2025/01/13 06:30 | メルマガ | コメント(0)
第284号 動き出す2025年の金融市場と加速するトランプ
■ 第283号 米12月雇用統計プレビュー
そして、今回はその12月雇用統計を抑えつつ、日銀やトランプ、国内市場についても取り上げますので、どうぞお付き合いください。
●先週のマーケット
・国内賃金動向あれこれ
●今週の米国経済統計(予想)
●先週の米国経済統計(結果)
●経済統計分析
1. ISMインデックス
・ISM製造業 12月
・ISMサービス業 12月
2. 雇用統計 12月
・雇用統計総論
3. 日銀支店長会議
4. 相次ぐトランプ発言再び
●あとがき
それでは、さっそくまいりましょう。
あとがき
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冒頭に毎週掲載している、投資主体別売買動向は2024年最終週までの売買動向が出揃い、2024年を通しての日本株の売買動向が明らかになりました。
主な動きとしては海外投資家が年間で約4兆4千億円(現物+先物)を売り越しています。また、個人投資家も約1兆6千億円売り越しているため、海外投資家と国内の個人投資家だけで約6兆円を売り越したことになります。昨年の日本株は年前半の海外投資家による日本株買いによる株価上昇と、1987年のブラックマンデー以来の大きさであった8月の株価急落といった目立った動きを除けば、株価はほぼレンジで動くか横ばいが長く続きました。前述のように海外投資家と国内の個人投資家が大きく売り越したにもかかわらず株価が横ばいで推移した背景には、法人による自社株買いが年間約7兆8千億円の買い越しとなったことがあり、海外投資家と個人投資家による売りものの受け皿になっていたことがわかります。
自社株買いの背景には、上場企業が政策保有株の放出を進めたことがあります。日本企業はこれまで、安定株主作りの一環で取引先やグループ会社との関係を維持したり、買収防衛を目的として持ち合いを強めてきたりしました。ただし、この政策保有株(持ち合い株)の保有は企業の資本効率の低下を招き、通常の株主側からすれば中長期的に不利益を被ることにもなりかねません。こういった状況に対し、東京証券取引所も上場企業に資本効率の改善を求めており、昨年の上場企業による政策保有株の売却額が過去最高を記録、今後も政策保有株の売却は進むでしょう。こういった動きを背景に国内法人による自社株買いが続いたことが、昨年1年間を通して日本株のサポートになっており、この動きは2025年にさらに強まり、続いていくと思われます。
そんな、法人による自社株買いがベースマネーとなるにせよ、やはり日本株の命運を握っているのは海外投資家の動向ということになりますが、彼らが日本株を買うには、米国株が堅調な地合いを維持することや、日銀の利上げ期待の高まりにより円高にならないこと、といったことが考えられます。つまり、米国株高、円安基調が続くのかということになりますが、この点においてのサポートになりそうなのが、昨年話題となったNISAによる個人マネーの動きでしょう。
昨年2024年は年間で約12兆円の資金がNISA制度を通じて投資されたようです。それまでは年3兆円程度だったことを考えれば大きな買い需要となっていることがうかがえます。投資制限枠を考えると、昨年始めた人もここから数年は新規の投資資金を投じるでしょうし、ここから口座開設をして始めるという人もいることを考えると、このマネーの動きによる影響はまだまだ続くことになります。12兆円の投資内訳をみると8割程度はオルカンなど米国を中心とした海外投資、残り2割程度が国内投資ということで、日本株へのインパクトはそれなりということになります。ただし、8割程度が向かう海外投資については継続的な円売りが行われるため、当然円売り圧力になるというのは明らかで、そう考えると、NISAは米国株と円安をサポートしているとも言えます。つまり、先ほど示した海外投資家が日本株を買う条件を支えることにもなります。
以上のように、自社株買いにせよ、NISAにせよ、ベースマネーの動きは日米株式に対してサポート的に動くように見えます。株式を買い上げる上で、こういったベースマネーの動きに加えて何が材料になるのか、このあたりがポイントになってくるでしょう。
今週もここまでお付き合いいただきましてありがとうございました。
1月5日にハリウッドでは、ゴールデングローブ賞の授賞式で真田広之さん、浅野忠信さん、アンナ・サワイさんが栄冠を手にしました。おめでとうございます!しかし、歓喜にわいたのもつかの間、その2日後にロサンゼルス当局が山火事の多発で非常事態宣言を出す事態になりました。延焼範囲は「JR山手線」内側の面積の約2倍に相当し(約140キロ平米)、長期にわたり広範囲で停電の被害も報告されました。
米国史上最も被害額の大きい火災になる見通しといわれており、その額は数十億ドルに上る可能性が高く、JPモルガンにいたっては数百億ドルの損害になると見積もっています。すでに、経済損失の総額は500億ドルに達しています。被害に遭ったのは、数百万ドルの家々を中心に、10兆ドル相当の市場規模ともいわれていますが、これらは今後どう再建するのか?まさに火災保険の出番ですが、ちょっと今回は雲行きが怪しい。
既にCPIなどでもご存じのように火災保険料はインフレの影響で増大しています。さらに、カリフォルニアでは昨今災害の発生件数も増え、今回山火事が起きたエリア(パリセーズ地区)は、裕福な地域であると同時に、最も山火事の影響を受けやすい地域のひとつでもあるといわれていたことから、保険料の値上がりが顕著でした(数年で1.5~2.0倍とも)。さらに、民間保険会社は、このような大災害が発生することを長い間懸念しており、さらに高額すぎる保険料を法的に請求することができないとして、過去2年間で、州の12社の保険会社のうち7社が、新規契約や既存契約の更新を取りやめるなどしていました。
その結果、やむなく州が運営する火災保険(FAIRプラン)に切り替えた人も多いのですが、この保険が今回のような大規模災害にどこまで対応できるかはかなり未知数と言われています。このプランは、そもそも民間事業者が補償しない部分を埋めるための保険を提供していることに加え、民間保険会社が手を引いたことで、このプランに契約者が集中しており(契約数は2023年から2024年にかけて85%増加!)果たして補償が叶うのか?ここまで、だましだましやってきた危うい部分が、一気に火を噴いた感じです。
そんな中、いち早くトヨタやホンダ、マツダなど自動車各社が支援金を寄付し、さらに被災地の顧客に対してはリースなどの支払期限の延長措置を発表しています。犠牲になってしまった方々のご冥福をお祈りするとともに、一日も早い生活再建・復興をお祈りいたします。
さて、先週は、日本では東北・北陸地方を中心に大変な積雪でした。今週も日本海側を中心に大雪が続く見通しで、該当する地域の方は(慣れている方が殆どだと思いますが)くれぐれもお気をつけて過ごしてください。また、今日は成人の日の祝日です。多くの市町村でお祝いなども行われると思いますが、大事な晴れ舞台、足元に気を付けて、よい1日にしてください。新成人の皆さま、おめでとうございます。
というわけで、お休みの方もお仕事の方も、一段と寒くなりそうですが、今週もよい1週間をお過ごしください。
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