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2015/05/24 00:00  | 日本 |  コメント(3)

新安保法制をめぐる議論


平和国家の歩み変わる=柳沢協二元官房副長官補に聞く【戦後70年】(4月27日付時事通信)

安保関連法案が国会審議に入るということで、色々な議論が出てきています。私はこの問題にあまり関心がないのですが(苦笑)、上記記事に出ている柳沢元副長官補のことは、昔、内閣官房にいたときに一緒に働いたことがあり、よく知っています。能力・人格ともに優れた人物であり、周囲から尊敬されていました。

はっきり言ってしまうと、昔の「防衛庁」は、今と違って、自衛隊には災害派遣や国際貢献の任務もなかったところ、自衛隊の維持・管理をするだけの三流官庁とされ、内局には人材がほとんど集まらないと言われていました。それもあって次官ポストは大蔵省出身者で占められていました。

そんな時代だったので、東大法学部から入った柳沢氏のような方は超エリートで、安定感さえあれば申し分ない幹部候補となるわけですが、特に柳沢氏はリーダーとしての素養を備えていましたから、悲願のプロパー出身の次官候補として、将来を期待されていたと聞きます。

実際、エリート街道を行き、次官の可能性は十分にあったはずですが、同じ時期に「天皇」と言われ防衛省に君臨した守屋武昌氏の後塵を拝する結果となり、防衛省を離れ、内閣官房に転出しました(分かりにくいですが、「内閣官房副長官補」とは各省の次官相当のポストです)。

(ちなみに、守屋氏は色々な問題を抱えた人ではありましたが、同氏の『「普天間」交渉秘録』は非常に貴重かつ優れた証言録であり、基地問題に関心がある人なら必読の一冊と思います。)

この当時、内閣官房は、現在の国家安全保障会議(NSC)の役割を担っていましたが、実際には、外務省、防衛省、警察庁の出先機関に過ぎず、安全保障政策の実権はこれら親元の省庁に握られていました。しかし、防衛省からの出向者に関しては、柳沢氏のような実力のある人がトップに立ち、また親元においては守屋次官という非常に個性の強い人物が君臨していたため、同次官から距離を置くことを望む優秀な人材が集まり、親元の防衛省とは異なる独自の存在感を発揮していました。

これは結果として防衛省の影響力を裏から強めることにつながりました。防衛省は、当時、官邸に秘書官を置くことができませんでしたが(財務、外務、経産、警察の4大官庁だけが許されていました。)、内閣官房を通じて、官邸との間に事実上のパイプを作ることができたからです。これは、官邸の力の強化を狙う飯島勲秘書官のイニシアチブにも合致していました。

このへんの事情は飯島勲『小泉官邸秘録』に詳しく書かれています。このとき飯島秘書官が連れてきた防衛省の方は、当時からエースと言われていた人物であり、現在は防衛省において実務上最も重要とされるポストに就いています。私も一緒に働きましたが、素晴らしい方でした。

話が大きくそれましたが、元に戻すと、上記記事で述べられている柳沢氏の新安保法制に対するお考えは、一緒に働いているときはまったく知りませんでした。在任中、集団的自衛権に関わる仕事も当然ありましたが、そのときには政府批判などすることなく、自らに課された職務を淡々と果たされていました。

個人的には、柳沢氏の見解にはまったく同意しません。しかし、在任中に自己の職責から離れた言動は一切行わず、退任した後に初めて自らの見解を自由に述べる態度に対しては、尊敬の念を抱いています。やはり、プロたるもの、特に公に仕える者であればなおさら、自分の役割には徹さないといけないと思うのですね。そういうわけで、私は在任中から無責任な言動を繰り返していた田母神氏や古賀氏のような人は嫌いです。言っている内容以前に、人格に疑いを抱いてしまうのです(もちろん、発言の内容にも共感しません)。

「世界情勢ピックアップ」というよりは、ほとんど「雑談」になりました(笑)。まあ、週末ですし、こういうときがあってもいいですよね。ご寛恕下さい。

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3 comments on “新安保法制をめぐる議論
  1. 匿名希望 より:
    うぃひっく官僚

    近い知合いの官僚連中を見ていても、大学出た直後はペラペラ喋っていましたが、数年後には酒が入っても、非常に自分を律して分を守るいるという印象です

    結婚式余興用に、某官僚のプライベート映像を取らせて貰いましたが、そんなめでたい時に、一緒に大学時代を(ひたすらお酒飲んで馬鹿ばかりしていた気がするが)過ごした人たちと一緒でも乱れない。ついでに、彼は数年後に離婚しましたが、やはり理性的手紙を頂きました。

    そんな己を律し続けられる官僚たちが、第三セクターウンタラやら、特別会計やら、も並行してするのが不思議。いつかどこかで、特別会計の本質話を知りたいけど、無理でしょうね(隠した方が、日本国内で還流できるっていう気もするけど、全体感が良く分かんない)

    OKストアの安ワインボトル(350円だけどコストパフォーマンス大)を飲みながらの、酔っ払い雑談コメントでした~♪

  2. ペルドン より:
    議論

    JDさん・・
    本当に・・「パウダーモンキー」・・なんではありませんか・・・?(笑

  3. JD より:
    匿名希望さん

    ありがとうございます。私も酔っ払って書いたような内容の雑談でしたので、大歓迎です。笑

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