2025/03/21 06:30 | by Konan | コメント(0)
Vol.269: 日銀政策据え置き
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景気判断不変、リスク要因追加
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今回のように展望レポートがない回(3月、6月、9月、12月)とある回(1月、4月、7月、10月)とでは分析の詳しさに違いがありますが、景気判断は前回から維持。リスク要因の指摘内容については、「各国の通商政策等の動きやその影響を受けた」との一言が追加されました。
(現状)
・基調:一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している
・個人消費:物価上昇の影響などがみられるものの、緩やかな増加基調にある
・設備投資:緩やかな増加傾向にある
・住宅投資:弱めの動きとなっている
・公共投資:横ばい圏内の動きとなっている
・輸出:横ばい圏内の動きとなっている
(先行き)
・海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、緩和的な金融環境などを背景に、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる
(リスク要因)
・各国の通商政策等の動きやその影響を受けた海外の経済・物価動向
・資源価格の動向
・企業の賃金・価格設定行動
・金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響
・このところ、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある
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政策維持、総裁の悩みは?
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前回1月に利上げが行われた後、今回は予想通り政策は据え置かれました。連続利上げが必要な状況でないことは、衆目の一致するところと思います。
そのうえで、植田総裁の会見では、強(利上げ方向)弱(据え置き方向)双方の言葉が交錯していたように思います。
あくまでも基本線は「現在の実質金利は極めて低い水準にある。経済・物価見通しが実現していくならば、引き続き政策金利を引き上げる」「利上げペースは今後のデータ次第」です。
強(利上げ)方向の発言としては、「春闘に関する連合の集計結果は昨年に引き続き高水準」「消費者物価指数の伸び率が高まり、国内企業物価の前年比も4%程度」「政策委員会の委員から物価の上振れリスクについても引き続き注意したいとの発言があった」などです。
弱(据え置き)方向の発言は、何といっても「海外発の不確実性は急速に高まっている」でしょう。ただ、4月2日には米国関税政策の全容が見えてくることを前提に、「4月初にはある程度出てくる」ともします。また、物価そのものに関し「基調的な物価の上昇率は1%以上、2%は下回る」「サービス価格の上昇はそれほど強くない」「ビハインド・ザ・カーブになるリスクは高くない」としました。因みに、コメの価格上昇は景気というより生産・流通の問題なので、日銀として扱いづらいと受け止めているのではないでしょうか。
米国時間19日にFRBパウエル議長も不確実性に言及しました。もう少し霧が晴れてこないと、どの中央銀行にとっても政策判断はとても難しいと思います。私は引き続き7月利上げ説ですが=7月の金融政策決定会合は30・31日。参議院選挙は終わり、恐らく自公が負け、世間は政治に注目し、日銀への注目度が下がり、最も政策変更しやすいタイミングと思います=トランプ政権の政策の影響を日銀も固唾をのんで見守っているのでしょうか。
今回はこの辺で。
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