2011/05/30 00:00 | by Konan | コメント(1)
Vol.90: ビンラディン殺害
もう旧聞になってしまいましたが、連休の真っ最中、米軍によるビンラディン殺害のニュースが世界を駆け巡りました。今回はその感想を記したいと思います。
まず、9.11からもう10年近く経ってしまったことに改めて気付かされました。世界貿易センター崩壊の衝撃的な映像は昨日のことのように印象に残っていますが、米国はイラク、アフガニスタンへの深い関与を10年も続けてきた訳です。
その意味で、米国は少しでも早くアフガニスタン近辺から手を引きたいと思っていたと感じます。来年の大統領選挙という国内事情もそれを求めるでしょうし、米国内の国際派にしても、リビア問題を契機に中東情勢が不安定化する中、もう少し西に軸足を置きたいと考えていると思います。パキスタンをどうするかという大きな問題が残されましたが、今回の殺害を契機に戦略再構築や人的・物的コストの大胆な削減を行う余地が生まれたという点で、オバマ政権にとりプラスになることは間違いないと思います。
そうは言っても「今回のやり方はひどい」と感じざるを得ません。イラクに対し、「大量殺戮兵器」の存在という架空の罪状を理由に侵攻しフセイン政権を崩壊させたことを思い出させます。パキスタン政府の了解を取り付けていたか定かではなく(突然東京に米軍が飛来し米国への反逆者を殺害することと同じです)、また捕まえて裁判にかけることなく殺害してしまったことも、国際法の常識からみて非常識です。
歴史を振り返ると、米国はモンロー主義や自ら作り上げた国際連盟への非加盟など、「引き籠り」の傾向を長く持ってきました。その傾向を変えさせたのが日本による真珠湾攻撃であり(だからこそ、真珠湾攻撃の成功は米国の罠にはまっただけという陰謀説が根強い訳です)、英国の退潮もあってその後世界をリードし続けています。しかし、もともとの性癖はそう簡単に修正できるものでもなく、外との付き合い方はかなり不器用と、私は勝手に思っています。
他方、今回の米国の行動を非難したとしても聞く耳は持たないでしょう。結局のところ、泣く子と地頭には勝てないではないですが、「不器用な米国を敵に回したら怖い」と思うしかないと諦めの気持ちでいますし、在日米軍基地問題もこうした気持ちでみてしまうのが、正直なところです。
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One comment on “Vol.90: ビンラディン殺害”
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それに失敗した国・・
いじけて・・いじけて・・妙な民主主義を・・配給でもらった国・・放出物資で・・飢えを免れた国・・軍を手放し・・自衛隊をもらった国・・
我等は・・国際法に・・と小声で呟くのが・・精一杯・・
今でも・・裸でも・・戦うダビデ像は・・神々しいのであります・・・