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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2024/01/29 06:30  | by Konan |  コメント(0)

Vol.221: 日銀政策変更無し+月例経済報告


今回は、22日・23日に開催された日銀金融政策決定会合と、25日に公表された内閣府月例経済報告を紹介します。日銀の政策変更はありませんでしたが、近い将来での変更が示唆される内容でした。

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景気判断は不変
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今回のように展望レポートがある月(1月、4月、7月、10月)とない月(3月、6月、9月、12月)とではスタイルが異なり比較が難しい面はありますが、景気判断は現状・先行きとも維持されました。

(現状)
・基調:緩やかに回復している
・個人消費:物価上昇の影響を受けつつも、緩やかな増加を続けている
・設備投資:緩やかな増加傾向にある
・住宅投資:弱めの動きとなっている
・公共投資:横ばい圏内の動きとなっている
・輸出:横ばい圏内の動きとなっている

(先行き)
・当面は、海外経済の回復ペース鈍化による下押し圧力を受けるものの、ペントアップ需要の顕在化などに支えられて、緩やかな回復を続けるとみられる。その後は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まるもとで、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる

(リスク要因)
・海外の経済・物価情勢と国際金融資本市場の動向
・資源・穀物価格を中心とした輸入物価の動向
・企業や家計の中長期的な成長期待
・企業の賃金・価格設定動向
・為替相場の変動や国際商品市況の動向、その輸入物価や国内価格への波及

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物価は+2%上昇に近付く
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展望レポートの中では、植田総裁を含む9人の政策委員会メンバーによる実質GDP・消費者物価指数の見通しが示されます。中央値(9人のうち上からみても下からみても5番目の数字)は以下の通りです。除く生鮮食品・エネルギーは、2024年度・2025年度とも+1.9%とされ、3か月前の見通しが維持されました。微妙に+2%の物価安定目標に届きませんが、「ほぼ届いた」と言える水準とも言えます。

(実質GDP)
2023年+1.8%(前回+2.0%)、2024年度+1.2%(前回+1.0%)、2025年度+1.0% (前回+1.0%)

(消費者物価指数=除く生鮮食品)
2023年度+2.8%(前回+2.8%)、2024年度+2.4%(前回+2.8%)、2025年度+1.8%(前回+1.7%)

(消費者物価指数=除く生鮮食品・エネルギー)
2023年度+3.8%(前回+3.8%)、2024年度+1.9%(前回+1.9%)、2025年度+1.9% (前回+1.9%)

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2つのキーワード
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冒頭書いたように、今回は政策変更はありませんでした。景気判断不変、春闘の予想にはもう少し時間を要することを考えると、妥当な判断と思います。

そのうえで、植田総裁の記者会見では、以下の2つのフレーズが何度か使われました。このうち1つ目は、展望レポートにも明記されています。

・先行きの不確実性はなお高いものの、(消費者物価の基調的な上昇率が2%の物価安定の目標に向けて徐々に高まっていくとの)見通しが実現する確度は、少しずつ高まっていると考えている
・現時点での物価・経済・金融見通しを前提にすると、大きな不連続性が発生するような政策運営は避けられる

「確度が高まっている」「政策運営の大きな不連続性は避けられる」―この2つのキーワードから読み取れることは、「近い将来、政策を変更する」「ただし、マイナス金利を大きなプラス金利に変更したり、長期金利が1%を大きく超えたりするような変更は考えていない」です。以前書いたように、私は4月25日・26日開催の金融政策決定会合での変更を予想していますが、引続き注視したいと思います。

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内閣府も基調判断維持
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まずはお詫び。日銀を注視し過ぎて、昨年12月の内閣府月例経済報告をカバーし忘れました。幸い、12月は変更がありませんでしたが、それも含め紹介します。

基調判断は、現状・先行きとも、12月も1月も不変です。ただ、子細に見ると、輸出が下方修正され、能登半島地震への言及が加わりました。

(現状)
・基調:景気は、このところ一部に足踏みもみられるが、緩やかに回復している
・個人消費:持ち直している
・設備投資:持ち直しに足踏みがみられる
・住宅建設:弱含んでいる
・公共投資:底堅く推移している
・輸出:このところ持ち直しの動きに足踏みがみられる:1月から「足踏みがみられる」と下方修正

(先行き)
・基調:雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。さらに、令和6年能登半島地震の経済に与える影響に十分留意する必要がある
・個人消費:雇用・所得環境が改善する下で、持ち直しが続くことが期待される:12月まであった「ただし、消費者マインドの動向に留意する必要がある」との文言が削除される形で上方修正
・設備投資:堅調な企業収益等を背景に、持ち直しに向かうことが期待される
・住宅建設:当面、弱含みで推移していくと見込まれる
・公共投資:補正予算の効果もあって、底堅く推移していくことが見込まれる
・輸出:海外経済の持ち直しが続く中で、持ち直していくことが期待される。ただし、海外景気の下振れリスクに留意する必要がある

今回はこの辺で。

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