2012/07/02 00:00 | by Konan | コメント(3)
Vol.147: 政局(その2)
先週は、前回の予想通り税と社会保障の一体改革法案が衆議院で可決されました。民主党の57名が反対票を投じ、週末にかけて小沢−輿石会談が行われ、今日にも小沢さんが去就を明らかにすると報道されています。数十名規模での離党を予想する向きが多いようです。自民党は当初は「厳しい処分が行われなければ参議院での議論に応じない」と分かりづらい主張を行っていましたが、最近は「造反を出し、心配をかけて申し訳なかった」との詫びが入れば審議に応じる姿勢に転じているようです。報道では「決める政治」への転換を歓迎する社説が複数出ています。世論調査では、法案可決に関しては反対が多く、他方、小沢さんの動きには支持が無い状況と思います。
霞が関では、野田総理の評価が再び高まっている印象です。一部社説の「決める政治」と同じ文脈ですが、消費税引上げのように、それにかかわった政権の運命を奪ってきた政策について、党の分裂の可能性も覚悟したうえで、淡々と採決に漕ぎ着け、かつ可決させたことへの評価です。報道では「何名反対があった」ことに注目が集まりますが、むしろこのような法案で、過半数を大きく上回る賛成票が集まったこと自体、注目に値すると思います。このようなことを余り書きすぎると、「官僚は国民の気持ちから遊離している」とか「やはり財務省の勝次官が世の中を支配しているのだ」といった反発を招くことは承知しています。ただ、法案そのものへの賛否はさて置くとして、これだけ国論を分ける法案を通す(まだ衆議院段階ですが)手腕は驚きです。腹を探らせず自由度を保ちつつ、そのうえでやりたいことにじわじわと近づいた点で、野田総理はここ数代の総理より一枚上と思えます。
次の節目は、参議院での議決と解散ないし内閣不信任の帰趨です。もはや自民党は参議院で突如法案に反対することは難しい情勢です。自民・公明がぶれなければ、小沢派の動向に拘らず法案は成立すると思います。ただ、自民党は「解散の確約と引き換え」と言い続けてきました。しかし、前回も書いた通り今選挙があれば民主党の大敗は必至です。それでも自民党との信義を守って解散するとすれば、野田さんは大連立的な発想での新党結成を模索するのだと思います。他方、最後に自民党を裏切り、来年の参議院選挙までの続投を目指す可能性もあると思います。野田さんと谷垣さんを比べると、こちらの可能性の方が大きいようにも思えます。
なお、前々回まで4回にわたり書いた消費税問題について、様々な反応を頂きありがとうございました。とても考えさせられるご意見を頂きました。次回からはユーロを取り上げますが、またいつか税について書いてみたいと思います。
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3 comments on “Vol.147: 政局(その2)”
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>>最後に自民党を裏切り、来年の参議院選挙までの続投を目指す可能性・・
予算関連法案と引換に・・解散・・あるいは首だけを差し出す・・可能性・・
>>解散すれば・・野田さんは大連立的な発想での新党結成・・
野田派は少数・・前原・管派を含めても・・大敗確実の総選挙で・・生き残れる人数不明・・民主党残党からは怨嗟・・新党結成可能性大(本人が当選する必要があるが・・)
選挙後・・消費税増税・・風前の灯・・
大与党民主党を生贄・・そんな価値があったか・・?
心は・・自民党出向社員・・勲章は貰える・・
>>小沢さんの動きには支持が無い状況・・
世論調査・・平日日中多し・・出た数字に担当者が勘案を加える・・生の世論調査ではない・・
にしても・・
小沢新党期待せず七十%少々・・
自民党期待せず 八十数%・・
民主党期待せず 九十%少々・・
期待度は一番高い・・
小沢支持率も・・民主党・自民党と拮抗・・
一騎当万・・・
マスゴミは、公約を掲げ、清々堂々と選挙を戦い、公約実現を目指す、橋下大阪市長を独裁と批判していた。
白蟻野田氏は、選挙時の公約はなかったような主張をし、あからさまに批判をしていた自公と徒党を組む。
これこそ独裁と批判されるべきだと思う。
決める政治とか一枚上手だとか、ちゃんちゃらおかしい。
嘘をついたら社会人とは認めてもらえない、契約違反をしたら取引停止が普通の大人の現代社会で世界標準なのですよ。
よそ者(国民)に嘘をついても、お代官様(首相、次官)のいう事の方が大切で、契約(マニュフェスト)破っても越後屋さんの望みが阿吽の話会いで(国会外での談合話)決まるなら、江戸時代では? 話は別の所でついていて、御前会議(国会)は決を形だけ取る儀式。 ようやったと瓦版がもう御祭り騒ぎなら、村の鎮守のお祭りですな。
中学、高校で日本の政治はどう進み、”本当の大人”とは、”本当の大人の社会”というのはこういうものだと教えるのですか?
勿論、東大卒ですよね。 どんだけ尊敬を集めたら気がすむのですか? 太って不健康なソクラテスになっていませんか? 議員が偏差値が低く、社会的な経験も少なく、すぐ荒れて学級崩壊体質なのは判りますが、もう少しなんとか指導してください。
藤井、谷垣の大先輩が大バブルの失敗で大損失1500兆円をつくって死ぬ前に返済のための税へ道筋をつけて汚名を濯ぎたいのは判りますが、失われた20年で企業も返済がすみ、税を納められるようになってきた事ですし、後輩のあなた方、甲種1級公務員は先輩と袂を分かっても良いと思いますよ。