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2016/12/16 00:00  | 歴史・法・外交 |  コメント(7)

訪問国の順番


「今週の動き(10/31~11/6)」へのコメントに対する回答です。

【質問】
すごく初歩的な質問で少々申し訳ないのですが、一国のトップが就任して間もない頃に外遊するときの順番ってどのくらい重要なのでしょうか。
もちろんケースバイケースなのでしょうが、それでもある程度、その国や地域へかける期待や理由が分かってくるものなんでしょうか。
ドゥテルテやアウンサン・スーチーが先に中国に行くことは、単に「フィリピンやミャンマーにとって、日本と中国を天秤にかける状況になったときは、中国になびきますよ」と理解してよいものでもないように思います。
JDさんの解説が聞きたいです。
よろしくお願いいたします。

【回答】
なかなか渋いというか、私好みの玄人的なご質問です(笑)。

結論から言えば、訪問国の順番は、そこまで気にする話ではありません。

たしかに外交にはプロトコールがあり、新しい指導者が就任した場合にまず優先する訪問国というものは存在します。ここで物を言うのは先例です。そして、その蓄積に基づく意見具申をするのは外務省ということになります。

ただ、現実には、相手国の都合もあります。また、トップに確固たる考えがあれば、先例など吹き飛びます。

最近では、トランプが大統領選の勝利直後に外国のトップと次々に電話会談を行いましたが、これが国務省とまったく擦り合わせていないことが問題になっています。

台湾の蔡英文総統との会談など、国務省と協議すれば実現することはあり得なかったでしょう。トランプの場合、厳密言えばまだ大統領に就任していないので、形式的には問題のある行動とは言えませんが、仮に大統領に就任した後だったとしても、トランプが決断すれば、国務省としては止めようがありません。

こういう事情は各国とも分かっています。したがって、仮に訪問国の順番が先例と異なっていたり、サプライズがあったとしても、実際のところそれほど問題にはなりません。

では、訪問国の順番は、まったく意味がないのか。そんなことはなくて、これは訪問する側としては格好のアピールの機会となります。

たとえば、フィリピンのドゥテルテ大統領が最初の訪問国を中国ではなく日本とする可能性は十分にあったわけですが、もしこれが実現すれば、日本としては、フィリピンがいかに日本を重視しているか、ということをアピールする材料となります。

しかし、だからといって、これが実現しなかったからと言って、日本が問題にすることはありませんし、フィリピンが日本より中国を重視した、という風に論じるのも意味がありません。中国も、もちろん最初の訪問国となったことを歓迎はしますが、特段日本より優位に立ったことをアピールすることはありません。

また、かつて中曽根首相が就任した直後、米国ではなく韓国を最初の訪問国としたことがよく取り上げられますが、これも、アピールの材料として使えるので、できるだけ使う、ということです。このことを米国が問題視することはもちろんありません。

プロトコールは形式に過ぎませんが、まったく無視できるものではありません。うまく利益に合致すれば、自らにとって有利な材料となります。逆に言えば、その程度のものですが、外交当局としては、これを使えるだけ使うべきであり、どこまで最大限活用できるかが外交術となります。

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7 comments on “訪問国の順番
  1. ペルドン より:
    開戦通知

    応えないのが答え( ^ω^)・・・(笑

  2. JD より:
    ペルドンさん

    答えませんが、開戦通知を打ったタイプライターは、今でも在米大使館にありますよ。笑

  3. 森田 より:
    ご解説

    ありがとうございます!
    訪問国の順番については、必要以上に重くとらえる必要はないということなんですね。
    とは言っても、外交上では重要な材料の一つになり得るので、注視はしないといけない、というような感じだと思いました。

    ということで気になるのはトランプ次期大統領の最初の訪問先ですね。
    これはさすがのJDさんでもわからないかんじですかね(笑)。

  4. まーヴぇりっく より:
    訪問国順番

    いつも拝読してます。私も上記の質問は気になっていました、JDさんのコメント欄に対する反応や丁寧な回答には特に関心をもって楽しみにしております。今回も勉強になりました。答えはないけど、最大限活用は意識している。納得です。中曽根総理の時は私は小学生でした。韓国が最初の訪問国だったとこととよく取り沙汰されることは今知りました。きっと当時最大限活用できる何かがあったということでしょう。

  5. JFKD より:
    この時

    吉田茂が大使館にいたと思いますが、既に敗戦を覚悟して、この通知の真実に相当係わっていたとか。山本五十六も堂々と敗戦を自覚していた。二人とも負けると解っていて行動したから深い闇があったのだろう。ルーズベルトは戦争しないと言って当選し、異様なまでに戦争に執念をもやしていたのでは。うまい具合に大不況で人為的に拡大させた趣がある。いやがる米国民も知らない間に戦争にうまく誘導された。大戦で大不況を克服した。
    日露戦争以後、役目を終えた日本は既に敵としてターゲットにされていて追い込まれ、逃れるすべはなかった。なんとなくフセイン潰しと似たパターンだ。御前会議で天皇は飾りだったのか、それとも最後の一声だったのか、想像をたくましくする。
    吉田も天皇も戦後は大活躍だったが、キッシンジャーの登場で、またも日本の立場は危ういものとなった。冷戦終了でますます厳しいものとなった。だがぐっちーの言うような、日本の強みも意識して、ターゲットにされないよう生き延びないと。

  6. OnsidekickRecover より:
    お答えありがとうございました

    そりゃこんなところには書けませんよね。

    真実は1つでしょうけど、

    途中経過はどうあれ、結果は同じだったということで。

  7. ペルドン より:
    日ロ

    こちらでも・・
    不評判だ・・
    こんなモンだと思っていたが・・
    鈴木氏と佐藤優氏は・・100点満点とコサックダンス・・
    コサックダンスは・・プーチン側だとは思うが・・
    それでも・・お互い・・
    唾ぽい・・口付け交わせた・・

    500石取りの侍に出世させたから・・
    直殿の嫁とりもまじかだから・・
    有態に説明しして欲しい( ^ω^)・・・(笑

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