2019/12/23 06:30 | by Konan | コメント(1)
Vol.38: 今年最終号です・月例経済報告、金融政策決定会合2019年12月
今年もあと1週間少々となりました。ぐっちー逝去、平成から令和へなど、大きな変化の一年となりました。
今年最終号となる今回は、淡々と12月の内閣府月例経済報告(20日公表)と日銀金融政策決定会合(19日公表)を紹介します。
(現状)
全体:輸出が引き続き弱含むなかで、製造業を中心に弱さが一段と増しているものの、緩やかに回復している(内閣府)海外経済の減速や自然災害などの影響から輸出・生産や企業マインド面に弱めの動きがみられるものの、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、基調としては緩やかに拡大している(日銀)
個人消費:持ち直している(内閣府)消費税率引き上げなどの影響による振れを伴いつつも、雇用・所得環境の着実な改善を背景に緩やかに増加している(日銀)
設備投資:機械投資に弱さもみられるが、緩やかな増加傾向にある(内閣府)増加傾向を続けている(日銀)
住宅建設(投資):弱含んでいる(内閣府)横ばい圏内で推移している(日銀)
公共投資:底堅に推移している(内閣府)緩やかに増加している(日銀)
輸出:弱含んでいる(内閣府)弱めの動きが続いている(日銀)
輸入:おおむね横ばいとなっている(内閣府)記述無し(日銀)
(先行き)
全体:当面、弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、通商問題を巡る動向、中国経済の先行き、英国のEU離脱等の海外経済の動向や金融資本市場の変動の影響に加え、消費税率引上げ後の消費者マインドの動向に留意する必要がある(内閣府)当面、海外経済の減速の影響が続くものの、国内需要への波及は限定的となり、基調としては緩やかな拡大を続けるとみられる(日銀)
個人消費:持ち直しが続くことが期待される。ただし、消費者マインドが消費に与える影響に留意する必要がある(内閣府)(国内需要をまとめて)消費税率引き上げなどの影響を受けつつも、(中略)増加基調をたどると考えられる(日銀)
設備投資:緩やかに増加していくことが期待される。ただし、企業マインドが投資に与える影響に留意する必要がある(内閣府)
住宅建設(投資):当面、弱含みで推移していくと見込まれる(内閣府)
公共投資:関連予算の執行により、堅調に推移することが見込まれる(内閣府)
輸出:再び持ち直していくことが期待される(内閣府)当面、弱めの動きが続くものの、(中略)基調としては緩やかに増加していくとみられる(日銀)
輸入:持ち直していくことが期待される(内閣府)記述無し(日銀)
内閣府は、現状判断に「製造業を中心に弱さが一段と増している」との表現が加わり、「製造業が弱い」という世界的動向が日本に及んでいることを正面から認めました。日銀は、展望レポート公表月(1、4、7、10月)とその他の月(3、6、9、12月)の間で表現振りや詳細さが異なるため単純な比較は難しいですが、基本的に前回10月の判断が維持されていると思います。
2019年もまさに終わろうとしているので、皆さんの関心も過去の振り返りでは無く、先々の予想に向っていると思います。改めて、内閣府、日本銀行の先行き見通しを記載すると、以下の通りです。
内閣府:当面、弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、通商問題を巡る動向、中国経済の先行き、英国のEU離脱等の海外経済の動向や金融資本市場の変動の影響に加え、消費税率引上げ後の消費者マインドの動向に留意する必要がある
日銀:当面、海外経済の減速の影響が続くものの、国内需要への波及は限定的となり、基調としては緩やかな拡大を続けるとみられる
内閣府、日銀の判断は似通っています。まとめると以下の通りです。
・海外経済について、現時点での弱さを認めていますが、「海外経済の緩やかな回復」(内閣府)「海外経済の緩やかな成長」(日銀)を期待しています。この見通しは、IMF(国際通貨基金)の世界経済見通し(2019年+3.0%と国際金融危機後最低の成長率、2020年+3.4%と成長率回復を予想)と軌を一にしています。
