2024/12/16 06:30 | by Konan | コメント(0)
Vol.257: 日銀短観
今回は気を取り直して13日に公表された日銀短観を紹介します。余り特徴の無い内容でした。
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製造業の業況感やや改善
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業況判断は数字が大きいほど良く、「良い」「悪い」の回答が拮抗するとゼロ、マイナス幅の拡大は業況悪化を表します。以下の仕入価格・販売価格等も同じですが、理論的には-100(全社「悪い」と回答)から100(全社「良い」と回答)の間で数字が動き、0が拮抗点です。
最も注目される製造業大企業は、前回13 今回14 先行き見通し13。製造業全体では前回5 今回8(先行きは5)とやや改善です。前回調査時に比べ原油市況がやや落ち着いていること、円安となっていること、自動車の認証不正問題が流石に峠を越したことなどが背景です。
非製造業大企業は、前回34 今回33 先行き28(先行き悪化予想は一種の癖のようなものです)。非製造業全体では前回20 今回20 先行き14です。大企業の宿泊・飲食サービスが前回52から今回40と急落したことはやや気掛かりですが、全体としては高水準横ばいでしょうか。
全ての企業の業況判断は、前回14 今回15 先行き10。「製造業より非製造業の方が良い」「中小企業より大企業の方が良い」傾向は続いています。
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仕入価格上昇超幅少し縮小
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仕入価格・販売価格とも「上昇」の回答が「下落」の回答を上回る構図に変化はありません。ただ、仕入価格の上昇超幅はとくに大企業で少し小さくなってきました。
以下、大企業で説明すると、製造業の仕入価格は前回41 今回39 先行き37。販売価格は前回26 今回25 先行き24。非製造業は仕入価格で前回46 今回44 先行き44。販売価格で前回29 今回29 先行き31です。
仕入価格と販売価格の上昇超幅の差は、近似的に「仕入価格の上昇を販売価格引き上げでどの程度打ち返せたか」を表します。製造業は前回15 今回14 先行き13。非製造業は前回17 今回15 先行き13。いずれも差が少しずつ縮小しており、徐々に打ち返せるようになってきたことが示されます。
経常利益は全体で24年度は-3.1%の減益予想、ただし前回対比では+2.8%上方修正。設備投資は、ソフトウェア・研究開発を含み土地投資を除くベースで全体で24年度+10.0%の増加が計画されています。
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目立つ人手不足
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雇用人員判断(マイナスが大きいほど不足)は全体で前回-36 今回-36 先行き-41。非製造業中小企業に限ると前回-47 今回-48 先行き-52と不足感が際立ちます。
なお、金融面では「資金繰り判断」「金融機関の貸出態度判断」に変調は見られず、全体で前者は前回12 今回12、後者は前回15 今回14です。ただ、日銀の政策変更を受け、「借入金利水準判断」は全体で前回48 今回50 先行き53と、上昇超幅が拡大傾向です。
今回はこの辺で。
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