2010/11/15 00:00 | by Konan | コメント(1)
Vol.62: 日銀展望レポート
今回は定番物として、10月末に公表された日銀の「展望レポート」(正式名は経済・物価情勢の展望」を取り上げます。
このレポートは、年2回、4月末と10月末に公表される、日銀の各種調査物・レポートの中でも最も重要なものです。また、いろいろ興味深い図表がついていて、経済学部生の勉強用にも相応しいと思います。内容面では、先々の経済・物価の見通しについて、基本シナリオとそのシナリオが外れる可能性が描かれたうえで、当面の金融政策の方針が示されます。また、政策委員会メンバーが先行きの景気、物価情勢をどうみているか、具体的な数字も合わせて示されます。
今回のレポートを読んでみると、これまでの基本シナリオが大きく変わった訳ではないようです。具体的には、2010年度(今年度)については従来の見通し対比下振れていますが(実質GDPの前年比が従来の+2.6%から+2.1%に下方修正されています)、来年度以降は緩やかな回復経路に復すと見込まれています。物価面でも、足元では下落しているが、先行きは徐々に改善することが予想されています。単純に言えば、今は予想より悪いが、来年度以降は何とかなるだろうという感じです。
このシナリオが外れる可能性についても、上下双方の可能性が指摘されています。下振れの方では欧米諸国の景気の不確実性が、上振れの方では新興国・資源国の景気の動向が主な要因です。この指摘も従来と余り変わっていません。
そうした下で、金融政策については「日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰するために、中央銀行としての貢献を粘り強く続けていく」と宣言しています。
今回のレポートの感想を2つ。1つ目は、日銀は包括緩和政策の下、「物価の安定が展望できる情勢になったと判断するまで実質ゼロ金利政策を継続する」としています。物価の安定については前年比+1%程度を想定しているので、今回の展望レポートの中で物価見通しがどうなるか、注目していました。結果的には今年度マイナス0.4%、来年度+0.1%、2012年度+0.6%ということで、方向としては+1.0%に近付いていますが、再来年度までにそこが展望できている訳ではありません。単純に考えると、実質ゼロ金利政策が今後最低2年ほど続いてもおかしくない訳です。
2つ目は日銀の文章は分かりにくいということ。読んで頂くと分かるように、このレポートでは「Aかもしれない、Bかもしれない」といった表現が繰り返されます。「どっちなの?」と聞きたくなってしまいます。また、最近2ヶ月の間に包括緩和を含む一連の金融緩和策が取られたことは、経済・物価の見通しが従来対比悲観的な方向に変化したこととセットであるべきですが、上述の通り、景気の見通しは前回4月のレポートと余り変わり映えがしませんし、今年度の実質経済成長見通しは確かに下方修正されましたが、「4月時点の判断は甘かった」といった表現もありません。意地悪に読むと、とても不思議な文章に見えます。
それでも日銀の最重要レポート。一読をお勧めします。
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One comment on “Vol.62: 日銀展望レポート”
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だから・・
畳に・・の・・の字を書いている・・のでしょう・・・
ぐっちーじゃあるまいし・・
姥桜に・・処女の振り・・されても・・
この水割り・・高くつきそう・・・