2023/03/06 06:30 | by Konan | コメント(0)
Vol.184: 遅ればせながら内閣府月例経済報告
2月21日に公表された内閣府月例経済報告。本当は先週紹介すべきでしたが、執筆の時間が取れませんでした。1週間遅れで紹介を行った後、当面の執筆予定を記します。
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景気現状判断維持
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景気の現状については、個別の需要項目を含め不変。シンプルな形で維持されました。
・基調:景気は、このところ一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している
・個人消費:緩やかに持ち直している
・設備投資:持ち直している
・住宅建設:底堅い動きとなっている
・公共投資:底堅く推移している
・輸出:このところ弱含んでいる
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先行きの判断も維持
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先行きの判断も不変でした。現状・先行きともにここまで変わらないのも珍しいですね。
・基調:ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響や中国における感染拡大の影響に十分注意する必要がある
・個人消費:ウィズコロナの下で、持ち直していくことが期待される
・設備投資:堅調な企業収益等を背景に、持ち直し傾向が続くことが期待される
・住宅建設:底堅く推移していくと見込まれる
・公共投資:補正予算の効果もあって、底堅く推移していくことが見込まれる
・輸出:当面は、海外経済の減速から弱めの動きが見込まれる
日本経済には、今3つの力が働いています。それらの力が拮抗し、全体としては「緩やかな持ち直し」の状況にあると思います。暫くこうした感じが続くかもしれません。
・海外経済の減速…輸出企業にとりマイナスの要素です。ただ、中国でのゼロコロナ政策終了や天然ガス価格の下落により、海外経済減速の度合いが予想より小さくなっている感もあります。この点は好材料です。
・コロナ禍からの脱却…飲み屋は混んでいます。国内旅行も増えています。そしてインバウンド需要が戻ってきました。これらは間違いなく日本経済にとってプラス要因です。
・物価上昇…物価上昇は生活を苦しくさせ、消費を落ち込ませます。今年の賃上げ率は25年振りの高さと言われますが、物価上昇率には届きません。この点が経済や人々のマインドに影を落とし続けます。
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当面の執筆予定
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そうした中で、当面の最大の関心事は植田日銀総裁誕生と思います。今週9日・10日に黒田総裁下での最後の金融政策決定会合が、4月27日・28日に植田総裁下での最初の金融政策決定会合が開催されます。このコーナーでも、3月13日と5月1日にそれぞれの会合の解説を行う予定です。
また、最近は今後の金融政策運営と日銀財務の健全性、そして財政の健全性の関係に注目が集まります。2回の金融政策決定会合の間に、2回に分けてこの点の解説を試みようと思います。
では、今回はこの辺で。
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