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The Gucci Post [ぐっちー編集長の金融・経済を中心としたオピニオンブログ News Paper]

2013/08/19 09:00  | by Konan |  コメント(0)

Vol.206: また三題話

記録的な猛暑。先週はひどかったですね。そうした中、最近気になる話しを3つ、それぞれ簡単に。もう1つ、福島第1原発の汚染水の状況も気になりますが、今回は、集団的自衛権、消費税、米ロ関係の3つを取り上げます。

まず、集団的自衛権。参議院選挙圧勝を受け、安倍総理は地元で改憲に向けた意欲を改めて示しましたが、各種メディアでは、その前哨戦として、集団的自衛権を幅広く容認する方向での自民党・政府の動きや、それを容易にするため、内閣法制局のトップに本件に前向きな外務官僚を起用する人事が報道されています。本件は2つの点で興味深く思います。

第1に集団的自衛権そのものに関して。単純に言えば「同盟国である米国が攻撃された場合、仮に日本自体の安全に切迫した危険がないとしても、米国を助けることが出来るか否か」が論点です。憲法9条との関係では、そもそも戦争の放棄を唄ったなかで、狭義の自衛権(日本自身が攻撃された場合の自衛権)は認められるとしても、集団的自衛権は行き過ぎではないかとの発想から、従来極めて狭く解釈され、徐々に解釈が広がってきたとは言っても、未だに強い箍がはまっている状態と思います。方向としては、(イ)引続き狭い解釈を続ける、(ロ)いくつかの類型に限ったうえで現状より拡大する、(ハ)(類型も限らず)広く認めたうえで、実際の発動には国会の判断を求めるなど、様々な考え方があり得ます。個人的には、例えば東シナ海で米軍が襲われる事態に何もしないことに抵抗感を感じる一方、例えば中東や北アフリカ地域で襲われた際に何かをすることにも抵抗感を感じるのが正直な気持ちです。また、仮に当面の脅威を中国と考えるとすれば、同国との関係改善に向けた外交努力が先決のようにも思います。

第2に、法制局長官人事について。この手法は、3月の日銀総裁人事を彷彿とさせます。内閣法制局は財務省と別の意味で官の中の官であり、その考え方がトップ交代だけで今後変わるとすれば驚きです。他方、各省庁等のトップ人事を官僚自らの手に委ねず、政治家の管理下に起くという発想は、小沢民主が声高に主張していた考え方で、官嫌いな国民に歓迎される面もあります。端的に言えば、選挙で勝ち衆参で圧倒的多数を占めれば、いろいろなことが出来ることを改めて示した訳で、選挙結果が持つ重みを実感させる出来事です。

次に消費税。この点も今後改めて取り上げようと思いますが、12日に公表された4月~6月期のGDP成長率が市場の予想をやや下回り、消費税引上げ延期論が力を増しているようにも感じます。どんなに遅くとも10月の臨時国会前には決断が下されるでしょうが、7月以降、日本経済の力強さが一段と増していると言えるかどうか、とても悩ましい状況と思います。私はぐっちーほどは悲観的に思ってはいませんが、消費税引上げという極めて重要な判断を行ううえで十分な証拠が揃うかどうか、1997年の失敗例もあるだけに、微妙な状況と思います。

因みに、ぐっちーは賃金が上がる前に物価が上がる悪い状況を指摘します。この点、私は雇用者所得という数字に注目しています。この数字は単純に言えば「賃金×雇用者数」で算出され、間違いなくここ数か月強めの動きを示しています。しかし、内訳をみると、賃金は精々前年比マイナスが解消された程度で、雇用者所得改善の背景は雇用者数の増加です。イメージを言えば「既に職を得ていた人の賃金は増えていない一方、これまで職に就けていなかった人々が少しずつ職に就けるようになった」感じと思って下さい。前者の層からみると物価上昇はとんでもない苦しい事態、後者の層からみると兎にも角にも職に就けただけで御の字ということになります。賃金が前年比マイナス域からプラス域に転じていけるか、日本経済にとって最大の注目点となることは間違いありません。

最後に米ロ関係。詳しく追ってはいませんが、元CIA職員スノーデン氏の一時亡命を認めたロシアと米国の関係が悪化し、首脳会談もキャンセルされた状況と思います。この話しで面白いと思ったのは以下の2点です。

1つは、未だに米ロ関係が重要であることに久しぶりに気付かされたことです。最近はロシアと言えば精々BRICsの1つくらいの位置付けで、北方領土問題で少し騒がれる程度です。しかし、核兵器をはじめとする軍事力が未だに強大で、世界の安全保障上欠くべからざる存在であることを、遅まきながら改めて実感しました。

もう1つは、米国の難しさ、わがままさ。米国の理屈は「対テロ対策上、ここ数年発達してきたグーグルやフェイスブックなど、各種ネットワークからいざというときに情報を得るルートを確立しておくことが不可欠。普段から一般人を監視する訳ではないが、危険人物を監視できる態勢を整えるには、大きな構えを常時持っておくことが必要。こうした重大な国家安全保障上の機密をリークした人物は許せないし、追随者が出ることは困る」ということと思います。このネットワーク監視の是非自体極めて深刻な問題ですが、そのことと、ロシアやプーチン大統領を一方的に非難するオバマ大統領の少し子供っぽい言動には、やや距離があるように思えてなりません。

以上、三題話でした。

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