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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2012/08/20 00:00  | by Konan |  コメント(3)

Vol.154: 領土


今回は違うネタを用意していましたが、流石に領土問題を避けて通れないと思い、書いてみようと思いました。何をどう書いても必ず誰かから強い反発を招くであろう恐い題材で、とても緊張しています。

ロンドンオリンピックの最中、韓国の李大統領が竹島を訪問した時点で、事態がここまで深刻化するとは予想しませんでした(偶々日韓で銅メダルを争った男子サッカー、女子バレーが1勝1敗となり、痛み分けだったねと気楽に感じていた程度でした)。しかし、皆さんご承知の通り、李大統領の天皇陛下訪韓に関する余りに礼を失した発言など韓国の挑発はエスカレートしています。そして、別の領土問題である尖閣に香港の活動家が上陸する事件が起き、強制退去措置に対する中国国内の抗議運動が広がりをみせています。この間、暫く前のことですが、プーチン大統領が北方領土を視察に訪れる「事件」もありました。

私は各領土問題の専門家でもなく、自分が正しい自信は全くありませんが、以下のような認識を持っています。

尖閣については、2千年遡れば中国の領土だったこともあるのかもしれませんが、少なくとも数百年単位では日本の領土だったと思っています。そして現に日本が実効支配しています。中国は同様の領土に関する主張を東南アジア諸国に対しても行っており、日本には味方がいる一方、中国の主張は軍事拡張路線の表れとして米国を含め国際的にも警戒されている状況と思います。

北方領土については、日本の領土だったが、第二次世界大戦で負けたため、旧ソ連(ロシア)の領土になったと思っています。ソ連の参戦が不可侵条約を破ってのことでもあり、ソ連の領土になったこと自体を認めない方もおられると思いますが、私は戦争に負けることの意味は、まさに受け入れ難いことを受け入れさせられることと思っています。実効支配もロシア側で、わが国は長年返還を求めていますが、努力は実りません。

竹島については良くわかりません。今回少し調べたのですが、確からしいことは、1905年に島根県に編入されたことと、1952年に韓国が李承晩ラインを一方的に宣言して以降、韓国が自国領土と主張し、実効支配も行っていること程度でした。

このように、同じ領土問題といっても三者三様で、まずはそれぞれに適切な対応が求められると思います。尖閣については、守りを固めること、同じような立場にある東南アジア諸国やインド等との連携、あるいは米国との連携を強めること、中国政府に対し明確な意思表示を行うこと、しかし経済関係の強化のような相互の実利は追求し続けることなどでしょうか。北方領土については、ロシアとの経済関係強化を図りつつ、粘り強く返還交渉を続けることくらいしか思い浮かびません(2島先行でも良いように感じますが、4島一括に拘る方が多いことも否定できません)。その意味では、竹島が一番難しいのかもしれません。1952年当時の日本には、サッチャー首相がフォークランドに軍を送り領土を奪還したような軍事力もなく、平和的な対応のほか取る余地はありませでした。しかしその後60年経っても日本にとって改善の方向が見えないのは、苦しい状況です。

領土問題に共通するのは、サッチャーさんではないですが、決して諦めないこと、主張を降ろさないことの大事さと思います。一方で、現在の憲法9条の下、北方領土や竹島に攻め込むことは出来ないことも事実と思います。そうなると、結局問われるのは外交力です。ユーロ問題を取り上げた際も触れましたが、通貨ユーロは、たとえそれが現状上手く機能していないとしても、2つの大戦を経たうえでのひとつの出口の模索の果実と思います。そうした構想力を持つことが出来るでしょうか。

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3 comments on “Vol.154: 領土
  1. ペルドン より
    case-by-case

    尖閣は・・実効支配・・
    落ち着いて・・構えておれば・・
    中国も・・
    主席が・・上陸してくる事はないでしょう・・(笑)

    北方四島・・二か四か三か一か・?
    新総理の腕次第・・期待しましょう・・

    竹島・・
    国際裁判所提訴・・韓国の弁明が出た後・・
    返還するはずがない・・韓国の政治的生命線になっている・・
    どうしても・・返還を求めるなら・・
    ここは・・
    適役・・
    北を・・代理人・・返還交渉・・
    南との交渉は・・北が熟知・・
    勿論・・
    御足労代・・費用は・・経済援助に含める・・・

  2. Audley End より
    日本を取り巻く世界の状況が

    大きく変わろうとしている今、これから生まれてくる子供たちのためにも、将来の日本がどうあるべきかという、根本的な問いへの真摯な対応が求められていると思います。

    中国、ロシア、韓国が、日本に対して瀬戸際外交をしかけてくるのは、それぞれが自国の国益を考えての行動で、ある意味、当然とも言えるでしょう。 ですが同時に、かんべえ先生もおっしゃっているように、日本はナメられているのです。 これは、由々しき事態です。

    自国を守るのは誰か? 自国民です。 この、当たり前のことが、当たり前でない状況に、もし違和感を持たないとすれば、他国から見たとき、「日本は御しやすい国」となるのではないでしょうか。 弱い相手とみなされれば、更に踏み込まれても不思議ではありませんので、日本の毅然とした態度と戦略が必要で、将来に禍根を残さないためにも、今が、肝心、かなめの時だと思います。

    福島第1の事故に対する政府と関係省庁の初期対応の遅れにより、以前から言われている日本の弱点が、はからずも世界に露呈してしまいました。 防衛産業や、公的機関に対するサイバー攻撃も、同じ文脈であるような気がします。 日本を取り巻く世界の環境は、否応なく、動いています。

    中国は幼い頃より、過酷な競争社会です。 その中をサバイバルして、勝ち上がってきた人たちから見れば、日本の生ぬるい、勘違いの平等感覚(友愛感覚?)は、ある意味、こっけいでしょう。

    なぜ日本は こうなってしまったのか? 一言でいえば、「教育」が間違っているのではないでしょうか。 日本は、トラウマを克服し、新しい一歩を踏み出すタイミングに来ていると感じます。 そして、それぞれが個性を発揮して、切磋琢磨しながら、適材適所で輝くことのできる社会を築いていくことが求められていると思います。

  3. パードゥン より
    毒を制するには、毒を

     アメリカは、アップルの訴訟に韓国系判事をあてて、1000億ドルとかいう特許違反裁定を出させましたね。  訴訟指揮も、サムソン側弁護士に黙ってろと怒れる判事と話題になるほど凄かったようですね。

     慰安婦問題なんか、姜 尚中さんあたりにお願いをすれば、毒というよりは、温厚な方だから解毒はしてくれるかもしれない。

     日本では戦国時代からの経験で、軍隊が現地婦女子とトラブルを起こすと人心が離れる事をよく知っているから、韓国人経営のプロ集団をつれて歩いていたのが多いでしょう。 その雇い入れ方に問題があったり、それ以外の例もあったはあったでしょうが本質ではない。 昭和恐慌の中で日本人だって雇われざるを得ない人はいたのではないですか。 朝日新聞は良く知っているはずですが、戦前の新聞は廃棄したのでしょうか? 北は本件についてあまり文句を言わないようですね。

     若い軍人のはけ口を用意しなかったロシアのベルリン・満洲での行動の酷さ、綺麗事を言ってもアメリカ軍でさえ、沖縄では問題が多いですよね。 韓国歴史ドラマでは、宗主国の中国大使に女性を要求されたり差し出す話が多いですよね。 最近でも映画女優を何度も接待に使って自殺されたりしてますから、長年の中国支配で普通と思っていた歴史の整理から、始めてもらったらどうですか。

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