2011/02/21 00:00 | by Konan | コメント(2)
Vol.76: 日本経済復活⁈
今回は、先日日銀白川総裁が行なった「日本経済の復活に向けて」という講演を紹介します。タイトルが大変刺激的なので、私も思わず読んでみました。読んでみて、内容はそう斬新ではないとも思いましたが、極めて常識的に問題をまとめているので、皆さんにも一読をお勧めします。とくに、日銀の講演や調査物の「良さ」として、図表が大変便利と思います。
総裁は、日本経済を巡る4つの「謎」を提示し、回答を示しています。
1)なぜ日本経済は活力を失ったのか
その答えとして、1989年のベルリンの壁崩壊以降の市場経済の急速なグローバル化に対し、それまでの成功体験が災いし上手く適応できなかったこと、および、2000年代以降、生産活動の主な担い手であり、かつ消費や納税の中核を担う生産年齢人口が減少していること、を指摘しています。
2)なぜ長期に亘ってデフレが続いているのか
日本経済の趨勢的な成長力低下が原因であること、金融政策だけでは問題は解決しないこと、を指摘しています。
3)なぜ、日本国債の金利は低利安定しているのか
この点については、「過去の歴史が示すように、どの国も永久に財政赤字を続けることはできません」としたうえで、長期金利が安定している根源的な理由として、「日本は税制や社会保障制度の改革などを通じて、最終的には中長期的な財政健全化に取り組む意思があると投資家が認識しているから」との考え方を示しています。ぐっちーに真っ向から反論している訳です!
そして、第4の謎「日本経済は本当に復活できるのか」。
総裁は、「日本経済の復活を信じている」としたうえで、日本経済の成長力を引き上げるための取り組みとして、3点を挙げています。
1)急速な高齢化の問題に取り組んでいくこと。そしてとくに重要な課題として「国際的にみて低い水準に止まっている女性の労働参加率がもっと上昇するような環境作り」を指摘しています。
2)経済全体の生産性の伸び率を高めること。単に「カイゼン」に取り組むだけでなく、かつてのウォークマンのような新たなライフスタイルの提案を伴う付加価値創造や、アジア市場の需要の取り組み(この点で、FTAやEPAの重要性も指摘し、菅政権にエールを送っています)の重要性を指摘しています。
3)財政バランスの改善に取り組むこと。財政状況が悪化すると現役世代の将来所得増加期待を低下させ、支出を抑制する要因になることや、インフレは歳出の増加にもつながるため解決策にはならないこと、が指摘されています。
そして、結論として「改革の必要性」と銘打ったうえで、「過度の悲観主義は払拭すべき」として、日本の3つの強みとして、アジアに位置していること、高度な技術力を有していること、ソフト・パワーが強いこと、を指摘しています。
いかがでしょうか?
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2 comments on “Vol.76: 日本経済復活⁈”
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診断が・・正しいとしても・・
処方が・・正しいとしても・・
患者が・・回復するとは・・限らない・・
痛みの医学は・・
まだ日本では・・無視されている・・
英・エコノミスト・・指摘・・
不況の因は・・公務員の高給・・
まだ・・日本は・・沈黙の春・・・
日本経済は心配いりませんよ、ずーと経常収支は黒字だし、余程の事が起きない限り赤字にはならない、問題は人ですよ、ずーと技術開発と技術革新を遣ってきたので、人なんか使わなくても機械で製品がいくらでも作れる、無人化工場があるぐらいですからね、サービス業を増やすなり仕事を作らないといけませんが、失業者が増えるのは仕方ない、問題は増え続ける生活保護費と年金医療費の財源です、消費税と経費削減しかない訳で、政治の問題ですね。