2023/04/03 06:30 | by Konan | コメント(0)
Vol.188: また遅ればせながら月例経済報告
新年度に入りました。先々週SVB・CS、先週日銀財務健全性を書くうち、また内閣府月例経済報告を失念しました(恥)。今回はそのキャッチアップとして、簡単に3月22日に公表された内閣府月例経済報告を紹介します。
***********
景気現状判断維持
***********
景気の現状については、「このところ」という言葉が削除されましたが、実質的には先月の判断が維持されました。個別需要項目も同様です。細かく言えば、「このところ」との表現は「最近こうだが、そのうち元に戻るかも」という気持ちが込められています。「このところ」を削除したことは、その傾向が一時的でないと認めたことを意味します。基調判断は、先月は「このところ一部に弱さがみられる」でしたが、今月はすっきり「一部に弱さがみられる」です。
・基調:景気は、一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している
・個人消費:緩やかに持ち直している
・設備投資:持ち直している
・住宅建設:底堅い動きとなっている
・公共投資:底堅く推移している
・輸出:弱含んでいる
***********
先行きの判断も維持
***********
先行きの判断もほぼ維持されました。変更点は、先月まであった中国の感染症の話が消えたことです。中国のゼロコロナ政策停止はすっかり定着し、停止直後の感染拡大も収まったと思います。
・基調:ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある
・個人消費:ウィズコロナの下で、持ち直していくことが期待される
・設備投資:堅調な企業収益等を背景に、持ち直し傾向が続くことが期待される
・住宅建設:底堅く推移していくと見込まれる
・公共投資:補正予算の効果もあって、底堅く推移していくことが見込まれる
・輸出:当面は、海外経済の減速から弱めの動きが見込まれる
***********
氷見野副総裁大活躍!
***********
先週、日銀財務の健全性の話を書きました。昨年のポンド急落との関連の質問を頂きありがとうございます。近々日本の財政について書く予定で、その中で触れようと思います。
その日銀。副総裁2人は既に交代し、9日の植田総裁誕生を待つところです。このうち、氷見野副総裁に関しうれしいニュースが飛び込みました。金融安定理事会(Financial Stability Board)の常設委員会のひとつであるSCSI(Standing Committee on Standards Implementation)議長への就任が3月29日に公表されました。副総裁就任から10日も経たないタイミングでの就任は、氷見野副総裁の知名度の高さやネットワークの強さを感じさせます。金融システム問題に再び注目が集まる中、心強い一歩となりました。
今回はこの辺で。
当社に無断で複製または転送することは、著作権の侵害にあたります。民法の損害賠償責任に問われ、著作権法第119条により罰せられますのでご注意ください。
いただいたコメントは、チェックしたのち公開されますので、すぐには表示されません。
ご了承のうえ、ご利用ください。