・国内需要に関し、「雇用・所得環境の改善が続く」「各種政策の効果」(内閣府)、「きわめて緩和的な金融環境や積極的な政府支出」「所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続」(日銀)としています。要は金融、財政政策とも確りとやっているとのアピールに加え、雇用・所得環境が崩れていないことを背景に「海外経済減速の国内需要への波及は限定的」(日銀)と強気の見方です。
・リスク要因に関し、内閣府は上記の通り、「通商問題を巡る動向、中国経済の先行き、英国のEU離脱等の海外経済の動向や金融資本市場の変動の影響に加え、消費税率引上げ後の消費者マインドの動向に留意する必要がある」と指摘します。日銀は別箇所で「保護主義的な動きの帰趨とその影響、中国を始めとする新興国・資源国経済の動向、IT関連財のグローバルな調整の進捗状況、英国のEU離脱問題の展開やその影響、地政学的リスク、こうしたもとでの国際金融市場の動向」をリスク要因として挙げ、そのうえで、「こうした海外経済を巡る下振れリスクは引き続き大きいとみられ、わが国の企業や家計のマインドに与える影響も注視していく必要がある」とします。
まとめると、「海外経済は今は悪いがそのうち良くなる」「国内需要は心配ない」「そうは言ってもリスク要因は多くあり、見通し下振れリスクは無視できない」というところでしょうか。別の言い方をすると、今後のポイントは、
・海外経済がIMF見通しのように展開するか否か。
・雇用・所得環境の改善など、国内需要を支える要因が、消費税率引上げ後も持続するか否か。
・様々挙げられたリスク要因のどれがオオカミ少年で、どれが真に恐れるべきことか。
ということになり、来年の本コーナーで追っていくことが出来ればと思います。
冒頭に書いたように今年は大きな変化の一年となりました。来年は東京オリンピック・パラリンピック大会開催という大イベントがあり、その後の政局(安倍総理が勇退するか、途轍もない粘りを見せ憲法改正に取り組むか)や景気動向の変化(あるとすれば息切れによる悪化の方向でしょう)に注目が集まります。
新生Gucci Postもさらなる飛躍が期待されます。このコーナーも何らかのアップグレードが出来ると良いのですが。JDさん、Saltさん、編集部と相談していきたいと思います。
それでは本年一年お世話になりました。穏やかな年末年始をお迎えください。
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One comment on “Vol.38: 今年最終号です・月例経済報告、金融政策決定会合2019年12月”
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ご了承のうえ、ご利用ください。
国民の収入が減っているから、経済が上向くとは思われない。貯蓄なしの世帯が確か26パーセント、年収200万以下の世帯が1000万という、今後200万から400万の世帯が下へ行くと考えられる。この状況で
>・雇用・所得環境の改善など、国内需要を支える要因が、消費税率引上げ後も持続するか否か。
之では話にならないのでは?
証券会社の人と話したがもう階級が固定している、それは2000年から徐々に進んで、現在に至って、もうどうしようもない。
今後2000万から5000万位の貯蓄がある人々が下流へと落ちていくと予測している。
わが町内を見ると、とてもではないが上向くとは思われない。
戦後の前提が完全に崩壊したと認識しないと困ると思う。いろいろあるが一つの職場での収入では生きていけない世界がきたこともその一つでしょう。
個人的には政府は何をしていいかわからず、惰性で動いているだけで、昭和のはじめと同じで、当時しなければならないことは支那からの撤退による軍事費の削減で言及び公務員の削減だった。現在は福祉予算の削減でしょう。
ただ軍事費は増大する必要がある。さもないと国が崩壊する。国あっての福祉です
現在もそれと同じで、一例をあげれば、幼稚園や保育園の増設ではなく、子供を持つ親に直接お金を渡して、親に責任を持たせることで、それによって保育園幼稚園の職員を民間へ流すこと。
要するに財政、金融問題ではなく社会構造の改変で、政治の仕事でしょう。黒田さんがいくら頑張ても無駄だということです。
何か恐ろしいほど二極化が進みつつあり、5年もすれば国内は騒乱状態になるのではと思う。
戦前でも現状をよく知っている人がいたが、彼らはどうすることもできなかった。
同じ状態ではないかとみている、なんやかんやといってもまともな官僚は思うこととすることが異なるが、事態は正確に認識しているのではと思う。