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2016/11/25 00:00  | 中国 |  コメント(3)

​中国共産党大会のポイント


「6中全会」で述べたとおり、来年秋には5年に1回開かれる共産党全国代表大会(党大会)が予定されています。

来年の大会は第19回大会。ここで、19期の①中央委員(18期は205人)、②政治局員(18期は25人)が選出され、③常務委員(18期は7人)が選出されます。

まだだいぶ先の話ですが、文字通り中国の将来を決める重要なイベントであり、その見通しをおさえることは日本にとっても世界にとって極めて重要です。6中全会を経て方向性が見えてきましたから、現時点で考えられるポイントを整理しましょう。

まず、現18期の常務委員7人は序列順に以下のとおりです。

習近平(63) 党総書記、党軍事委員会主席、国家主席、国家軍事委員会主席 太子党
李克強(61) 国務院総理 共青団派
張徳江(69) 全国人民代表大会常務委員長 江沢民派
兪正声(71) 全国政治協商会議委員会委員長 太子党
劉雲山(69) 党中央書記処常務書記、党中央精神文明建設指導委員会主任、党中央党校校長 江沢民派
王岐山(68) 党中央規律検査委員会書記 太子党
張高麗(70) 国務院常務副総理 江沢民派

この常務委員がどうなるかが党大会における最大の注目点ですが、現時点で考えられるポイントは以下の3点です。

●68歳定年制

現在、中国共産党には68歳定年制という不文律があります。このルールが適用されたのは2002年の第16回党大会でした。当時68歳になった15期の常務委員の李瑞環を退任させるために採用されたと言われています。

李瑞環は江沢民の政敵であり、江沢民の腹心である曽慶紅が仕組んだというのが一般的な見方です。なお、曽慶紅自身も、2007年の第17回党大会で、この定年制のために退任を余儀なくされました。

習近平はこの68歳定年制を延長しようとしている、と噂されています。その狙いは二つ。

まず、腹心の王岐山を常務委員に残すことです。王岐山は、習近平の腐敗撲滅キャンペーン(虎退治)の陣頭指揮をとっており、習近平にとっては最も頼れる右腕ともいえる存在です。

この王岐山は既に68歳。定年制に従えば退任しなければなりません。それを阻止するのが目的です。

しかも、次に述べる李克強の処遇に関わる話ですが、王岐山は元々は経済の専門家ですから、常務委員に残ることができれば、李克強に代わって首相を任せることも可能になります。

次に、習近平が3期15年にわたり総書記を務められるようにすることです。習近平は2022年の第20回党大会において68歳になります。

定年制に従えば習近平といえど退任しなければなりません。それを阻止するのが目的です。

「6中全会」で述べたとおり、習近平は「核心」と呼ばれるに至り、権力基盤を固めつつあります。そうであれば、68歳定年制の延長というルールの改定も可能かもしれない、と推測されます。

●李克強の処遇

昨年頃から、習近平と李克強との間の対立が表面化してきました。李克強の処遇に関して考えられるシナリオは以下の3つです。
 
①首相を続ける(既定路線)
②首相を退任するが常務委員は続ける(他のポストにおさまる)
③常務委員を退任する

これも、習近平の権力集中からすれば、②③の実現可能性もゼロではなさそうです。この場合、68歳定年制の延長が実現していれば、王岐山が首相に就任するとみられます。

しかも、李克強の降格は、中国経済の停滞の責任を負わせるということで説明が立ちやすいです。もっとも、「核心」に至るためには、相当の政治的妥協を強いられたという面もあるでしょうから、いくらなんでも③は難しいとみられます。現実的な選択肢は①か②ということになりそうです。

●常務委員入りする若手は誰か

最近の2人の党総書記である胡錦濤と習近平は、ともに総書記に就任する前に常務委員入りを果たしています。

18期の常務委員は、年齢を見れば分かるとおり、習近平と李克強を除けばすべて退任することになります(例外になり得るのが王岐山であることは前述のとおりです)。

したがって、19期に新たに常務委員に選ばれ、かつ年齢の若い人物が次の党総書記になる可能性が極めて高いといえます。

現在、次代のエースとみられるのは、胡春華(広東省党委書記)と孫政才(重慶市党委書記)。二人とも54歳と若く、2012年の第18期に政治局員入りを果たしています。ただ2人とも共青団出身であり、どれほど習近平に近いのか分かりません。

習近平に近いという観点からすれば、ダークホースは趙楽際(中央書記処書記)。59歳と若く、第18期に政治局員入りを果たしています。習近平と同じ陝西省に原籍があり、陝西省党委書記を務めていることもあり、習近平により抜擢されたとみられています。

もっとも、習近平の権力集中が進んでいることからすれば、紅二代の人物を新たに抜擢することもあり得るでしょう。その意味で新たに政治局員入りする若手にも要注目です。

最後に、日本との関係については、習近平体制が盤石になり、さらにポスト習近平体制も固まってくれば、日中関係も安定に向かうでしょう。その意味でも上記3点がどうなるか要注目です。

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3 comments on “​中国共産党大会のポイント
  1. より:
    役人を捕まえるのを見ていると

    王岐山が首相になると、債権処理をバンバンやる姿が想像できます。外国から借りていた、債権は、その時どうなるのでしょうか?

  2. hk2009 より:
    取引所間を結ぶ低レイテンシー回線

    必要な部品:
    1) Microsoft Research の Project Natik
    2) ロシアも建造した「浮体原子力発電所」
    3) グリーンランド ~ カラ海 の辺りから放射状に、北米・ロンドン・東京・上海 へ張られた海底・陸上ケーブル
    システム概要:
    コロケーションした上で統合判断ロジックをカラ海の海底DCで動かす。。。
    脊髄反射と大脳皮質のように処理ロジックをうまく階層化できるのか。。。
    プーチン大喜び??

  3. hk2009 より:
    イギリスはちとズルイ

    AIIBに入った。
    NDB には南アフリカ経由で関与できる。
    上海や北京にシティー金融街のコピーを造ろうとしている。(中共の家庭教師になってる)
    東京も5~10年後に後塵を拝すことにならないか。
    小池都知事がんばれ。

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