2009/11/23 00:00 | by Konan | コメント(0)
Vol.11: 新型インフルエンザ
今新型インフルに罹患しています。。。
罹ってみて、耳学問と実態がはじめて一体化し、いろいろなことが分かりました。「病原性は弱いが感染力は強い」という矛盾したようにみえる言葉も、要は、「罹っても比較的簡単に治る」一方(後述のようにタミフル一錠で熱が下がりました)、子供の学校は閉鎖、私の家族も皆全滅というようにとても移りやすい、ということと実感しました。
タミフルとリレンザの違いも初めて知りました。リレンザは特別なプラスチック製の機器を使って粉末を吸い込む薬で、こんな薬があることに驚きました。まだウイルス耐性は確認されてないそうですが、他方、吸い込む力が弱い幼児等には使えません。タミフルは異常行動の原因ということで10歳代には使用禁止です。私はこれを飲み、一錠で熱が36度台に下がりこうしてブログを書けていますが、昨晩はとても嫌な夢をみた気がして、異常行動の片鱗だったのかもしれないと思ったりもします。
さて、こういう個人談はGUCCI POSTに相応しくないので、少し話しを展開します。官にいても、普段は余り自分の担当外の仕事に興味を持ったりしません。しかし、新型インフル対策について、「本当に大丈夫なのだろうか?」と心配することがあります。政権の危機対応能力がまさに問われる件だけに、自分の所掌外と覚めている訳にはいかない気もします。
問題は、今流行している病原性が弱いタイプ(所謂豚インフル)ではなく、病原性が強いタイプ(鳥インフル)の方です。まだ本格的な発生も確認されていない段階なので、致死率なども読めませんが、よくこれまでのスペイン風邪等と比較されつつ、危険性が高いと言われます。
日本の危機対応と言えば、北朝鮮問題、地震や台風への対応、石油危機などの経済危機がまず頭に浮かびますが、この中でも新型インフルと比較すべきは、大地震と思います。大地震は、阪神淡路の例をみても、また、想定される首都圏直下型の被害想定をみても、大変な事態です。ただ、あえて単純に言えば、「ある限定した地域に、ワンショットのショックが生じ、大きな被害が生じた後、いかに早く復旧していくか」が問われます。
他方、新型インフルは、まず北海道から九州・沖縄まで、若干の時期のずれはあるとしても、日本全体を襲う可能性があります(今回の病原性が弱いタイプの流行もそれを示しています)。そして、ショックはワンショットではなく、1回の流行期が2ヶ月程度続くとも言われます。日本全体が、ある程度の期間の篭城戦をいかに戦うか、という問題になります。その際予想されるのは、どのような事態でしょうか。
以下、やや単純に、極端な想定を行うとすれば、多分、致死率の高さを恐れ、皆家に篭ります。家に篭る際、食料を買い込みます。買い込むには現金が必要です。そして食料を売る店が開店している必要があります。食料品が店まで輸送される必要があります。篭城が始まり、水道、電気、ガス、通信サービス(携帯、NHKなど)は供給され続ける必要があります。医療関係者は万全の態勢を維持する必要があります。ちなみに、こうなると経済活動は停滞しますが、「モラトリアム」はまさにこうした事態に適用されるべきものと思います。
こうした篭城に必要なサービスを提供する人たちに、優先してワクチンや抗ウイルス剤が提供される必要があります。ワクチンの生産能力の低さが今回露呈しましたが、この生産と流通に従事する人たちもワクチン等の提供最優先です(能力引き上げも当然の課題です)。こうした優先提供の「余り」を、罹患した際の致死率が高いとみられる順番付けをして、供給する必要があります(ちなみに、若い人ほどウイルスと激しく戦ってしまい、高熱を発し、死亡しやすいと言われています。ワクチン等が一番回ってこないのは、ぐっちーや私を含め、50歳の声を聞く層やその上の層で、持病もとくにないような人たちと覚悟しています)。
今回の病原性の低いケースと異なり、生死に関わる可能性が極めて高い訳ですから、あいまいな基準は却って混乱を招きます。政府が決断し、徹底することが求められます。
自公政権も、こうした意味で「強い」政権ではありませんでした。現政権も、友愛がキーワードであるように、強さを指向する政権ではありません。しかし、新型インフルはifの問題ではなくwhenの問題と言われます。最重要課題としての取り組みを急ぐ必要があると、官の一員でありながら意識が希薄だった自分も、今回ようやく実感した次第です。
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