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2018/03/07 05:00  | 米国 |  コメント(8)

トランプ政権の新たなる混沌と貿易戦争(2)


米トランプ政権、鉄鋼とアルミニウムに追加関税へ(3月2日付BBC)
トランプ氏、「貿易戦争は良いことで楽勝」と主張(3月3日付CNN)
米の輸入制限、各国が倣えば国際貿易損なわれる=中国外務省(3月2日付ロイター)
EU、対米報復関税を検討(3月3日付ロイター)

「トランプ政権の新たなる混沌と貿易戦争(1)」の続きです。

前回の記事で、3月1日にトランプ大統領が通商拡大法232条に基づく決定を発表する可能性があると指摘していましたが、当日は業界関係者との会合は実施されたものの、「リスニング・セッション」にとどめ、決定の発表は今週に見送られることになりました。その背景には、記事で解説したとおり、グローバリストと軍人組の強い反対があったと言われています。

ところが、トランプは、記者からの質問に答えるかたちで、鉄鋼に25%、アルミに10%の追加関税を課すと発言しました。週末にはウィルバー・ロス商務長官とピーター・ナヴァロ通商製造政策局長が追加関税は全輸入国に課されるだろうという趣旨の発言をしています。

正式発表は今週の予定であり、いまだ状況は流動的です。トランプの発言後、株価が急落しましたが、これも判断に影響を与える可能性があります。

また、前回の記事で述べたとおり、今回の突然の発表の背景には3月13日に予定されるペンシルバニア州下院補選があるとみられますが、ポール・ライアン下院議長、ケヴィン・ブレイディ下院歳入委員長ら共和党の有力議員から今回の発表に対する懸念や批判が出ています。

トランプ米大統領、輸入関税推進を明言-下院議長が反対表明でも(3月6日付ブルームバーグ)

とはいえ、トランプが前言を翻す可能性は低いでしょう。税率や品目に多少の修正はあるかもしれませんが、基本方針に変更はないと予想されます。

この背後では、ナショナリストとグローバリストの間での熾烈な争いがあり、これに新たに生じつつある政権の混沌が加わっています。

前回は、米国が取りえる通商上の措置を整理した上で、通商拡大法232条の適用をめぐる状況について、政権内部で展開されているパワーゲームが最終的な決定に影響を与える点を解説しました。

今回は、新たに起こっている政権の混沌とそれが今後の通商政策に与えるインパクトについて考察します。

※ここから先はメルマガで解説します。アウトラインは以下のとおりです。

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トランプ政権の新たなる混沌と貿易戦争(2)
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●ナヴァロの復活?
●そして誰もいなくなる・・?
●中国の新たなる布陣

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あとがき
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「シェイプ・オブ・ウォーター」米アカデミー賞4部門受賞 作品賞と監督賞(3月5日付BBC)

この作品は見ていませんが、監督のギレルモ・デル・トロの作品は初期の『ミミック』『ブレイド2』をよく覚えています。このときはグロい特殊メイクとオタク的世界観が強烈なB級監督というイメージでした(特に『ミミック』は虫と美女との戦いというゲテモノ映画・・ただ、おぞましいはずの虫が人間に擬態したとき見えるスタイリッシュな姿にはハッとさせられた)。

その後に制作した『パンズ・ラビリンス』は高い評価を得たようですが、私にはこの監督の独特なこだわりはまったく変わっていないと感じられ、それだけに一般受けすることはないだろう・・と思ってました。それが、今回、よもやアカデミー作品賞を獲ることになろうとは。

ここで思い浮かぶのは『ロード・オブ・ザ・リング』で巨匠の仲間入りしたピーター・ジャクソン。彼も、デビュー作は自主制作のゲテモノ映画『バッド・テイスト』、それに続く初期の代表作は超B級スプラッター映画『ブレインデッド』でした。デル・トロに何となく通じるものがあるなあ・・と思ったら、ジャクソンは当初『ホビット』の監督をデル・トロに依頼していたとのこと。やっぱり同好の士だったのですね。

デル・トロもジャクソンも、商業的成功よりも自らの(オタク的な)こだわりを優先するタイプだったのでしょう。我が道を行きながら、ついには世界の人々から認められる・・こういうのを見ると、何だかうれしくなりますね。

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8 comments on “トランプ政権の新たなる混沌と貿易戦争(2)
  1. KB より
    あれこれ想像

    早くも、JDさんの懸念が現実のものになりつつあるのでは…?
    駐韓米国大使が不在のまま、南北首脳会談の話が動き出したようですが、米国は準備不足で「まずい状況」なのでしょうか・・・?
    それとも、トランプ政権内に対話路線派がいるうちに、南北がバタバタ動き出したのか…稚拙な想像ですが、気になります。

    トランプ政権の本質的な問題が理解できると、外交も貿易も一つの線上で論じられる、とても面白いものを見せていただいた感じです。

    中国の政府要人の布陣を見ると、逆に、アメリカの脇の甘さが浮き彫りになりますね。とても面白い内容でした!

    それにしても、昨年された、中国幹部の分析が、こうして今に繋がっているので、継続して読んでいると、とても役に立つと実感します。

  2. KB より
    コーン辞任。

    まさに!今朝の、このメルマガ通りに、アメリカの政治が進んでいますよね!!!

    恐るべし、ディープ・スロート。。。

  3. ぺルドン より
    人事の混沌

    落ち着く処に落ち着く・・
    にしても・・
    軍人がカバーしても・・
    露骨になれば・・と悩ましいでしょう・・
    トランプの政治は・・パシュントン競技だから・・
    秀才のJDには苦手なのでは・?!

    ラカルドはもぅ使い物にならないのでは・??

    「シェイプ・オブ・ウォーター」
    人種偏見を・・
    こんな形でイマジネーションする才・・映像世界の耽美・・・

    全人代を一月近く早めた・・
    米国との通商・・待てない状態なのか・・
    北の処理・・一刻も急ぐのか・?!
    ( ^ω^)・・(笑

  4. JFKD より
    パシュントン競技?

    パシュート競技の様な気がしますが。日本金メダル。笑

  5. ぺルドン より
    訂正 パシュートです・失礼

    パシュントンなんて・・
    アフガニスタンのイラン系人・・出てくるなんて・・
    不可解なる脳の働き・・・
    ( ^ω^)・・(笑

  6. JFKD より
    やはり

    一言でわかる表現だと思います。ということは人事がこうなることも解っていたんだぺルドンさんは・・・。しかし最初から未定な人事が多すぎるのは・・・。

  7. 牧神の午後 より
    目が醒めかけた?

    Per PBS 3/8/18

    The White House says
    Mexico, Canada, and
    other countries may be
    exempted from President Donald Trump’s steel and aluminum tariffs
    under national security
    “carve-outs.”

  8. KB より
    瓦解への道

    ペンシルベニア州、民主党勝ってしまいましたね・・

    ティラーソンもいなくなり、、、

    このところ、JDさんのメルマガの緊張感が高まっていると感じていたら、本当に情勢もどんどん傾いているような

    引き続き、フォロー期待しております!

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