2025/02/24 06:30 | by Konan | コメント(0)
Vol.267: GDPと月例経済報告
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3四半期連続のプラス成長
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10~12月期のGDPは、前期比+0.7%、年率+2.8%と3四半期続けてプラス成長となりました。寄与度は内需-0.1%、外需+0.7%と外需主導です。
内需では、民間最終消費支出が前期比+0.1%(寄与度+0.1%)と3四半期連続のプラス成長。このほか、設備投資が前期比+0.5%(寄与度+0.1%)、住宅投資が前期比+0.1%(寄与度+0.0%)、公的需要が前期比+0.1%(寄与度+0.0%)とプラスでしたが、いずれも力強さを欠き、こうした中で在庫投資が寄与度-0.2%と押し下げに寄与しました。
外需は、輸出が前期比+1.1%(寄与度+0.2%)、輸入が前期比-2.1%(寄与度+0.5%)。輸入の減少はGDP押し上げ効果を持ちますが、今回の3期連続プラス成長の立役者は輸入減少だったことになります。格好の良くない成長だった訳です。
なお、今回は2024年暦年のGDPが609.3兆円とはじめて600兆円を突破したことが話題になりました。また、2024年の実質雇用者報酬の前年比は+1.4%。雇用者報酬と賃金は異なりますが(前者は雇主の社会保険関係負担等を含む)、GDP統計上は所得環境が少しずつ好転してきているようです。
トレンドとして注意すべき点は以下です。
・個人消費については、実質賃金が前年比プラスに転化し始め、春闘も前年に及ばないまでも相応の賃上げが予想されます。また、「壁」の議論の帰趨は不透明ですが、来年度予算では教育費無償化を含めなにがしか所得面でのプラス効果が期待できます。こうした状況と、コメに象徴される最近の物価上昇のどちらが勝るか、微妙な展開が続きます。
・設備投資については、各種アンケート調査では旺盛な投資意欲が示されますが、GDPの伸びはイマイチ。この理由として、人手不足(工事等が進まない)と物価上昇(アンケートは名目値だがGDPは実質値)が指摘されます。この傾向に変化は見込めません。
・輸出については、まさにトランプ大統領の政策に依存します。日本の自動車輸出に関税が課されるか、トランプ政権の政策が米国やその他世界の経済にどのようなインパクトを与えるか、不透明です。
こう考えると、先行きは楽観できません。そうした中で日銀利上げ観測が強まっていますが、私は引き続き「次は7月」説を維持しています。
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内閣府は判断維持
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内閣府の判断は、現状、先行きとも基本的に維持。ただし、先行きのリスクとして米国の通商政策が明記されました。需要項目では、輸出が若干上方修正されました。
(現状)
・基調:景気は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している
・個人消費:一部に足踏みが残るものの、持ち直しの動きがみられる
・設備投資:持ち直しの動きがみられる
・住宅建設:おおむね横ばいとなっている
・公共投資:底堅く推移している
・輸出:このところ持ち直しの動きがみられる
(先行き)
・基調:雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、欧米における高い金利水準の継続や中国経済における不動産市場の停滞の継続に伴う影響など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、通商政策などアメリカの政策動向、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある
・個人消費:雇用・所得環境が改善する下で、持ち直していくことが期待される。ただし、消費者マインドの動向に留意する必要がある
・設備投資:堅調な企業収益等を背景に、持ち直し傾向が続くことが期待される
・住宅建設:当面、横ばいで推移していくと見込まれる
・公共投資:補正予算の効果もあって、底堅く推移していくことが見込まれる
・輸出:海外経済の持ち直しが続く中で、持ち直していくことが期待される。ただし、海外景気の下振れリスクに留意する必要がある
今回はこの辺で。
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