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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2012/05/21 00:00  | by Konan |  コメント(1)

Vol.141: また国際問題


何回か前に国際問題について取り上げましたが、また最近気になることがいくつか出てきました。ミャンマー、イラン、北朝鮮について簡単に触れたいと思います。

ミャンマーでは、先般民主的な選挙が実施され、スー・チーさんも当選しました。大きな進展です。本件で気になったのは、「同国を支援するため、過去の円借款3千億円分の債権放棄を行ったうえで、新たな円借款を開始する」との話しです。個人的に放棄に反対ではありませんが、二重ローン問題で苦しまれている方からみれば羨ましく映るでしょうし、よく思い切ったものと半ば感心しました。

ミャンマーは東南アジアにおいて地理的に重要な位置を占め、かねてより中国が大きな投資を行ってきたと言われています。外交を考える際、人権問題が大きな障害となり、「それを解決するまで支援は行わない、解決すれば支援する」という形の試金石になります。しかし人権問題に自ら傷を抱える中国にとって、恐らくこの問題は外交上の障害とはならず、アフリカ諸国等に援助外交を進めるうえでの強みになっているように思います。日本や西欧諸国、米国はどうしても遅れ気味となり、挽回には債権放棄のような思い切った手段しかないということでしょうか。

イランは単に鳩山元総理の訪問に驚愕し呆れたということに尽きます。ミャンマーと裏腹ですが、核問題のような論点でプレッシャーをかけるためには、どこかの国の抜け駆けを防ぐことが極めて重要です。例えばシリア問題で足並みが揃わない(ロシアや中国が政権を見限らない)ことはその典型例です。イランに対しては「核」という極めて深刻な安全保障問題があるため、シリアに比べ足並みが揃いやすい構図と思いますが、鳩山元総理の行動は、それを台無しにしかねないリスクを孕みます。
そして北朝鮮。ミサイル実験強行(失敗)は日本国内でも大ニュースでした。今年初めころ見られた米国との雪解けムードも逆戻りです。対韓国攻撃の噂も絶えません。他方、失敗がすぐに公表される、正恩氏の肉声が聞こえるなど、金正日政権時代と異なる動きも出ています。

なぜわが国が北朝鮮に関心を持つかと言えば、拉致問題を含め事が起きるとわが国の安全を直接脅かしかねないからと思います。ただ、忘れがちな論点は、仮に振り子が全く逆に振れた場合、すなわち北朝鮮がミャンマーのように民主化に舵を切る、あるいは旧東独のように崩壊し韓国に統合されるケースに、わが国がどう関わるかということかもしれません。日本は隣国として、あるいは植民地化という歴史の代償として、必ず貢献や負担を求められます。しかし日本経済の状況、あるいは拉致問題や竹島問題を巡る感情論を考えると、国論が容易にまとまるとも思えません。しかし、そうした点について想像を働かせ、予め考えておくことこそ外交の最重要課題であり、醍醐味のようにも感じます。

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One comment on “Vol.141: また国際問題
  1. ペルドン より
    国債・・違った国際問題

    ミャンマー・・
    スーチーさん一人に・・
    その大金を払った・・
    女性の地位向上に・・余念がない・・我等の国の快挙・・とPRしましょう・・

    中国との結婚生活に・・敗れたミャンマー・・当然・・以前の旦那か恋人に・・声かけるでしょう・・こちらも・・憎からず・・

    イラン・・
    包囲して・・使者を送る・・常道・・ただ・・切れ者を送る・・
    線が切れた方では・・荷が重かった・・

    海岸線に・・
    射的代わりに・・原子力発電所を並べ・・
    撃って下さい・・
    大変な度胸・・日本・・
    ビビっているのは北・・
    と信じましょう・・・

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