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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2023/01/30 06:30  | by Konan |  コメント(0)

Vol.180: 内閣府月例経済報告


今回は短く、25日に公表された内閣府月例経済報告を紹介します。判断が下方修正されました。

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基調判断下方修正
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基調判断に「このところ一部に弱さがみられるものの」との表現が挿入され、下方修正されました。輸出が「おおむね横ばい」から「このところ弱含んでいる」に修正されたことが背景です。輸出については供給制約の影響が緩和されてきましたが、ここにきて世界経済減速の影響が出てきた格好です。

(現状)
・基調:景気は、このところ一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している
・個人消費:緩やかに持ち直している
・設備投資:持ち直している
・住宅建設:底堅い動きとなっている
・公共投資:底堅く推移している
・輸出:このところ弱含んでいる

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先行きの判断は維持
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先行きの基調判断維持されました。ただし、輸出は下方修正です。

・基調:ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響や中国における感染拡大の影響に十分注意する必要がある
・個人消費:ウィズコロナの下で、持ち直していくことが期待される
・設備投資:堅調な企業収益等を背景に、持ち直し傾向が続くことが期待される
・住宅建設:底堅く推移していくと見込まれる
・公共投資:補正予算の効果もあって、底堅く推移していくことが見込まれる
・輸出:当面は、海外経済の減速から弱めの動きが見込まれる

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日銀との比較
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以上だけでは流石に短いので、久し振りに日銀の判断と比べてみました。

現状の基調判断はいずれも「持ち直している」です。ただ、需要項目の表現には結構な違いがあります。内閣府、日銀の順に並べると:

・個人消費:緩やかに持ち直している、緩やかに増加している・・・「持ち直し」と「増加」では「増加」の方が強めの表現。ただ判断の差は左程無いと思います。
・設備投資:持ち直している、緩やかに増加している・・・ここも日銀の方が強い表現。ただ、個人消費同様に判断の差は左程無いと思います。
・住宅建設(投資):底堅い動きとなっている、弱めの動きとなっている・・・ここは判断が大きく異なります。GDPに占めるウエイトが低いので影響は余りありませんが、GDP上の住宅投資は数年前に比べ低い水準にとどまっており、日銀はその点を重視した表現と想像します。他方、内閣府は「最近は余り変化が無い」という感じの表現ですね。
・公共投資:底堅く推移している、横ばい圏内の動きとなっている・・・要は「余り変化していない」ということで、その意味では一致。ただ、内閣府は政府の批判をしたくないので、「底堅い」との表現を用いているのでしょうか。
・輸出:このところ弱含んでいる、基調として増加している・・・ここは明らかに異なりますね。内閣府の方が足元の計数まで見て表現を変えてきた感じです。

今回はこの辺で。次回は31日公表のIMF世界経済見通しを紹介する予定です。その次は、恐らく日銀正副総裁候補者名が国会に提示されていると思うので、その解説を考えています。

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