2012/03/26 00:00 | by Konan | コメント(1)
Vol.133: 最近気になること(その2:AIJ)
今回はAIJ問題について。ぐっちーのブログを読んでいて(例のcoming outです(笑))、ある方から聞いた話しを思い出しました。その話しは次の通りです。1990年代、損失補てん問題に関しそのリストをすっぱ抜き、新聞協会賞を受賞したのは当時の日経の超敏腕記者でした。ところが、リストこそ抜けなかったものの、損失補てん問題を最初に取り上げた、これまた優秀な記者がいたそうです。その記者こそ、読売新聞に在籍していた、あの前巨人軍GMの清武さんでした。結局、これらの報道以降、証券会社は顧客の損失の補てんが出来なくなりました。そうなると顧客の損失は店晒しになります。顧客によっては自力で何とか処理しましたが、それが出来なかった典型例がオリンパスです。オリンパス問題は、ぐっちーが正しく指摘するように、運用損失を証券会社が埋め合わせるという古き時代が、清武さんや日経超敏腕記者の報道により終わりを迎え、損失の処理を自前で行おうとしたが、長きにわたり失敗し続け、それをcoming out出来ないでいた事件と整理できる訳です。
さて、こうしたある種の思い出話しのほか、AIJ問題は、社保庁の天下り問題や年金の在り方に加え、もうひとつ面白い問題を提起しています。AIJのような投資顧問会社は免許制ではなく登録制です。設立し活動するに際し、役所の許可が不要な存在です。こうした制度になった背景が小泉改革と言われています。要は、投資顧問会社の使い手はプロのはずで、プロであれば相手の良し悪しを見抜けるのだから、役所が関与せずとも、民間同士の監視に委ねておけばよいし、何か問題が起きたとしても、それは使い手の自己責任との整理です。
AIJ問題への対応に関し、これまでのところ「免許制に戻せ」「金融庁による検査を強化せよ」といった論調は余り出ておらず、「投資顧問会社による開示の充実」「開示内容に関する外部監査の義務付け」といった検討が行われているように報道されています。私はこうした後者の方向に賛成ですが、読者の中には前者を支持される方もおられると思います。今回AIJ問題に触れようと思った本当のきっかけは、今後取り上げようと思う消費税問題のひとつの試金石と思ったからです。こうした事件を契機に「役所の権限や検査機能を強化せよ」といった風潮が強まるようでは、何のため公務員人件費を削減するのか分からなくなりますし、財政の改善など全く望めなくなります。それこそ消費税引上げが不可避・不可欠となります。別な言い方をすれば、消費税引上げに反対する人ほど、小泉改革を再評価すべきではないかと感じているところです。いかがでしょうか。
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One comment on “Vol.133: 最近気になること(その2:AIJ)”
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あれは・・
出入りだったのでは・・?
切ったはったの世界の血筋の方故・・
引き際・・鮮やか・・
多額の草鞋銭を懐に・・三度笠・・
増税の出入りとは・・また別の話・・
泥鰌の親分が泣くかどうか・・・?!