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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2022/08/16 06:30  | by Konan |  コメント(2)

Vol.162: 4~6月期GDP


普段より1日遅れとなりますが、昨日公表された日本の4~6月期を紹介します。前期比+0.5%(年率+2.2%)とまずまずのプラス成長となりました。

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3期連続プラス成長
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1~3月期のGDPは1次速報値では前期比-0.2%でしたが、その後の改訂で+0.0%と辛うじてプラスになりました。このため今回でプラス成長は3期連続となります。

内需・外需に分けると内需の寄与度は+0.5%、外需の寄与度は+0.0%で、内需主導の成長です。民間需要・公的需要に分けると、前者の寄与度は+0.3%、後者は+0.2%とほぼイーブンです。

需要項目別で唯一目立つのは民間最終消費支出。前期比+1.1%、年率換算+4.6%、寄与度+0.6%です。4~6月期は、久し振りにコロナ禍のことを忘れることが出来ました。かなりの賑わいを見せた飲食店や観光地もあると思います。一方で、皆がコロナ前の姿に戻った訳ではありません。大人数での飲み会やインバウンドは復活せず、コロナ禍を生き残るため増えた借入金の返済が、もはや給付金も出ない中で正念場を迎える先も少なくありません。景気の動きと倒産・廃業の動きが反対方向になる可能性もある点は要注意です。

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国内需要デフレーター上昇
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1~3月期GDPの紹介の際、デフレーターについて説明しました。上記の成長率は全て「実質」ですが、名目値と実質値の関係を表すのがデフレーターです。ある物が1個売れるか2個売れるかが実質、100円で売れるか200円で売れるかが名目、名目値を実質値で割るとデフレーターの関係になります。単純に言えばデフレーターの上昇は物価の上昇を示します。

この説明は正しいのですが、1つ技術的ながら大事なことを書き漏れていました。申し訳ありません。GDPは「国内」総生産なので、その算出の際に輸入は差し引かれます。輸入が増えるとGDPにマイナスの影響を与えます。このことだけでもややこしいのですが、今のように輸入物価が上がるとどうなるか?実質輸入の伸び(例えば原油を何バレル輸入するか)を名目輸入の伸び(原油を何億円輸入するか)が上回ります。輸入は差し引く項目なので、実質GDPより名目GDPの方が大きく減ります。そうなるとGDP全体のデフレーターは低下します。要は「輸入物価上昇」が「GDPデフレーター低下」を引き起こすわけです。この4~6月期も、GDPデフレーターは前期比マイナス(-0.3%)になってしまいました…

他方で、このデフレーターを国内需要に限ってみると姿が異なります。国内需要デフレーターの前年同期比は、昨年4~6月期以降、各四半期ごとに+0.3%、+0.6%、+1.1%、+1.8%、+2.6%と着実に上昇しています。実感に合う数字と思います。

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GDP水準はコロナ前回復?
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4~6月期の実質GDP(季節調整済)実額は542兆円コロナ前の2019年10~12月期の541兆円を上回りました。この意味ではコロナ前水準回復です。実際、欧米では2019年10~12月期との対比でコロナ前を回復したか否か測られることもありました。

ただ日本の場合、2019年10月に消費税率引き上げが行われ、10~12月期はその反動で落ち込んだ水準です。そこを回復したとしても余り意味はありません。ただ、例えば2019年暦年は553兆円。2%程度の違いですが、これを超えるには時間がかかりそうですね。

今回はこの辺で。

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2 comments on “Vol.162: 4~6月期GDP
  1. おはぎ より
    とても分かりやすい

    とても分かりやすい解説ありがとうございました。倒産・廃業、そろそろ気を付けないといけないと、はっとしました。

  2. Konan より
    ありがとうございます!

    おはぎさん、コメント励みになります。引き続き頑張ります。

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