2016/10/25 00:00 | 米国 | コメント(1)
米国大統領選:第3回テレビ討論会
■ 「Fact Check: Trump And Clinton Debate For The First Time」
■ 「FACT CHECK: Clinton And Trump Debate For The 2nd Time」
■ 「Fact Check And Full Transcript Of The Final 2016 Presidential Debate」
NPRのトランスクリプトとファクトチェックが便利なので貼っておきましょう。今後も何かと参照する機会があるかと思います。
「今週の動き(10/17〜23)」で、勝負はもう見えてきた、人格攻撃に終わるだろうからつまらないだろう・・・と述べていましたが、予想どおりの展開でした。
トランプは、性的発言テープ(これが後世において2016年の「オクトーバー・サプライズ」と言われるでしょうか)から窮地に追い込まれましたが、これをはねのけるパフォーマンスを見せることはできませんでした。
なお、余談ですが、予備選の段階でトランプの性的発言テープが出ていればおそらくマルコ・ルビオやジェブ・ブッシュが勝利していたでしょう。共和党にとっては残念なことでした。
結果として、テレビ討論会は、トランプの3連敗に終わった、というのが米国識者の一致した見方です。テレビ討論会の終了後、民主党・共和党の両陣営において、トランプ敗北を前提にした動きが出てくるようになりました。
まず、最も際立つのが、選挙結果が「疑わしい結果であれば、法的な異議申し立てを行う権利を取っておく」というトランプの発言です。
■ 「トランプ氏、大統領選「勝利」なら結果受け入れる」(10月21日付ロイター)
トランプは、以前から、選挙は「仕組まれている(rigged)」という発言をしており、これ自体は目新しいものではありませんが、大統領選挙前1か月を切ったこのタイミングで、訴訟まで起こすという具体的な行動に言及している点は注目に値します。
一方、民主党側は、大統領選よりも議会選に力を注ぎ始めました。ヒラリー・クリントンは共和党の地盤州での選挙活動を開始、資金も投入しています。
講演会で詳しく話しましたが、下院(共和党246、民主党188)では民主党が大きく議席を拡大しても、過半数まではとれない一方、上院(共和党54、民主党44)では民主党が過半数を奪還する可能性が高いとみられています。ヒラリーが地滑り的勝利をすれば、民主党の大躍進の可能性がさらに高まります。
一方、ヒラリー陣営の唯一の懸念は、トランプ敗北が予想される状況に安心した有権者が投票に行かなくなることでした。
もともとヒラリーも絶大な不人気候補です。ヒラリーは支持しないが、トランプを勝たせたくないから、という理由でヒラリーに投票するという有権者もかなり多いところ、こうした消極的支持者は、最近のトランプ凋落をみれば、これならあえて投票せずとも良い、と考えることは大いに予想されます。
ところが、ここで起こったのがトランプの「選挙結果を受け入れない」発言です。米国民主制の根幹を否定する前代未聞の発言であり、トランプの絶対的な支持者を除けば、誰にも受け入れられることはないことが明らかな発言です。
これを聞けば、上記の消極的支持者も、圧倒的な結果をもってトランプを敗北させる必要がある、という見方に傾きます。
もちろん、共和党指導部においても、トランプの発言を許容できる人はいません。まさに、自分の首を絞めて、自分自身の敗北をダメ押しした、といえるでしょう。
それにしても、多くの人が指摘しているとおり、今回のテレビ討論会は米国史上かつてないほど醜いものでした。
討論会で両候補者が握手しない、トランプの「貴方(ヒラリー)を投獄する」という発言、元大統領(ビル・クリントン)を根拠なく貶める発言・・・すべてトランプが原因ですが、本来、米国のような民主国家では起こりえないはずの、実に嘆かわしい現象です。
二人の醜い争いは、テレビ討論後のアル・スミス元州知事記念基金のための夕食会でも続きました。
■ 「Al Smith dinner: Most memorable lines from Trump, Clinton」(10月21日付CNN)
こういう場では、自虐的なジョークで笑いをとるのが常識です。それが、トランプもヒラリーもお互いに誹謗中傷の嵐。特に責められているのはトランプですが、ヒラリーもかなり辛辣です。まあ、お互いにジョークを聞いて笑って、最後に握手したところぐらいが唯一の救いでしょう。
PBSが過去のテレビ討論会の名場面をまとめたムービーを掲載しています。
■ 「Watch and interact with every presidential debate since 1960」
非常に優れた企画ですが、これを見ると、過去の素晴らしい討論会との比較が圧倒的で、ますます嘆かわしい気分になりますね。
大統領選はもうすぐですが、そのあとは、レームダック・セッション(TPP審議)、ヒラリー・クリントン政権の展望が焦点になるでしょう。このへんは、大統領選が終わってから取り上げます。
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One comment on “米国大統領選:第3回テレビ討論会”
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日本が大バブル崩壊後の苦しい経済時期を
ジャパンパッシングされて、今の年金基金まで差し出す
悲惨な社会を作ったた時代の再来ですからね
男クリントン経済の成功は中国シフトでした。
日本外交の正念場になるので、早く準備しないと
豪潜水艦の受注競争は国防上まけてもよかったが
日米貿易に対する外交力は不安ですね
既に大幅な”元安”でクリスマス商戦は苦しい状態
外務省と財務省とで祖語のないようにしてください