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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2011/12/12 00:00  | by Konan |  コメント(3)

Vol.118: 民主主義について(2)


今回は原発の問題に触れます。少し前になりますが、大江健三郎さんが10月19日の朝日新聞(「定義集」)で「原発が潜在的核抑止力とは前例なき民主主義無視の議論」との原稿を寄せられました。大江さんは、福島の事故を契機に原発廃止を訴える先頭に立っておられますが、この寄稿で、「日本は・・・核兵器の材料になり得るプルトニウムの利用が認められている。こうした現状が、外交的には、潜在的な核抑止力として機能していることも事実だ」(読売新聞社説9月7日)、「原発を維持するということは、核兵器を作ろうと思えば一定期間のうちに作れるという核の潜在的抑止力になっている・・・原発をなくすということはその潜在的抑止力をも放棄することになる」(石破茂、ザピオ10月5日号)の2つの引用後、「私は両者ともの「潜在的な核抑止力」「核の潜在的抑止力」という用語法に(それがいかにもフツウの言い方のように使われているのに)ドキリとしたのです」とされます。
引用を続けると、大江さんは、「今度の大事故によって、原発の建設時にさかのぼり、今日の東電・政府の情報開示の仕方にまで、いかに民主主義の精神が欠落しているかを、私らは思い知りました。しかしこの抑止論ほど徹底した民主主義の無視は、例がなかったのじゃないでしょうか?」「あまりにも正直に、原発をなくすということはその潜在的抑止力をも放棄することになると、おなじみの伏し目の憂い顔で威嚇する政治家は、この致命的な両刃の剣を手にすることについて、いつ国民の合意をえたのでしょうか?」と主張されます。

さて、先日ある知人と話している際、とても興味深い、大江さんと正反対の主張を聞きました。彼の話しを要約すると「福島以降原発反対の動きが強まった国は日独伊。まさに第2次世界大戦で同盟を結び敗北し、戦後、武力や核兵器を持つことに制約を持った国々である。そうした国の人々は、結局のところ核を持つことの真の意味を知らず、呑気に原発廃止と訴えているとしか思えない。スリーマイルの後、米国で本格的な原発反対運動が起きなかったこととの対比でみても、核を持つ重みを理解する、しないの差は歴然としている。原子力・核の問題は民主主義の対象たり得ないのではないか」というものです。

大江さんとこの知人(あるいは石破さん)の民主主義観、原子力・核観には大きな隔たりがあります。いずれが正しいのでしょうか?

私なりの答えは、前回のユーロ問題と合わせ次回書いてみようと思います。自分の頭が十分整理できている訳ではありませんが、「民主主義に基づく決定プロセス」と「執行プロセス」には境界があり、後者のプロセスは「専決」(大阪市長選挙で使われた言葉を借用すれば「独裁」ということでしょうか)が不可欠であるということが、次回への前振りです。

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3 comments on “Vol.118: 民主主義について(2)
  1. ベルドン より
    要約すると

    原子力を・・
    本妻にすべきか・・
    愛人にすべきか・・
    ではありませんか・・??

    いずれにしても・・
    手切れ金に・・慰謝料に・・目が飛び出す・・

    既に払いきれないか・・原発廃棄を含め・・

    手を付けたのが・・若殿・・若気の至りで・・
    青春の蹉跌でありましょうか・・

  2. st より
    覚悟の問題

    これは一種の賭けですよ、覚悟の問題ですよ、国民投票で決めるのが正しい方法、それが無理なら選挙の争点にして決着つければいいと思う。

  3. みんみん より
    責任の主体

    民主主義が機能するためにはいくつか条件があります。政府やマスコミが正確な情報を有権者に開示・広報していることも民主主義が機能する必要条件です。
    しかるにわが国では原子力に関してはその前提条件がない以上、選挙や国民投票などによって政策を決定すると国益を損なう結果を招きやすいと私は考えます。

    安全であるとウソをつき金を配って黙らせるというやり方で原発を建設してきたのですから、地元住民は自らの意思で主体的に選択したのではない以上、その結果に責任を感じないのは当然です。

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