プロが語る世界情勢・政治・経済金融の最前線!

The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2025/01/06 06:30  | by Konan |  コメント(0)

Vol.261: 新年ご挨拶+小噺・今年の話題(その1)


2025年スタートです。本年もよろしくお願いします。

手始めに、3週連続で「小噺・今年の話題」を執筆します。今回はトランプと世界経済、次回は日本の政治、3回目は日銀を取り上げます。その後は、日銀金融政策決定会合、内閣府月例経済報告、IMF世界経済見通しなど、例年通り続けていく予定です。

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トランプと世界経済
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Saltさん、JDさんと重なりますが、世界経済に直接関係する主な論点は関税、移民政策、減税です。

・このうち実現性が読みやすいのは減税。拮抗しているとは言え上下両院とも共和党多数で、第1期トランプ減税の継続と法人減税が実現する可能性は大きいと思います。これは景気にプラスである一方、インフレ助長的であり、財政規律への懸念も生みます(私は少なくとも今年に関し規律の点は心配していませんが)。要は金利高・ドル高に働きやすい要素です。

・移民政策はおそらく米国内で最大のイシューと思います。あるシンクタンクでは、不法移民の国外退去に関し100万人強と800万人強の2つのシナリオを置き、経済への影響を試算しています。8百万人にもなると、労働力人口の5%。労働供給不足がインフレを助長、一方で個人消費等の需要が減少し、スタグフレーション的な結果を招きかねません。今年1年で800万人はさすがにないと思いますが、世界経済の観点からとくに注意すべき事項となります。報道ではマスク氏が移民の重要性を指摘しているようですが、展開に注目です。

・関税は、もし公約通り(中国60%、その他一律20%)となれば、これも米国経済にとりインフレ的・需要減退方向に働きます。世界経済にも大きな影響をもたらします。ただ、本当に公約通り進めていくのか、国・税率・品目・時期を選びつつバーゲン的に実施していくのか不確定ですし、どちらかといえば後者の可能性が大きいとも思います。また、例えば中国からみると対ドルでの人民元安との手段もとりえます。こうなると、中国の対米輸出はそれほど減らず、米国のインフレもあまり高まらないことになります。このように不確実性が大きな項目です。

・ただ、上記のどの政策も米国のインフレ率を助長する方向に働きます。そうなると、FRBも利下げがしづらくなり、為替市場でもドルが強まりやすい・下がるとしてもさほど下がらないことになります。

・また、2019年を振り返ると、第1期トランプ政権の政策の不確実性が嫌気され、世界経済は(まだコロナ前でしたが)投資の手控えにより減速しました。似たことが起きる可能性があります。

以上を踏まえると、恐らく株式市場ではトランプトレード的な明るい局面がみられる展開もあるでしょうが、どちらかと言えば、少しインフレ的で世界の経済成長率がやや下押す流れに身構えておくほうが良いと思っています。

今回はこの辺で。

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