2010/06/07 00:00 | by Konan | コメント(2)
Vol.39: 日経電子版有料化
世間は鳩山退陣、菅総理誕生で盛り上がっていますが、今回は政治ネタから離れ、日経新聞電子版の有料化について採り上げたいと思います。本件は、日経という1つの会社、新聞の問題をを超える、大きな問題を投げかけているように思えるからです。
まず、本件に関し、知り合いの日経記者は「上手くいかない」という感じです。また、「記事の締め切り概念が希薄化し、忙しくなった」という感想も聞かれます。要は、内部的には然程支持されていないようにもみえます。
では、なぜ電子版有料化に踏み切ったのでしょうか?想像を交えて理由を考えると、まず、短期的には広告収入の減少により経営が悪化し、新たな活路を見出したいという切迫感があると思います。少し長い目でみると、紙ベースの新聞を作り販売することには、製作(地域に応じ版をいくつも作らざるを得ない)、印刷(印刷機械の設備投資、紙代だけでも大変)、販売(販売店をどう維持するか)等の膨大なコストがかかります。電子版はそうしたコストを大きく節約できるため、仮に成功すれば利益率がかなり違ってくるはずです。さらに長い目でみると、先日国内でも発売されたiPadではないですが、「紙」から「電子」への流れは止まることがありません。拡大する電子市場を制すことは、日本の人口が減少する中で、海外での活路を見出せない超国内産業である日本のメディアにとり、極めて重要な出口となります。
ところで、冒頭「大きな問題」と書いたのは、恐らく日本は素より欧米でも「インターネットでみるものはタダ」という感覚がかなり浸透しています。実際、電子版をみても、記事の触りは無料で読むことができます。そうした中、わざわざお金を払って電子版を読む人が増えてくるのだろうかという根源的な問題があります。「紙」であればお金を払うことが自然、「電子」は無料と言う感覚です。
「無料」は読者にとってとても有難いことにみえます。しかし、よい記事を書くためにはコストがかかります。そのコストを回収する仕組みが電子化の進展に伴い崩壊するとすれば、記事にコストがかけられず、その質は劣化し、結局読者、ひいては国民の損失になります。この点をbreak throughできるか、日経が壮大な実験を日本で開始したと捉えることも出来ると感じています。
蛇足ながら、Gucci Postは無料ですが、ぐっちーや前橋さんの有料ブログも並存する構造になっています。有料ブログの購読者は、恐らく上記の点を(少なくとも潜在的に)理解されている方々と思います。ぐっちーはよく日経の記事の悪口を書きますが、「電子媒体有料化」については、二人三脚と言うこともできるのかもしれません!
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2 comments on “Vol.39: 日経電子版有料化”
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サンケイが随分前から・・夕刊フジ・スポーツ紙込みで電子化を実践・・無料期間試して・・有効と確認・・
しかし・・記事の質が伴わなければ・・魅力は無い・・
以前は全紙・・パソコンが来てからは・・全紙お払い箱・・iPodが更に進化すれば・・更に涙の別れが・・日常茶飯事・・・これに電話が付けば・・新聞は博物館で見るか・・・
新聞よりも携帯メール代の方が、一般大衆にとってはより価値があるってことです。新聞って、本当に金を払って買う価値のあるものなんですかね?
とりあえず記者クラブ垂流し専門の紙新聞・インターネット新聞を1社だけ用意して、それ以外は他業種同様に、付加価値を作れるところだけが生き残っていくんじゃないんですか?