2025/01/27 06:30 | メルマガ | コメント(0)
第286号 大統領就任で動き出したトランプの政策
●先週のマーケット
・生活実感としての物価高
●今週の米国経済統計(予想)
●先週の米国経済統計(結果)
●経済統計分析
1. 新規失業保険申請件数
2. トランプ大統領就任
3. 日銀は観測通りの利上げ決定
●あとがき
それでは、さっそくまいりましょう。
あとがき
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さて、昨年から続く日銀の利上げサイクルにおいて今回は3回目の利上げとなります。
2024年3月にマイナス金利解除により政策金利-0.1%から+0.1%へと0.2%の引き上げ。続いて、2024年7月には政策金利0.1%から0.25%へと0.15%引き上げ。そして今回、政策金利0.25%から0.50%へと0.25%引き上げており、引き上げ幅は一番大きくなっています。こうなってくると住宅ローンなどへの影響も危惧されます。
実際、メガバンクでは3月から普通預金金利を0.1%から0.2%へ改訂することを発表しました。さらに、三菱UFJと三井住友は短期資金を貸し出す際の基準となる金利「短期プライムレート(短プラ)」を3月中に0.25%引き上げて1.875%にすると発表しています。
ちなみに、ざっくりとした数字では国内の金融機関からの貸出金は約900兆円、その内、家計は約370兆円、企業向けは約520兆円となっています。一方で、国内の預金は約1300兆円、その内、家計は約1000兆円、企業向けは約300兆円となっています。単純にこの数字だけ見れば、家計の有利子資産は、有利子負債の3倍以上あるので、利上げしたら預金金利の上昇によって家計全体にとっては圧倒的にプラスであることがわかります。
ただし、個々の家計で見れば話は別で、利上げサイクルが続いた場合、変動金利で住宅ローンを借りてる家計にはすぐにではないにせよ影響はいずれでてくるでしょう。とくに住宅ローンを抱えているのは現役層である一方、資産を多く抱えているのは高齢者層ということで、世代間でも金利の影響は異なるため、金利のある日本が家計にどのような影響を与えるのかは注視していきたいと思います。
さて、そんな住宅ローンについての話題。以前から、低金利の住宅ローンを投資用不動産購入に悪用されることが問題視されていました。そもそも住宅ローンは、国民の生活基盤である住宅を安定的に確保するための金利優遇措置でもあり、税制優遇とともに広く浸透しています。しかし、近年「不動産は買えば上昇する」といったかつての土地神話に似たような現象から、投資用不動産の需要が上昇。本来、投資用不動産ローンは住宅ローンの数倍金利が高いものですので、その金利負担を回避するために、悪質な利用者は投資用なのに「自宅」と偽り住宅ローンを組んで購入する、という例が増えています。
金融機関もローンの残高証明書を送っても届かないことや現地実査などを経て、こうした悪質な契約例を把握しつつあり、「住宅ローン契約違反」として是正を求める例が増えているようです。さらに近年、金融機関は住宅ローン契約については最も人手をかけずに(上記のような理由で金利収入は低くなるため)、手続きを進めることができるようシステム開発を進めています。そのため、数千万~数億円と多額の貸し出しにも関わらず、アプリで契約が完了してしまうということも。
ひとたび融資実行をしたら、金融機関としても、返済さえしてくれればその後の実査などは人手が不足してカバーできないのが現状です。今後は、金融機関や国税がAIなどを使って実態把握に乗り出すなど、状況が変わってくる可能性は十分あります。
しかし、首都圏を中心に、10年経っても不動産価格が落ちないとか、落ちないばかりか近年では数年で1.5倍とか2倍に値上がりするなどの物件も出てくれば、そりゃ不動産投資が活発になるのも仕方ない。不動産市場や不動産契約などの環境を放置してきた側にも責任がありそうですが、どうでしょうね?
そんな中、今回は日銀金融政策決定会合と通常国会の開催が重なりました。石破首相は24日の施政方針演説で「わが国の直面する現実を直視しなければならない」と危機感を訴え、その上で「人中心」の新しい日本社会の構築が必要だと説き、キーワードは「楽しい日本」だと強調しました。
どこかの大統領とだいぶトーンが異なります。どっちがいいとかは敢えて言うつもりはありませんが、どうも我が国の首相の発言からは国民生活が良くなっていくイメージがしづらい。
「楽しい日本」は年頭記者会見でも繰り返し言われていた言葉ですが、インフレに利上げで楽しいわけがない、というブーイングが聞こえてきそうです。
さて、1月も最終週ですが、今週も良い1週間をお過ごしください!
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