2022/06/20 06:30 | by Konan | コメント(0)
Vol.156: 日銀金融政策決定会合
今回は、16・17日に開催された日銀金融政策決定会合の紹介です。黒田総裁炎上やFEDの0.75%利上げを受けとても注目されましたが、政策は不変。「大山鳴動して鼠一匹」でした。
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景気判断は維持
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今回のように展望レポートが無い月(3、6、9、12月)と有る月(1、4、7、10月)でスタイルが異なるため比較が難しい面はありますが、景気の基調判断は維持されました。
・基調:新型コロナウイルス感染症や資源価格上昇の影響などから一部に弱めの動きもみられるが、基調としては持ち直している
・個人消費:感染症の影響が和らぐもとで、サービス消費を中心に持ち直しつつある
・設備投資:一部業種に弱さがみられるものの、持ち直している
・住宅投資:横ばい圏内の動きとなっている
・公共投資:弱めの動きとなっている
・輸出:基調としては増加を続けているが、足もとでは、供給制約の影響が強まっている
先行きに関しては、以下のように予想しています。
・ウクライナ情勢等を受けた資源価格上昇による下押し圧力を受けるものの、新型コロナウイルス感染症や供給制約の影響が和らぐもとで、外需の増加や緩和的な金融環境、政府の経済対策の効果にも支えられて、回復していくとみられる
・その後は、資源高のマイナスの影響が減衰し、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まっていくなかで、わが国経済は、ペースを鈍化させつつも潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる。
消費者物価(除く生鮮食品)については「当面、エネルギーや食料品の価格上昇の影響により、2%程度で推移するとみられるが、その後は、エネルギー価格の押し上げ寄与の減衰に伴い、プラス幅を縮小していくと予想される」とします。
リスク要因は以下が挙げられています。
・内外の感染症の動向やその影響
・今後のウクライナ情勢の展開
・資源価格や海外経済の動向
・金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響
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金融政策継続
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冒頭に書いたように金融政策は不変でした。「政策金利については、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している」とされています。356回国債を当分の間、無制限に0.25%で買入れる方針も示されました。
今回の会合前「政策が一部修正されるのでは」とか「黒田総裁と事務方の間に不協和音がある」などの報道もありましたが、その憶測を完全に否定する内容となりました。唯一「為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響を、十分注視する必要がある」との一文が挿入されたのみです。何度か書いたように、円安や物価上昇は困る一方で、利上げにより景気が悪化することも避けたい、「前門の虎後門の狼」状態に日銀は陥っています。この袋小路から抜けるには、黒田総裁が交代する来春を待つしかないと感じます。
今回はこの辺で。
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