2016/10/26 00:00 | 東南アジア | コメント(6)
ドゥテルテ外交①
■「ドゥテルテ比大統領「対米関係断絶せず」、本意は外交政策の分離」(10月22日付ロイター)
2016年6月30日に就任して以来、旋風を巻き起こしているフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領。
先週の訪中に続いて、昨25日にはいよいよ日本にも到着。本26日には安倍首相との首脳会談に臨みます。
本国では「Du30」という通称で呼ばれるドゥテルテは、大統領選においては、治安対策をシングル・イシューとして、「犯罪者は殺す」といった過激な言動によりフィリピン国民の心をつかみました。
10月7日で政権発足100日を迎えましたが、その間に最重要課題として進めたのは「麻薬戦争(war on drugs)」。6か月で麻薬犯罪組織を壊滅させると宣言し(最近、期間をさらに6か月延長)、薬物犯罪容疑者の殺害件数が4,000人、出頭数が70万人を超えました。
国内メディアと海外からは、人権侵害として激しい非難を浴びる一方、国民の実に84%が麻薬戦争の取り組みに「満足」。就任時に90%に上った大統領信任率は、いまでも80%台を維持しています。
とはいえ、この麻薬戦争の手法は、ダバオ時代から知られていたドゥテルテの持ち味であり、ある意味で想定内のことでした。ところが、ドゥテルテは、外交においても驚くべきイニシアチブを打ち出しました。
それが、「自主外交路線」です。その内容は、ご存じのとおり、米国に対しては挑発的な言動、中国に対しては融和的な言動を繰返し、これまでの親米路線の修正をはかるもの。
ドゥテルテは、ダバオ市政を30年にわたり仕切ってきましたが、一地方の首長に過ぎず、外交に関しては経験が皆無。選挙においても中国との経済協力への言及はありましたが、明確な方針を打ち出したことはありません。
それだけに、この「ドゥテルテ外交」ともいうべき新外交方針はかなり驚きでした。しかし、ドゥテルテの人物像を知れば、こうした路線をとることはある程度説明がつきます。
ドゥテルテは、なぜこうした方針をとるのか。果たしてその外交方針はどうなっていくのか。これについて次回述べます。
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6 comments on “ドゥテルテ外交①”
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日本巻き込み・・我国にしがみ付く戦略・・彼は米国も中国も・・
眼中にない・・
我が関白殿に受けて立つ戦略・・あるやなしやの問題・・・(笑
米国に唾を吐くような言動が取り沙汰される割には、今回の訪日で岸田外相が笑顔で握手。
夕食会まで開いての歓待ぶりはちょっと意外でした。
オバマへの挑発的発言や親中路線は猿芝居で、じつは米国としっかり握れているのではと見えてしまうのですが、もしそうなら日本でも冷遇しないと芝居にならないし、いずれにせよ訪日での歓待は不可解です。
いずれにせよかなりの策士なのでしょうね。
ドゥテルテは民主的に選ばれた大統領でフィリピン人の86%から支持されていることを念頭に置くと、彼を真正面から批判することはフィリピン人の選択そのものを否定することであり、彼を怒らせて正常な外交関係を維持できなくしてしまうのは下策であろうかと思います。
(オバマのフィリピンへの態度は杜撰なものであったと指摘せざるを得ません)
ドゥテルテについては「徹底的に歓待し、日本の文明水準の高さと懐の深さとを見せつけた上で、ごく控え目に一言だけ苦言を呈する」というのが日本としてはベストではないでしょうか。
通常の外交戦略ではなく、「荒ぶるドゥテルテの心をいかに鎮めるか」という心理的な作戦、日本国家そのものがドゥテルテのセラピストとなって彼の信用を勝ち取ることができるかどうか?というのが当面の対フィリピン外交の戦略目標になるのではないかと思います。
(アメリカという国はこういう能力については完全に欠如していますよね。)
また、フェイスブックのコメント欄などを見ていると、画家のAYUMIさんを始め、フィリピン在住の日本人や、ダバオ市を訪れたことのある日本人は、「地元民がどれほどドゥテルテを尊敬しているか」「ドゥテルテがダバオ市をどれほど改善したか」ということが欧米メディアには注目されていないことに苛立ちを高めている人が多いように見えます。
「素顔は意外に優しい? 暴走するフィリピンの「暴言大統領」」という記事でも、ダバオ市で、女性・児童・イスラム教徒などの「弱者にやさしい」面が指摘されていました。
なんて、ドゥテルテに真面目に説教されると
日本は返答に困りますね
安部さんが上から目線で説教するつもりが、
逆に説教されたりして
安部: 進駐軍はそのままだが、海外派兵も始める
デゥ: まずは外国軍なしでも自国を守れるようにしろ!
俺はそうする 世の中は自立が大切だ!
俺は困ってる市民の為に体をはってきた、これから自国民
を守る 中国から金もらっても貧困者を救う
安部: 悪い奴でも人権を無視してはいけない
デゥ: アメリカが海外でやってる事を国内でやってるだけだ
安部: 間違える事もあるだろ!
デゥ: アメリカは病院も誤爆してるぞ
説教しても仕方ない、協力できる事を明確にするしかない
外交に関しては教えてやると言われかねない(笑)
極論的な思考が危険なことは承知してますが、先進国アメリカでも、フィリピンでも、言いたいことは言う的な大統領が流行ってますね。
日本では未経験。いや、大阪にいたか?
国は違えど、その根本は共通してるのかもしれませんね
ドゥテルテは自分でもトランプを意識して、思わず本当の事を言ってしまうとフジテレビのインタビュー言っていた。サンダースでなくトランプだというのが、今の世界の意識なんだな。それほど世界はグローバリズムの結果を意識せざるを得なくなった。トランプ(ヒラリー盛り上げ役として?)が立候補などせず、サンダースが残っていれば、ドテルテの言動もちがったかもしれない・笑。だが庶民はサンダースよりトランプが好みだ。さすがにグローバリズムをひっくりかえせないということか。しかし英国もEU離脱した。世界は動き出したのかも
確かにCIAは世界の麻薬生産・流通の元締め、というより昔からのアングロサクソンの本職。HSBCも本業だった。アヘンにやられた中国では死刑というのも理解はできる。ドゥテルテも麻薬生産・流通を仕切るCIAが取り締まりもやっている矛盾が身に染みているのだろう。両方やっている偽善性に、オバマの人権だなんだの美辞麗句の偽善性が重なり、自分の正当性が生まれる根拠としているのではないか。そんなことオバマが言える道理がない。自国から麻薬を撲滅するには米国の追放が必要というのは真実だろう。だがそれでは安全保障がままならず言動が定まらず、トランプの存在のありがたさに感謝ということになる・笑。
それに米国はパナマのノリエガ将軍が、麻薬元締めのCIAに逆らい、ヘリコプターで乗り込み身柄を確保されたことを、俺もやっているだけだと言いたいのかも・笑。
そんな米国が世界の警察官を辞めたら、いったい何者なの?・笑