2012/07/16 00:00 | by Konan | コメント(2)
Vol.149: ユーロ(その2)
もし時計を数年前に戻すことが出来るとすれば、ギリシア問題への最良の答えは「ギリシアを支えない」ことだったと思います。例えて言うと、米ドル建て債券を発行する中南米の一国の破綻は、米ドル崩壊を意味しません。一国の信認の問題と通貨の信認の問題が完全に切り離されているからです。これと同様、本来はユーロ圏の国の財政破綻が、自動的にユーロの破滅を意味する訳ではありません。逆説的に言えば、弱い国が離脱していけば、残った国で構成されるユーロはより強くなるかもしれません。しかし「ギリシアを他のユーロ国が支える」ことを考え始めた途端、話しが変わります。ギリシアを支え切れないことが、ユーロ圏の他の国の信認低下、ひいてはユーロそのものの信認低下に結び付いてしまうからです。「ギリシアの問題はギリシアの問題」と切り捨てることが本来できたはずなのに、下手にギリシア救済に乗り出してしまったため、一国の信認低下がユーロ圏全体の信認低下に連結してしまったというのが、私の理解です。
しかし、欧州共同ファンドが銀行への資本注入や国債買入れを行う点は合意され、欧州中央銀行が欧州各国の銀行システム安定の役割を担う方向も固まりつつあります。また、各国が財政の改善努力を続け、将来的に財政統合を可能にする道を確保していくという長期的な方向感も確立しています。こうした政治レベルでの意思がある限り、長い目でみればユーロは安定の方向に向かうはずです。また、そうであるとすれば、短期的な市場の混乱は今後も断続的に続いていくとしても、市場のチャレンジはどこかで跳ね返され、結局ユーロの崩壊は起きないというのが私の読みです。この見方はぐっちーと正反対ですが、同じGucci Postに正反対の主張が掲載され、読者の皆さんに考えて頂くことも、Gucci Postの良さと思います。
次回もう1回ユーロの話しを続けます。
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2 comments on “Vol.149: ユーロ(その2)”
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「中南米の一国の破綻と同じで、ギリシアの問題はギリシアの問題と切り捨てることが本来できたはず」というのには驚きました。
その場合、ギリシャ国債を抱えた銀行から、信用収縮が連鎖的に起こるという懸念はないということになるのでしょうね。
欧州を・・
武力以外で・・統一させようなんて・・
どんな軍事的天才も・・考えなかった・・
そして・・
軍事的に試したナポレオンは敗退した・・
成功したのは・・シャルルマーニ大帝・・
・・ローマ帝国・・
ローマは軍事制圧の後・・ローマ法で統括した・・
EU・・EU統一を求めるなら・・
故事にならい・・ローマ法を鑑み・・まず法を統一すべきだった・・
法を統一し・・憲法裁判所・・行政裁判所・・を統一し・・調停の要に置くべきだった・・
経済統合は・・最後にすべき処方だったが・・真っ先に選び・・欲で釣ったのは間違いない・・間違いないは間違いだった・・
と言って・・
明日にも・・ユーロ崩壊が・・ポンペイ最後のように・・派手に起こる・・とは思わない・・
安楽死するにしても・・時間がかかる・・
まず・・
五穀絶ち・・十穀絶ち・・
生きながら・・活き仏になるには・・時間がかかるものだ・・・