2024/08/05 06:30 | by Konan | コメント(0)
Vol.243: 日銀利上げ!
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景気判断据え置き
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今回のように展望レポートがある月(1月、4月、7月、10月)とない月(3月、6月、9月、12月)とでは表現が異なり比較が難しい面もありますが、判断はこれまでと不変でした。
(現状)
・基調:一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している
・個人消費:物価上昇の影響などがみられるものの、底堅く推移している
・設備投資:緩やかな増加傾向にある
・住宅投資:弱めの動きとなっている
・公共投資:横ばい圏内の動きとなっている
・輸出:横ばい圏内の動きとなっている
(先行き)
・海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、緩和的な金融環境などを背景に、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる
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為替変動と物価の関係に言及
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リスク要因はほぼ不変ながら、為替の変動と物価の関係への言及がなされました。
(リスク要因)
・海外の経済・物価動向
・資源価格の動向
・企業の賃金・価格設定動向
・金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響
・このところ、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある
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物価見通し2%超え
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展望レポートの中では、植田総裁を含む9人の政策委員会メンバーによる実質GDP・消費者物価指数の見通しが示されます。中央値(9人のうち上からみても下からみても5番目の数字)は以下の通りです。除く生鮮食品・エネルギーの消費者物価は、2024年度・2025年度とも+1.9%とされ、3か月前の見通しが維持されました。そして、2026年度は前回同様+2.1%と2%目標を超えています。
また、そのリスクバランスに関し、経済(実質GDP)は2025年度は上振れリスクの方が大きい、物価は2024年度・25年度は上振れリスクの方が大きいと指摘します。
(実質GDP)
2024年度+0.6%(前回+0.8%)、2025年度+1.0% (前回+1.0%)、2026年度+1.0% (前回+1.0%)
(消費者物価指数=除く生鮮食品)
2024年度+2.5%(前回+2.8%)、2025年度+2.1%(前回+1.9%)、2026年度+1.9% (前回+1.9%)
(消費者物価指数=除く生鮮食品・エネルギー)
2024年度+1.9%(前回+1.9%)、2025年度+1.9% (前回+1.9%)、2026年度+2.1% (+2.1%)
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利上げ+国債買入れ減額
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政策変更も行われました。まず政策金利は無担保コールレート(オーバーナイト物)をこれまでの0~0.1%から0.25%程度で推移するよう促す利上げが決定されました。
また、国債買入れに関しては、「国債市場の安定に配慮するための柔軟性を確保しつつ、予見可能な形で減額していくことが適切」として、月間買入れ額を現在の5.7兆円程度から四半期ごとに4千億円程度ずつ減額し、2026年1~3月に3兆円程度とするとされました。この通り進むと、国債保有残高が7~8%減少することになります。一気に減らさないという点では市場にやさしい内容でした。
今回はここまでにしますが、植田総裁は記者会見で「0.5%は壁として意識しない」「データが見通し通り、あるいは見通し対比で上振れる際には、短期金利の一段の調整があり得る」と発言し、これまでの植田節に比べるとややタカ派色を出しました。この発言とパウエル議長の9月利下げ言及で円高が進み、米国雇用統計の弱さを受け米国利下げ幅の予想が0.5%に切り上がる中で、更なる円高化と株価下落が起きたことは、皆さんご存知の通りです。Saltさんの解説に期待です!
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