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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2011/06/06 00:00  | by Konan |  コメント(3)

Vol91: 菅内閣信任


今日は菅内閣不信任決議案否決に関して。「あきれた」以上の感想もないのですが、いくつか書きたいと思います。

まず、自民党について。野党なので内閣に挑むこと自体は非難できませんが、民主党に騙された素人集団という印象を強く残しました。大震災以降影が薄い存在感に、「頼りない」という雰囲気が上塗りされたということでしょうか。

それはそれとして、私は今回の不信任決議案(あるいはそれに同調しようとした動き)について、「卑怯」という印象がどうしても拭えません。憲法上、不信任決議案が可決された場合、内閣は解散か総辞職か選ぶことになりますが、大震災後の状況で被災地域で選挙を行うことは常識的には考えられません。不信任案を出した(賛成しようとした)人たちは「だから総辞職を選択するだろう」と期待したのでしょうが、憲法上の選択肢を塞いだうえでの不信任案は、正々堂々としていないという感覚です。そういう意見は報道等でも全く聞かないので私の感覚がずれているだけかもしれませんが、別な言い方をすれば、選挙が何とか行い得る秋頃までは、小異は捨て復興に全力を挙げて取り組むことが正常な姿ということでしょうか。
さて、そもそも菅内閣は不信任に値するのでしょうか?私は菅内閣の継続支持派でした。菅総理は人間性に問題があると思いますし、だから嫌われていると思います。ただ、考えていることがとても変という気は余りしません。そもそも小泉さんが辞めた後に政権たらい回しが続いていることはとても不幸です。さらに言えば、今起きていることの多くは菅さん個人の問題ではなく、民主党の問題です。簡単に言えば、「政治主導」を実現したいが、これだけの大事の前に全て政で判断することは不可能、しかし官に頼りたくない、従って知恵を得るため様々な会議を立ち上げる、しかしそうした会議の乱立では事が全く進まないという構図で、民主党政権の宿命とも言えます。

ただ、恐らく菅さんはそう遠くない時期に退陣を余儀なくされるでしょう。特例公債法案を通さないとすべての支出が滞りますが、それを通すこととの引き換えで退陣が不可避になると思います。むしろ、退陣と引き換えに、特定公債法案成立のほか、何を確保したいか・できるか(野党との関係、二次補正、後継者問題など)考え始めることが、菅さんにとって得策かもしれません。引き際が見事なら、将来にわたり影響力を残すことも可能になると思います。少なくとも、今回も無様な姿をさらした前総理よりは!

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3 comments on “Vol91: 菅内閣信任
  1. ベルドン より
    信任

    『ペテン師・・詐欺師』
    首相が・・前首相から・・罵倒され・・三文芝居になった・・
    現に・・退陣時期・・ポスト官に・・話題が集中している・・

    我々・・国民は天井桟敷・・通は立見席・・クルーさんは指定席・・国会議員はかぶりつき・・
    座る席で見方が変わる・・智慧が変わる・・

    人間性に欠ければ・・首相は・・重要な能力に欠ける・・これ政治の常識・・・

  2. イッチャン より
    菅内閣信任

    いやー全くそのとおり。
    菅への好き嫌いは別にして、一体国会、自民党、鳩山、小沢はなにをしてるんですかねぇ。国民視点が全く抜けてるし、「うそつきはペテン師」なんて言ってる鳩山こそ、議員辞めるといって未だに影響力行使したがってるペテン師だと思うんですがね。
    小沢にしても敵前逃亡やし。事の善悪は別にして、松木議員のあのツッパリはむしろ見事ですよね、他の造反者はまじめにやれってんだ。
    konanさんの意見はいつも感服して見ています。これからも国民の視点からの菅のご意見期待してます。

  3. Audley End より
    自民党がダメなので

    民主党に任せたけれど、こちらもダメだった。。。 これは、以前は機能していた政治の仕組みが、今は、まったく機能しなくなっていることの表れかもしれませんね。 政治家の存在意義が問われていると感じます。

    加えて、コワイな〜と思うのは、世界の動きに、現在の日本の政治家がほとんどついていけてないような気がすることです。 目先のことしか見えていないような。。。 危機の認識が現実とかなりズレているように感じます。 ひとつには、情報社会に対応できていないことがあげられるかと思います。

    政治家にしても、官僚の人たちにしても、日本ほど治めやすい国はないでしょう。 他の国であれば、こうはいかないでしょうから。。。 日本は民度が高いので何とか回っていますが、日本と世界が置かれている現実は、これまでの方法論では対応できなくなっていると思います。

    政治の仕組みを変えるのか、それとも人か。 世代交代するにしても、2世代くらいかわらないとムリかもしれませんね。

    今、もっとも機能しているのは、たぶん「NHK」だと思います。 世界に冠たる日本の公共放送として、あらゆる分野で底力を発揮してくれています。 ただ、組織が大きいため、ほころびも生じやすいので、常に自浄作用を働かせてほしいですし、費用対効果も含めて、外部からの的確なチェックもかかせないと思います。

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