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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2021/03/08 06:30  | by Konan |  コメント(0)

Vol.96: 日銀点検の予想


日銀は、19日に開催される金融政策決定会合で、金融政策の「点検」を行います。SaltさんもTwitterで言及されていますし、何人かのエコノミスト・アナリスト(日銀OBを含めて)も自らの予想を発信しています。

今回は簡単に「点検」をおさらいし、私なりの予想を書こうと思いました。

「点検」に関する日銀サイドの公式な発信として、以下の3つを紹介します。

1.昨年12月18日の日銀公表文

・新型コロナウイルス感染症の影響により、経済・物価への下押し圧力が長期間継続すると予想される状況を踏まえ、経済を支え、2%の「物価安定の目標」を実現する観点から、より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検を行うこととした。その際、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組みは、現在まで適切に機能しており、その変更は必要ないと考えている。この枠組みのもとで、各種の施策を点検し、来年3月の金融政策決定会合を目途にその結果を公表する。

2.1月21日の総裁記者会見要旨

・現時点でお話しできる大きな問題意識というのは、次のようなことだと考えています。

・第一に、副作用をできるだけ抑制しつつ、効果的な金融緩和を実施するということです。もともとイールドカーブ・コントロールは、この二つのバランスを取りながら金融緩和を行う枠組みですが、この間の経験や現下の情勢を踏まえて、費用対効果の面でより効果的な運営ができないか模索していく必要があると思っています。

・第二に、金融緩和の長期化が予想される中で、平素の運営において持続性を高めるとともに、経済・物価・金融情勢の変化が起こった際は、機動的に対応できるようにしておく必要があると思います。こうした状況の変化に応じて、よりメリハリをつけた運営を行うことが考えられるのではないかと思います。

・第三に、点検の重点は副作用対策ではなく、あくまでも、効果的な金融緩和を行ううえで、副作用は不可避ですが、これに配慮しながら、いかに効果的な対応を機動的に行うかというのが、問題意識であるといえると思います。

3.3月5日の「通貨及び金融の調節に関する報告書」概要説明

・この枠組み(注:長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組みのことです)は、現在まで適切に機能していますので、その変更は必要ないと考えています。この枠組みのもとで、イールドカーブ・コントロールの運営や資産買入れなどの各種の施策について点検します。

「点検」に関しては、潜在成長力を少しでも高めるため、菅内閣のグリーン成長戦略やイノベーション戦略を後押しするよう、成長基盤強化関連の施策を強化することも考えられます。またREIT買入れに注目する意見もあります。

そのうえで、論者の関心はイールドカーブ・コントロールとETF買入れに絞られています。

(イールドカーブ・コントロール)

イールドカーブ・コントロールについては、「現在上下0.2%とされる長期金利変動幅を拡大するのでは」との観測が専らでした。しかし、報道によれば(国会議事録を確認していませんが)、黒田総裁は5日の国会で「変動の幅を大きく拡大することが必要とも適当とも思っていない」と発言し、混迷してきました。黒田総裁はマイナス金利導入前に「考えていない」と公言し予想を裏切った前科もあるので、この国会発言を真に受けてよいかどうか分かりません。しかし、真に受けるとすると何が考えられるか?

・ある識者は「副作用対策を強化したうえでのマイナス金利深堀り」説を話しています。マイナス金利深掘りは、これまで黒田総裁が何度も公言してきたことで、選択肢には十分入ります。ただ、今回実際にマイナス金利をマイナス0.1%から更に引き下げることは唐突な気がします。また、副作用対策も既にコロナ対応や地域金融機関再編支援策の中で出尽くした感もあります。

・個人的には、「10年物金利でなく5年物金利をターゲットにする」可能性を考えています。日銀の調査物を読むと、実体経済に最も影響を与える金利は5年程度の金利との分析もみられます。また、短期金利から5年物までがっちりコントロールしたうえで、より長期のものを市場実勢に委ねることになります。枠組みは維持され、「変動幅を拡大しない」との黒田発言と矛盾せず、さらに副作用対策にもなります。

・ただ、この可能性を言う識者が皆無で「大穴」です(笑)。

(ETF)

具体的な手法は分かりませんが、「メリハリをつける」との予想にほぼ収斂しています。

・ETF買入れは、ほぼ機械的に行われてきました。「相場が前日対比一定程度以上下がったら買う」という形です。機械的である方が相場操縦との批判を回避しやすいと考えたからだと思います。これは一理あります。

・ただ、トレンドとしての上昇局面の中で一日下がっただけでも買いが入ることにもなります。トレンドとしての下げ局面で買い入れ額を大きく増やすことにもなりません。

・「トレンドをどう判断するか」技術的な点は不明ですが、恐らく「トレンドとしての上昇局面では買わない」「下落局面では大きく買う」方向に変更されるとの識者の予想で間違いないと思います。

以上です。2週間後の本コーナーで「反省会」を行おうと思います。

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