても、英国議会が承認しなければ意味がありません(厳密にはさらに欧州議会の承認も必要)。英国議会での投票は12月10日になるとみられています。メイ首相は議会承認を得るべく断固たる決意を強調していますが、見通しは極めて厳しく、実際のところ合意の絶望感は以前から変わっていません。
では、議会承認が無理ということであれば、合意なき離脱にまっしぐらか・・といわれると、実はそうとも言い切れません。いくつかミラクルなシナリオがあり、それが今回の暫定合意を経て、現実味を帯びつつあります。
BREXITをめぐる交渉は混迷を極め、もはやどんな可能性もあり得る・・逆に言えばどうなるか誰にも分からない・・というほどにカオスな状況に陥っています。その中で見通しを述べるのは極めて困難ですが、BREXIT協定案のポイントと、今後予想される英国議会の動き、そして今後の展望について、現時点で分かる範囲で解説します。
※ここから先はメルマガで解説します。アウトラインは以下のとおりです。
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BREXIT協定の行方
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●協定案の内容
●協定案の議会承認
●議会否決後のシナリオ
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あとがき
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■ ボルトさん、サッカーで2得点 豪州クラブの試合に初先発(10月13日付CNN)
■ ウサイン・ボルト、豪サッカーチーム退団へ 「世界最速」の挑戦終わる(11月2日付BBC)
さすがウサイン・ボルト、スーパースターはなんでもできてしまう・・と思っていたら、その2週間後には一転して残念な結果に。
スポーツにおける異分野での挑戦では、かつてはマイケル・ジョーダンのメジャーリーグ挑戦がありました。メジャーリーグとNFLの二刀流にはディオン・サンダースやボー・ジャクソンがいましたね。最近はあまり聞きませんが。
大谷翔平選手もイチロー以来の新人王に。こういうマルチなチャレンジを聞くと、人はいつでも新しいことに挑戦できるのだなあと勇気づけられます。私自身も、分野を問わず色々な仕事に挑戦したい気持ちがあるので、応援したくなりますね。
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5 comments on “BREXIT協定の行方”
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BREXITをこのような形で、「争点」「議論の中身」「シナリオ」と分かりやすく論じている記事は読んだことがありませんでした。こんなカオスな状況で「見通し」なんてある意味リスクをとって挑戦するような、プライドのある人は他にいないでしょうから。。
重要なのは、首脳会議や議会での結果だけでなく、協定案で述べられている事から、それが今後どう言った火種となるのか、考えを巡らせることにあるのかな、と感じます。アイルランドと関税同盟の問題など、ポイントも分かりやすく、勉強になりました。
それにしても、この短時間で協定案を読んだ日本人って、どのくらいいるんでしょう?(笑)サマリーみたいなものでもかなりの量で、本文なんてそれこそカオスです。サマリーですら、凡人はさっさと挫折しています!(笑)
もともとEUはドイツを押さえるためにフランスとイギリスが組んだものと見ている。イギリスが脱退を決めたのはその役目が終わったと判断しているからではないか。
ドイツが三度欧州を席巻することはない。排ガス装置すら作れなかったことを見れば良いのではと素人は思う。
したがって経済条件だけではなく、欧州の力の均衡状態が変化した。
戦前日支の争いにドイツが絡んだのは支那においてドイツの権益が大きく、支那事変の最初において戦ったのは支那ではなくドイツでした。
ドイツは第一次世界大戦以降我が国を深くうらんでいるのが実情で、これは今も同じでしょう。
日支がたたかえばソ連が益するのは誰が見てもみえみえで、ドイツはそれを避けたかったから、調停に入った。しかしわが国は其れが見えなかった。
今回アメリカの対中政策の変更は西安事件以降の変更でしょう。そのためドイツはさらに困ることになるわけだが、いずれにしてもイギリスはドイツについてはもうや脅威ではないと判断しているがフランスが違う。
したがって経済条件ではない要素を見ると、イギリスは伝統的な大陸政策へと戻ることになり、それはロシアとの協商もなくなると思う。
わが国は明治以降支那朝鮮に関わった政策の変更が求められる。ようやくその外交政策の変更がはじまる。つまり明治維新の一部分の変更です。
多くの日本人は大東亜戦争の元は朝鮮だと思っていない。我が国の繁栄を壊したのは朝鮮だと思っていない。たぶん之が命取りになるがこのごろようやく一般国民もそれとなく認識し始めたようですが、政府上層部は学習能力がないのか戦前の軍上層部と同じですね。
今週のイギリスのものは
私にとっては理想的なものでした(笑)
なぜなら、固有名詞がほとんどない!
ありがたい、ありがたいと思い読みました
この概略を学習すれば
あとは自分で調べればよいと思います
日本語を読むのも適当なのに
英語なんてもっと適当なことは自覚している(笑)
思うのですが
私は
トルコの警察か検察がサウジの領事館に捜査に入った
と聞いたときに違和感を相当覚えました
たとえて言うならば
アメリカ大使館に日本の警察が入った
米軍基地に日本の警察が入った
と同じような感覚になると思います
そんなことあり得ない訳であって
ふとした疑問をここに書き込むか
JDさんあてにメールを編集部に送れば
とってーも
優しいJD先生は
回答をくれると思います
私はレベルなんぞ高くなく
小難しいことばかり聞いている印象でしょうが
みなさんにとっては
大したことは全くありません
単なるアホです
ただほかの方が
ずいぶんと高いレベルの質問をしているように
感じても
負けちゃいかん
と思うのです
ぐっちーのコメント欄も
同じだと思います
なんだか
すげーこと書いてあるような気がしますけど
大したことなんか
ほとんどないのです。
喧嘩を売っているのではなく
もっとかんたんに書けばいいのに
と思うのです
所詮、私はバカですから
バカはバカなりに生きていきたいのです
バカは一生、治らないと思っています
ありがとうございます。大変ありがたいお言葉です。
別稿へのコメント欄で「事実」と「評価」の峻別についてコメントされていましたが、この点含め、貴兄が感じていることに強く共感しています。
ご意見に刺激され、思ったことを書いていたら長くなってしまったので(笑)、別途メルマガで書くことにします。
那須の山奥の兄ちゃんさんのコメントを拝読し、勇気をもらいました。
というのは大げさかもしれませんが、皆さん(那須の山奥の兄ちゃんさんも含むのですが)のコメントが高度すぎて、レベルが高いなぁ・・・と感じておりました。
ですから、「ふとした疑問をここに書く」「負けちゃいかん」に強く同意です。
小生もJDさんの優しさに甘えて、ドシドシお尋ねしていこうと思った次第です。