プロが語る世界情勢・政治・経済金融の最前線!

The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2012/10/15 00:00  | by Konan |  コメント(1)

Vol.162: 三題話し


今回は危ない話しの2回目(オスプレイの話しを考えています)を中断し、内容があまりに陳腐化しないよう、最近の時事ネタを3つ取り上げます。

まずは、昨日まで開催されたIMF・世銀総会について。1964年以来48年振りの開催、しかも極めて短い準備期間の中で、無事に総会を終わらせた関係者の努力に敬意を表したいと思います。1964年には私はまだ3歳。その後第1次オイルショックまでの10年弱は、公害という深刻な問題を除き、戦後日本の絶頂期だったと思います。そうした思い出はさて置き、今回の総会、欧州問題が引続き最大の懸案であり、G7財務大臣・中央銀行総裁会議なども合わせて開催されましたが、危機解決の面で大した成果はなかったのが正直なところと思います。

因みに、IMFが公表した世界経済見通しでは、2012年の世界実質経済成長率見通しは、これまでの+3.5%から+3.3%に、13年の見通しは+3.9%から+3.6%に下方修正されました。また、13年の成長見通しが外れ+2%を下回ってしまう確率は、今年4月時点では精々4%程度と見込まれていましたが、今回は17%と大きくその確率が引き上げられました。13年にリセッション(景気後退)に陥る確率は、米国でおよそ15%、日本は25%以上、欧州は80%以上とされています。金融システムに関する別のIMFレポートでは、欧州銀行の資産圧縮可能額に関し、諸般の政策が相応に機能する基本シナリオでも2.8兆ドル、政策がうまく機能しないシナリオでは4.5兆ドルにも上るとの予想もされています。こうした悲観的な見通しに関する有効な対応策は何ら打ち出されなかった印象です。

そうした中で注目を集めたのは中韓を巡る動きです。中国については、本来代表団を率いて来日する予定だった中国人民銀行行長(中国の中央銀行で、中国ではその行長(日本で言う総裁)は閣僚です)が、来日予定の前日に来日を取り止め、波紋を投げかけました。この点、一言で言えば、中国はまだ先進国でないことを露呈したと思います。偶々日本で開催されたとはいえ、IMF・世銀という極めて重要な国際機関の会議に本来代表であるべき人物を送らないというのは、勘違いも甚だしい印象です。

他方、韓国との間では、ぐっちーも注目していたスワップ協定に関し、昨年10月以降の臨時増額分を取り止めることで合意しました。韓国との間では、日本政府と韓国中銀の間の「ドル-ウォン」スワップが元々の100億ドルから400億ドルに、日銀と韓国中銀の間の「円-ウォン」スワップがもともとの30億ドル相当から300億ドル相当にそれぞれ臨時に引き上げられていましたが、その引上げをやめ、合計で700億ドルから130億ドルに縮小した訳です。これは穏当な解決と思いました。

最後はノーベル賞。山中さん本当におめでとうございます。私より年下の方の受賞ということもあり、とても感銘を受けました。また基礎研究の重要性も改めて評価されたと思います。かつて事業仕訳の際「なぜ一番でないとダメか」と迫った蓮舫議員は、この受賞をどう思っているのでしょうか。ちなみに今回のノーベル賞では、平和賞がEUに贈られたことを洒落た計らいと感じました。ユーロ危機の中、欧州統合の意義が大きく問われ、ぐっちーも懐疑派の急先鋒です。私はユーロは短期間に2つの大戦を経験した欧州の知恵と思っていますし、だからこそユーロが崩壊してほしくないと願っています。その気持ちと重なる受賞でした。

次回は危ない話に戻ります。

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One comment on “Vol.162: 三題話し
  1. ペルドン より
    気が付けば・・

    日本が・・
    先頭・・
    矢玉の楯・・
    振り返れば・・米国始め・・各々方・・諸国・・
    日本の背中に・・

    そんな大物ではない・・
    そんな広い背中ではない・・

    中国を・・
    と叫んでみても・・
    君子不近刑人・・の国・・
    謗られようと・・
    君子不立于危墻・・
    遠くから・・罵倒の声・・聞えるのみ・・
    煽てられても・・良い事は無い・・歴史教訓・・

    韓国大統領・・
    天皇謗った値・・570億ドル・・金言の至り・・
    付け馬は・・大統領選挙後か・?
    米大統領選挙後か・?

    EU・・
    ノーベル平和賞・・親戚からの・・花束・・
    欧州の平和と和解、民主主義や人権の進展に貢献・・
    が・・
    経済に貢献・・ユーロバンザイ・・とは・・記載されず・・
    葬祭用にも・・使える花束か・?・・・

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