2021/07/19 06:30 | by Konan | コメント(1)
Vol.114: 日銀金融政策決定会合
今回は15、16日に開催された日銀金融政策決定会合の紹介です。政策変更はありませんでしたが、気候変動に関する新たな資金供給の骨子素案が決定されました。また四半期に一度の展望レポートも公表されました。淡々と触れていきます。
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景気判断:現状判断不変
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まずは景気の現状判断です。前回6月と不変です。
・基調:内外における新型コロナウイルス感染症の影響から引き続き厳しい状態にあるが、基調としては持ち直している
・個人消費:飲食・宿泊等のサービス消費における下押し圧力が強く、足踏み状態となっている
・設備投資:一部業種に弱さがみられるものの、持ち直している
・住宅投資:下げ止まっている
・公共投資:緩やかな増加を続けている
・輸出:着実な増加を続けている
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景気判断:先行きも不変
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先行きについては以下の見通しが述べられています。展望レポートが出る回とそうでない回で書き方が少し異なるので比較が難しい面はありますが、前回6月と不変とみて良いと思います。
・基調(中心的な見通し):当面の経済活動の水準は、対面型サービス部門を中心に、新型コロナウイルス感染症の拡大前に比べて低めで推移するものの、回復していくとみられる。その後、感染症の影響が収束していけば、所得から支出への前向きの循環メカニズムが強まるもとで、わが国経済はさらに成長を続けると予想される
・個人消費:当面、対面型サービスを中心に低めの水準で推移するものの、感染症の影響が徐々に和らいでいくもとで、政府の経済対策などにも支えられて、再び持ち直していくとみられる。その後、感染症の影響が収束していけば、雇用者所得の改善にも支えられて、対面型サービス消費を含め、個人消費の増加基調が明確になっていくと考えられる
・設備投資:対面型サービス部門の建設投資の弱さは当面続くものの、企業収益の改善や緩和的な金融環境、政府の経済対策にも支えられて、機械投資やデジタル関連投資を中心に、増加傾向が明確になっていくと考えられる
・公共投資:災害復旧・復興関連工事や国土強靭化関連工事などの進捗を反映して着実に増加したあと、高めの水準で推移すると見込まれる
・輸出:財については、世界的なデジタル関連需要の拡大や設備投資の回復に支えられて、しっかりとした増加を続けるとみられる。サービス輸出であるインバウンド消費については、入国・渡航制限が続く間は、落ち込んだ状態が続くものの、その後は、回復していくと予想される
なお、リスク要因としては以下の点が指摘されます。この指摘も不変です。
・新型コロナウイルス感染症による内外経済への影響
・企業や家計の中長期的な成長期待
・金融システムの状況
リスクバランスは、「感染症の影響を中心に、当面は下振れリスクの方が大きいが、見通し期間(2023年度末まで)の中盤以降は概ね上下にバランスしている」とされます。
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実質GDPと消費者物価の見通し
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展望レポートの中では、金融政策を決定する黒田総裁を含む9人の政策委員会メンバーによる実質GDP・消費者物価指数の見通しが示されます。中央値(9人のうち、上からみても下からみても5番目の数字)は以下の通りです。
(実質GDP)
2021年度+3.8%(前回+4.0%)、2022年度+2.7%(前回+2.4%)、2023年度+1.3%(前回+1.3%)
(消費者物価指数)
2021年度+0.6%(前回+0.1%)、2022年度+0.9%(前回+0.8%)、2023年度+1.0%(前回+1.0%)
数字は2022年度少し強めになりましたが、黒田総裁の任期(2023年4月。ただし両副総裁の任期である3月に同時に退任すると見込まれます)中に2%の物価上昇目標が実現しないことは引続き変わりません。
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気候変動対応支援資金供給
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今回は資金供給の骨子の素案が決まりました。金融機関が気候変動対応に資する投融資をまず行い、そのバックファイナンスを日銀が行います。主な点は以下の通りです。
・対象金融機関:気候変動対応に資するための取り組みについて一定の開示を行っている先
・バックファイナンスの対象となる投融資:わが国の気候変動対応に資する投融資。具体的には、グリーンローン/ボンド、サステナビリティ・リンク・ローン/ボンド、トランジション・ファイナンスにかかる投融資が考えられる
・日銀の資金供給の条件:円貨、利率ゼロ%、期間1年、借り換え可能、金融機関が日銀当座預金に預ける際の金利がマイナスにならないよう配慮
・年内目途に開始し2030年度まで
今回はこの辺で。私は今週2回目のワクチン接種。8月になれば安心して暮らせるでしょうか。
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温暖化がいけないように見えるが、ロシアなど北のほうの国々はいいではないか。温暖化は一種の戦争でそのように考えて対処しないと敗戦となる。敗戦といえば我々は幕末の東北藩の人々か、満州からの引揚者か朝鮮、台湾の引揚者がしているに過ぎない。
国内では都市部の空襲にあった人々でしょう。
愚かな温暖化に付き合う必要はないと思う。
常識は寒いより暖かいほうがいいに決まっている。