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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2011/12/05 00:00  | by Konan |  コメント(2)

Vol.117: 民主主義について(1)


大仰なタイトルをつけてしまいました。2、3回にわたり民主主義について書いてみようと思います。今年もあと1か月を切りましたが、大地震と原発事故、欧州危機、カダフィ死亡(アラブの春)など、後世の歴史に残るであろう大事件が集中した1年でした。

この3つの問題はいずれも民主主義と深く関係します。アラブの春は独裁制から民主主義への移行という極めてストレートな形でつながりを持ちます。欧州危機では民主主義の限界が囁かれました。ドイツ等における原発廃止の動きは、民意をどう計るかという問題を投げかけています。このうち、欧州危機と原発の問題を題材に、民主主義を考えてみたいと思います。

私は民主主義という言葉を聞くと、大学時代の京極純一先生の授業を思い出します。彼はよく「頭を割る政治から頭を数える政治」に歴史は発展してきたと話していました。頭を割るというのは、文字通り「叩き割る」意味で、戦争により物事の決着を図ることを指します。頭を数えるというのは選挙や投票のことです。頭を数え多数決に従い意思決定をすること、すなわち民主主義は、頭を割る長い歴史を経て辿り着いたひとつの到達点であり、アラブ諸国では今まさにこれを目指す動きが強まりをみせています。しかし、とても皮肉なことに、欧州危機の中で民主主義の有用性に疑いが投げかけられる正反対の動きが同時に生じている構図です。
欧州危機で民主主義が疑われているのは、EU加盟国すべての議会承認を経ない限り物事が進まないという仕組みが、市場不安定化を引き起こしているためです。この点について2つの感想を持ちます。

まず、欧州の問題は「加盟国全てに平等の立場を与え、全ての参加国が一致しないと物事が決定できない」という欧州独特の意思決定過程に関する問題であり、必ずしも民主主義そのものの問題ではないという点です。民主主義下の意思決定は通常は単純多数決であり、特別多数決や全会一致は例外的です。日本で憲法改正が進まないのも、衆参両院で2/3以上の賛成という特別多数決を要求するためです。欧州問題だけを以って民主主義を捨て去ることはやや早計と感じます。

もうひとつは、京極先生の話しに戻りますが「頭を割るよりはマシ」との思いがあります。欧州における経済統合やユーロの誕生は、一世紀の間に2度の大戦争を起こした欧州が平和に共存するための仕掛け作りです。例えば仮にスロバキアの反対でEFSFの仕組みが出来なかった場合、昔ならスロバキアに攻め込み占領してしまうことが解決策だったと思います。今ではそうしたことは起きません。代わりに欧州経済混乱という代償を被ることになりますが、戦争の打撃と経済混乱の打撃とどちらを選ぶかという究極の選択肢について、私は後者を選びたいと思います。

今回はとてもナイーブな終わり方になってしまいましたが、次回以降もう少しこの話しを続けたいと思います。

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2 comments on “Vol.117: 民主主義について(1)
  1. ベルドン より
    芽生え

    日本の民主主義・・
    どのように・・芽生えたか・・
    英国の歴史家兼批評家が・・書いている・・

    野蛮極まりない・・帝国に・・如何に・・民主主義を・・叩き込むか・・
    日本を占拠した・・GHQのお偉方は呻吟していた・・
    一人が・・神の啓示を受け・・叫んだ・・
    『キスだ』
    日本映画には・・キスシーンが一つもないではないか・・!!・・
    キスこそが・・男女平等・・隠れてするのではなく・・!!・・白昼堂々のキスこそ・・民主主義を啓蒙する・・象徴でもある・・
    お偉方は納得した・・キスシーン乱発の・・ハリウッド映画で育ってきたから・・
    GHQから・・映画には・・キスシーンを・・必ず入れるべし・・厳命が下された・・
    そして・・キスが・・民主主義として・・十台にまで・・席巻・・浸透した・・

    キスから生まれた・・日本的民主主義を・・我々は・・享受している・・
    初めてのキス・・
    甘いと言われ・・信じていたが・・
    禁断のキスを味わった人間は・・男も女も・・わかっている・・
    映画程・・甘くはなかった・・
    今後も・・甘くはないだろう・・・

  2. みんみん より
    ポーランド

    14〜16世紀にはポーランドはヨーロッパ最大の強国だったが分裂・衰退していった理由は、議会が全員一致でなければ採決できなかったからだ。という小室直樹先生の言葉を思い出しました。

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